Age related clonal hematopoiesis
Chronic myelomonocytic leukaemia (CMML)
DNA methyltransferase 3 alpha (DNMT3A)Location:2p23.3 Exon count:34
de novoの(メチル化維持maintenanceではなくて,) DNAメチルトランスフェラーゼでAML*1*2やMDS*3*4で変異が報告されている。たんぱく質は細胞質および核に局在して発生的に制御されている(developmentally regulated).
DNMT3Aの変異は, 高頻度にNPM1, FLT3, IDH1変異を合併し, AMLの20%*1*2, MDSの8%*5にこの変異が認められる。
DNMT3A変異をもつAMLは予後不良であるが, これは同時にどの遺伝子変異が存在するかによるところが大きい。
DNMT3A変異はAMLの網羅的シーケンス解析により見出された体細胞変異*6*7 2p23に位置。
DNMT1がDNA複製時において複製鎖をメチル化することにより維持メチル化を担うのに対し, DNMT3A, DNMT3Bは非メチル化シトシン新規メチル化を触媒する。
AMLでのDNMT変異のほとんどはメチル基転移酵素活性を担うC末端ドメインで生じ, 特に全変異の2/3が種を超えて保存されているR882で起こっている。
Nature reviews cancerの図表--->DNMT3A in hematological cancer*8 sorry, you need ID & Psswrd to see the figures
R882変異体のメチル基転移酵素活性の低下が最も顕著である。
1. DNMT1
2. DNMT2
3. DNMT3a
4. DNMT3b1, 3b2, 3b4
5. DNMT3L
DNMT1
1988年マウスでdnmt1がクローニングされた。Dnmt1遺伝子ノックアウトマウスは胎生致死のため生物の発生に必須の遺伝子であると考えられている。
- DNMT1は細胞周期M期に発現し, RbやPCNAと結合して, DNA複製部位に局在しUHRF1を介してヘミメチル基を認識し維持メチル化に寄与する
- DNMT1を強制発現させたヒト線維芽細胞には新規メチル化が認められることから何らかのde novoメチル化機能をもつ可能性がある.
- 慢性炎症を伴う膵管上皮, 尿路上皮癌背景の非腫瘍上皮細胞などヒト前癌状態にある細胞において, 細胞増殖の亢進がないにもかかわらずDNMT1発現が亢進していることが報告されている。¬e{:
- DNMT1は維持メチル化機能のみではなく, 癌などの疾病発生過程において異常DNAメチル化プロファイル形成に働いていることが推察される。しかしDNAメチル化とDNMT1が発癌過程に寄与する分子機構は単純ではない。
- ヒト胃癌, 大腸癌においてはDNMT1の遺伝子変異頻度はきわめて低い.
DNMT2
Dnmt2は分裂酵母の遺伝子PMT1のホモログとして発見された.
DNMT3A
Dnmt3aはDnmt3bと共にEST解析により発見された.*11
- 両者のC末端側触媒領域, N末端側のPWWPドメインやPHD-likeドメインは類似しているが異なる遺伝子としてコードされている。
- Dnmt3a knock out mouseはほぼ正常表現型として出生するが生後4週間前後で発育不全のため死亡する。
- Dnmt3a, 3b両方のknock out mouseは胎齢8.5日で異常を示し, 胎齢11.5日までに死亡する¬e{:
- 両遺伝子のノックアウトは各々単独ノックアウトよりも障害が強く, Dnmt3aとDnmt3bは部分的に機能を補完できると考えられる.
- Dnmt3aは胎齢10.5日以後に発現し, Dnmt3bより発現タイミングが遅い*12
DNMT3B
de novoメチル化を担う酵素で, 傍セントロメア領域のメチル化を行うと認識されている。マウスにおいては胎齢5.5-6.5日で発現が最大になり, innner cell massや胚盤のembryonic ectodermに局在する.*12
- Dnmt3b ノックアウトマウスは妊娠後期までに種々の異常を示して, 胎生致死である
- DNMT3Bは, 免疫グロブリン低下, 染色体異常, 顔貌異常を三主徴とする, まれなヒト常染色体劣勢疾患のICF症候群(immunodefeciency, centromeric instability, facial anomalies)の原因遺伝子とされる。
- DNMT3bには, 多くのsprice variantsが存在し, 一部は肝癌発生など発癌に関与している。
DNMT3L
DNMT3a, 3bと類似した構造をもつが, 酵素ドメインを欠き酵素活性はもたないとされる.
DNMT3aと共局在してDNMT3aのde novoメチル化活性を亢進させる*13働きをしているなど, 何らかのかたちでDNAメチル化に働いていると考えられる。
DNAの塩基の一つであるシトシンの5位にメチル基が付加される反応。 メチル基はS-アデノシルメチオニンにより供与され, DNMTによりシトシン5位に共有結合される。---エピジェネティックス, DNAメチル化
DNAのメチル化は発生の過程で後天的に生じる. DNA塩基配列が両親より受け継がれ, 全身すべての細胞において同一, 突然変異を受けなければ一生涯不変であるのとは異なっている。
哺乳類では受精直後に雄性配偶子と雌性配偶子のDNAメチル化が消去される。 卵割の過程において細胞特異的なメチル化プロファイルが作成され, 同一ゲノム情報をもつ全身諸細胞が高度に分化し機能を発揮するために重要なエピジェネティックス機構として働く
DNAメチル化は共有結合による強固な反応であるが, DNA塩基配列異常やLOHなどの構造異常と異なり可逆的な事象であるため, DNAメチル化異常を標的としたエピジェネティック治療が試みられる。
DNA脱メチル化剤
2011年3月11日、骨髄異形成症候群(MDS)治療薬のアザシチジン(商品名ビダーザ注射用100mg)が薬価収載され、同日、発売された。同薬は1月21日に製造承認を取得している。
適応は「骨髄異形成症候群」で、1日1回、皮下投与または10分かけて点滴静注する。「1週間投与、3週間休薬」を1クールとして投与を繰り返す。
国内での臨床第1/2相試験では、投与したMDS患者の全員に何らかの副作用が認められている。
主な副作用は、好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)(88.7%)、白血球減少症・血小板減少症(各84.9%)、ヘモグロビン減少・便秘(各69.8%)、注射部位反応(紅斑、発疹、そう痒感、硬結など)(66.0%)、赤血球減少症(62.3%)、ヘマトクリット減少(54.7%)、リンパ球減少症(52.8%)などが認められている。さらに、重大な副作用として、好中球減少症などの骨髄抑制などが高頻度に認められることにも留意しておかなければならない。