New WHO classification of PTCLs*1
New WHO classification of PTCLs
皮膚にみられるT/NK細胞性リンパ腫
- primary cutaneous γδT-cell lymphoma
- primary cutaneous CD8-positive aggressive epidermotoropic cytotoxic T-cell lymphoma
- primary cutaneous CD4-positive small/ medium T-cell lymphoma
病変の分布, 臨床像とリンパ腫
- 1.真皮浅層中心の細胞浸潤 -->紅斑やプラークの形成 -->菌状息肉症の紅斑期, 扁平浸潤期
- 2.真皮全層びまん性浸潤 -->丘疹, 結節の形成 --> 菌状息肉症の腫瘍期, 皮膚原発未分化大細胞型リンパ腫, リンパ腫様丘疹症, 皮膚B細胞リンパ腫,etc
- 3.皮下組織中心の病変分布--> 皮下結節や硬結 --> 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
表皮の変化
- 表皮向性 epidermotropism --> 表皮内に腫瘍細胞が孤在性, 散在性あるいは数個集蔟して浸潤する(菌状息肉症。進行期にはかえって表皮向性がめだたなくなることがある)
- Pautrie 微小膿瘍 -->原則としてT細胞リンパ腫に見られる。紅斑期生検では低頻度。MFに典型的ではあるがnot diagnosticである。Sezary Sx, actinic reticuloid, 薬剤誘発性のT-cell pseudolymphoma, follicular mucinosisなどにも出現する。
- Paget様細胞浸潤 -->淡明で広い胞体の中~大型細胞が弧在性または小集団となり表皮基底層を中心に広がる。 Pagetoid reticulosisの特徴であるが, 菌状息肉症においても認められることがある。
表皮真皮境界部の変化
- 表皮直下高度の細胞浸潤 -->菌状息肉症扁平浸潤期が代表。帯状浸潤と表皮浸潤により表皮真皮接合部が不明瞭になる。
- Grenz zone形成 --> 皮膚B細胞リンパ腫では, 表皮と真皮腫瘍病変の間に無細胞帯(Grenz zone)がみられることがある。
真皮細胞浸潤の分布や強さ, 浸潤細胞形態
- 多くの皮膚リンパ腫は真皮内で結節性やびまん性に増殖する。
- 未分化大細胞型リンパ腫やびまん性大型リンパ腫のように大型、高異型度細胞が単調な増殖を示していれば悪性診断は容易。
- 皮膚リンパ腫では腫瘍細胞以外に反応性に多彩な細胞浸潤をともない腫瘍細胞の同定が困難なことがある。
- 免疫染色によるマーカ検索が必要な場合がしばしばある。
- リンパ濾胞形成, 濾胞状構造形成 --> 濾胞性リンパ腫, MALT lymphoma
- 濾胞性リンパ腫では病変が大型化するにつれて濾胞は不明瞭となり, 多分葉化した大型centroblastsを含むようになる。
- MALT lymphoma --> 淡明な細胞質で核のくびれた小型リンパ球(centrocyte-like cells CCLs), 形質細胞増加, 反応性T細胞増加。
- 複雑な脳回状切れ込み(cerebriform nuclei) -->T細胞腫瘍の特徴。小型から大型で核濃染するものまでさまざま。病変初期には少なく病期の進行につれて次第に増加し大型のものを含むようになる。
- 少数小型のcerebriform nucleiは一部の慢性皮膚炎でも出現するためcerebriform nucleiのみでリンパ腫とは判定できない。
- 皮膚未分化大細胞型リンパ腫 --> Hodgkin cell-likeの細胞がびまん性に増加。好酸球や組織球が多い場合もある -- リンパ腫様丘疹症との鑑別が困難なときがある。(いずれも皮膚原発CD30陽性T細胞リンパ増殖性疾患の一連のスペクトラムに含まれる。臨床経過も診断に大事)
皮膚付属器への細胞浸潤や変化があるか?
- 菌状息肉症の亜型に表皮浸潤に乏しく, 毛包を中心とする皮膚付属器向性を示す follicular mycosis fungoidesがある。ときに毛包脂腺上皮間に著明なムチンの沈着を伴う。 mucinosis
- MALTリンパ腫は皮膚付属器周囲に集蔟する傾向がある。汗腺上皮間に腫瘍細胞が浸潤しLELを形成することがある。
血管の変化がある?
- NK/T細胞リンパ腫鼻型では真皮や皮下の血管周囲に腫瘍細胞が集蔟, 血管破壊像をていすることがある。(= angiocentricity)
皮膚組織の変化がある?
- 皮下組織脂肪細胞周囲の異型細胞浸潤 --> 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫のkeyとなる所見。必ずしも特異的ではないことに注意。
鑑別診断