Claudin family protein
Claudin3, 4が胸腺, AIREを発現する, 髄質上皮に発現している.*1
Tight-Junction(TJ)は単層上皮細胞の各細胞境界面の最も頂端側(アピカル側;消化管では内腔側)に存在する細胞間接着装置.
電顕超薄切切片法により隣り合う2枚の細胞膜が完全に密着した部位として同定される.*2 凍結割断レプリカ法においてはTJストランドと呼ばれるひも状の構造が網目をつくる像として認められる.TJは細胞間の物質の漏れを防ぐうえで中心的な役割(バリア機能)を果たしていると考えられ, 加えてアピカル面とバソラテラル面の膜蛋白質が自由に拡散して細胞の極性が失われることを防ぐ,さながらオイルフェンスのような機能(フェンス機能)をもつと推測されている.
- ギャップジャンクションgap junctionは, 細胞の増殖や分化など基本的な生命現象に不可欠な結合で, 隣接した細胞が物質の行き来をするための連絡通路のような働きをする。
- 受精卵分割の過程で増加する細胞が同調するため, 隣接した細胞のコミュニケーションを目的にギャップジャンクションが形成される.
- ギャップジャンクションのみでは, 細胞間が「ざる」のように隙間が開いた状態のため, 胚になると内部と外部の環境を仕切ることを目的にTJが形成されると考えられる。
- ギャップジャンクションは同種細胞同士でつくる結合で, 一方TJは,ほとんどが同種細胞でつくる結合であるが, 隙間をシールするために, 免疫細胞などヘテロでTJのタンパク質をつくる可能性がある. 腸上皮では, 樹状細胞やM cellと腸上皮の間にTJが形成されている可能性がある.
Claudin familyは210~240aaの4回膜貫通型の膜蛋白. N末端は細胞質内に少数(2-6aa), C末端は細胞質内に20~63aa存在する*3*4*5. family間では, 第一細胞外領域( extracellular loop 1)がよく保存されており, この領域がTJの基本骨格を作るのに重要な機能ドメインであることを示唆している.
現在claudin family は少なくとも25種類が知られている. claudin25はputative.
Claudin familyのC末端細胞内領域は, バラエティに富むが, ほとんどのClaudinはC末端がチロシン-バリン (-Y-V)で終わっている. また細胞内領域の大部分はC末端なので, この部位に膜裏打ちタンパク質が結合すると考えられる.
裏打ちたんぱく質
TJの裏打ちタンパク質として, ZO-1, ZO-2, ZO-3(TJP1, TJP2, TJP3ともよぶ)がよく知られている. ZO-1~3いずれもMAGUK familyと呼ばれる一群のたんぱく質ファミリーに属し(シナプス後膜のPSD-95, ショウジョウバエのSeptate Junctionに存在する癌抑制遺伝子Dlgなどが含まれる), 膜タンパク質と結合するPDZ domain(P=PDZ, D=Dlg, Z=ZO)をそれぞれ3つ持っている. ZO-1~3のPDZドメインがさまざまなCladinのC末端に直接結合することが証明されている. *6
Cadherin系による上皮細胞の極性形成にZO-1が関与していることを考えると, ZO-1~3がClaudinとの相互作用を介してTJの位置を決めている可能性が推察される.
YVを含むclaudinのC末端の3つのアミノ酸は,タイト結合の裏打ち蛋白であるZO蛋白(ZO-1,ZO-2,ZO-3)のN末端にある PDZ1ドメインと結合する*6.さらにZO-1とZO-2のC末端側の領域はアクチンフィラメントと結合している*7.つまり,claudinにより形成されたTJ ストランドは, ZO蛋白を介してperijunctional ringに濃縮するアクチンフィラメントと結合し,これによって,タイト結合は細胞側面膜の最頂端部に局在・維持されると考えられている.また,claudinの細胞質ドメインには種々のプロテインキナーゼのターゲットとなり得る配列があり,claudinの細胞質ドメインのリン酸化でタイト結合の機能が制御されている*8.
タイト結合の機能は,上皮細胞側面膜の頂端部に局在することにより発現する.この局在化は機能発現に直結しており,前述のようにTJ ストランドを構成するclaudinが,ZO-1を介して接着複合体直下の細胞質にリング状に集積するアクチンフィラメント(終末堤terminal bar)と結合することによると考えられている.