Anaplastic large cell lymphoma (ALCL), ALK-positive
ALK-positive large B-cell lymphoma
Anaplastic lymphoma receptor tyrosine kinase( ALK )
p80の同定と融合遺伝子の解析--- npm-alk融合遺伝子*1
1994年藤元, 森らは t(2;5)をもつ未分化大細胞型リンパ腫細胞株において特異的にリン酸化された80kDaのタンパク質を検出、このタンパク質(p80)を精製し得られた部分アミノ酸シークエンスを用いクローニングしたcDNAの塩基配列を解析, cDNAの5'端は既知の核蛋白質nucleophosmin(NPM)遺伝子と完全に一致していた。融合遺伝子は約75kDaのタンパク質をコードすることがわかった。
下流の配列はLtk(血球系細胞で高発現する受容体型チロシンキナーゼのひとつ)とキナーゼドメインが80%のホモロジーを示し、インスリンレセプターと35%のアミノ酸が一致する新規チロシンキナーゼをコードしていることを明らかにした。染色体ISHの結果, 転座によりalk(第2染色体; 2p23)とnpm(第5染色体;5q35)遺伝子が融合してp80をコードしていることが明らかにされた。
同時にアメリカDr T. Lookらもリンパ腫転座異常による融合遺伝子がつくるチロシンキナーゼを発見し2番染色体上の新規チロシンキナーゼをALK(anaplastic lymphoma kinase)と名付けた。*2
クローニングされたalk遺伝子は正常組織では脳と末梢神経系の一部のみに発現している。ヒトでこれ以外の組織にalkが発現するのは異常であるといえる。
注) ALK(あるく)という遺伝子は宮園ら*3*4が1994年に発表したTGF-βファミリーのレセプターの中で最初にクローニングされたアクチビンⅡ型レセプターに敬意を表して; activin receptor-like kinase(ALK)と名付けられたものがある。 このALKには1-6まである。宮園先生はリガンドが見つかれば順番に名前を変えていくつもりであったようだが現在に至るまでこの名前が残っている*5。ALK-1の遺伝子異常はヒトのⅡ型遺伝性出血性末梢血管拡張症(Osler-Rendow-Weber Sx)の原因となる。