アレルギー性肉芽腫性血管炎
最初は剖検例の病理理学的検討によりDr. Jacob ChurgとDr. Lotte Straussが定義した疾患*1 現在は第一に臨床的に定義され臨床症状より診断される
症例アーカイブのページに移動する。
内容が古くなり, 名称も変わりました.
up date page: Eosinophilic granulomatosis with polyangitisのページに移動
Mount Sinai病院病理のHP http://www.mssm.edu/path/introduction/hall_of_fame.shtml
Dr. Andrew Churgの論文*2によると血管炎の病理学所見を厳格にとりすぎるとChurg-Strauss症候群と診断される疾患の範囲があまりに狭くなりすぎて診断をあやまることになると警告している。
さらにChurg-Strauss症候群には病理病態に時間的な異相があり,ステロイド投与など治療による病理所見の修飾も強いことを解説している。
1. Churg J, Strauss L. Allergic granulomatosis, allergic angitis and periarteritis nodosa Am J Pathol1951; 27:277-94
2. Churg A. Recent Advances in the Diagnosis of Churg-Strauss Syndrome Mod Pathol 2001;14(12):1284-93
診断基準は文献的に複数存在して, しかも単純ではないことが問題である。 現在までの論文の診断基準をまとめてみると, 以下のようになります。
1.明白な血管炎を必須の基準とするオリジナルまたは他の基準
2.血管炎は必要ながら,早期のprevasculitic phaseを認める基準(Lanham et al.)*3
3.最も広範囲に疾患を認めるAmerican college of Rheumatologyの基準がある
後者2つの診断基準ではアレルギー性鼻炎の存在を強調している。
Microscopic polyangitisでは典型的にp-ANCAが40-80%の症例で陽性になる
Wegener's granulomatosisでは報告によれば90%までがc-ANCAが陽性となる
臨床的診断の症例シリーズの中にはChurg, Straussオリジナルの症例(剖検例)にみられた血管炎がない報告がある。血管炎を発症する以前の,この病期で診断すると,ステロイドに著効し予後が非常によい。
Early (Prevasculitic, Prodromal)phaseの典型的な所見
=======================================
アレルギー性鼻炎*1
喘息
末梢血中好酸球増多
血管外組織好酸球浸潤(以下を含む)
血管炎は臨床的にも生検でも認められない
=======================================
*1アレルギー性鼻炎はretrospectiveに60-70%のChurg-Straus Sx症例で初発病変とされる (Lanham et al., Guillevin et al.) 鼻炎はときに重症で閉塞や副鼻腔炎の治療のため頻回のpolypectomyが必要となる場合がある。
●参考:Lanham らによる138例の分析によるChurg-Strauss Sxの自然経過(reference 3)
1. 臨床的に明らかなアレルギー性鼻炎をおこす(発現平均年齢28歳)
2. 数年後に喘息を発症する(発症の平均年齢は35歳)
3. 最後に血管炎をおこす (発症の平均年齢は38歳)