Bob.1 and Oct2 transcription factors
B細胞
Blimp-1/PRDM1 B-cell 終末分化
Blimp1/ PRDM1†
B lymphocyte-induced maturation protein1(Blimp1)/ PR domain containing1 with zinc finger domain(PRDM1)
Gene ID: 639, 正式名: PR domain containing 1, with ZNF domain provided by HGNC
別名:BLIMP1; PRDI-BF1
- 転写抑制因子Blimp-1は, Bリンパ球が形質細胞へ分化する過程に必須の因子でマウス成熟B細胞が形質細胞へと分化する際に強く誘導される遺伝子として発見された。
- chromosome 6q21-q22.1に局在する。[Chromosome 6, NC_000006.12 (106086320..106109939)] B細胞腫瘍でしばしば欠損しており腫瘍抑制遺伝子の性質をもつと推察される。
- コードするタンパクはβインターフェロン遺伝子発現を抑制する。βインターフェロン遺伝子プロモーターのPRDI(positive regulatory domain I element)に特異的に結合する。この遺伝子の転写はウイルスにより誘導される。2つの異なったspliced transcript variantsがアイソフォームをエンコードすることが報告されている。
Blimp1 gene†
- Blimp-1βはBlimp-1αのexon3とexon4の間に存在するpromoterより転写され,Blimp-1αにあるexon1-3が欠失しており, 新たに5'末端側にexon1βをもつ。このため翻訳後のタンパク質ではPRドメインの大部分が欠失している。
- Blimp-1βはDNA結合能をもつが多くのBlimp-1標的遺伝子発現を抑制する能力が消失している。
- Blimp-1βも核内に限局し, 脱アセチル化能は維持されている。
- 多発性骨髄腫細胞株においてBlimp-1αよりもBlimp-1βmRNA発現が優位に増加しているという報告がある*1。
Blimp-1タンパク質†
- Blimp-1は主に成熟B細胞に発現しているが、RT-PCRでT細胞や骨髄系細胞にmRNAの発現を確認できる。
- ヒトリンパ組織の免疫染色ではCD10+, CD19+, CD20+, PAX5陽性の胚中心centroblastにBlimp-1タンパク質発現が認められる.
- また, Blimp-1は胚中心のplasmacytoid B-cellおよび胚中心外 CD138+, CD10-, bcl-6-, の形質細胞で発現している。
- CD30+, PAX5+ 活性化濾胞外のB細胞, 組織球, 抗原提示樹状細胞, ほとんどのresting T細胞には発現はみられない。
- Blimp-1はBCL-6およびMTA3とは共発現しない。
PRドメイン
SETドメインの一部に属しPRDMファミリータンパク質で高度に保存されている。代表的なPRDMファミリー蛋白にはBlimp-1, RIZ1およびMDS1-EVI1などがある。PRDMファミリータンパクでは全長のタンパク質発現抑制, あるいはPRドメインを失った短いタンパク質発現増加が腫瘍形成に大きな役割を示すことが示されている*2。
RIZ(PRDM2, also known as RIZ; KMT8; RIZ1; RIZ2; MTB-ZF; HUMHOXY1); NCBI gene ID:7799, 1p36.21
- RIZは癌抑制遺伝子Rbの産物と結合しうるタンパク質。RIZには別のプロモーターを用いた2種類の転写産物が存在する。長いほうをRIZ1, PRドメインを失った短い産物をRIZ2とよぶ(Blimp-1に似てますなあ)*3.
- 肝細胞癌ではRIZ1発現が減少し, RIZ2の発現を認める。急性骨髄性白血病細胞でもRIZ1の発現減少がある。
- 急性リンパ球性白血病細胞では正常骨髄に比しRIZ2の発現が高いことが示されている。
- 肝細胞癌や白血病ではRIZは腫瘍の発症に対し抑制的に作用するがRIZ2ではその機能が消失していると推察される。
MDS1-EVI1
- 骨髄系腫瘍ではMDS1-EVI1の機能が不活化されている
- 骨髄系腫瘍や骨髄異形成症候群での3q26を含む転座ではMDS1-EVI1のPRドメイン領域が失われ癌遺伝子のEVI1が活性化されている