CD4+,CD56+ Hematodermal tumor_SPS227-Case08
1973年 ロックフェラー大学のRalph M. Steinman(右写真)とZanvil A. Cohnはマクロファージの食作用に端を発した研究から, 樹状細胞に関する最初の論文を発表した.*1 以来 44年, ほぼ半世紀をすぎ, DCの研究は多岐にわたっている.
Steinman教授は2011年10月3日にノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した. 直後に家族より教授が受賞決定の3日前に死去していたことが公表された. 彼は2007年に膵臓癌と診断され、自らが研究の対象とした樹状細胞を使用した治療を受けていた.
勉強中. ページ作成中( 2017-07-27) φ(・_・”)''
樹状細胞
- 骨髄細胞由来で全身の組織に分布している。各組織には, 分布, 細胞表面抗原, 機能の違いから分類されるさまざまなサブセットが存在する.
- 系統マーカ陰性(lin-), MHC classⅡ陽性で,樹状突起をもつ細胞. 白血球の約3%以内の存在比率.
- naive T細胞に抗原を提示する能力をもつ生体内で最も抗原提示能力の高い細胞
- 単一の細胞ではなく, 起源や機能の異なるサブセットよりなる
- 炎症状態では自然免疫と獲得免疫の橋渡し役をする最も強力な抗原提示細胞. 定常状態(炎症なし)では, 免疫寛容を誘導する制御細胞として免疫学的恒常性を維持する.
樹状細胞のサブセット, 細胞表面抗原はマウスを使った研究によるものが多い. ヒトの DCsサブセットやDCsの発現抗原, DCsの機能はマウスと異なっており、理解に注意が必要.
1) CD141(blood DC antigen[BDCA]-3)+DCs DCsの5%をしめる. CD141(=thrombomodulin)
2) CD1c(BDCA-1)+ DCs DCsの60%をしめる
3) CD303(BDCA-2)+, CD304(BDCA-4)+ pDCs DCsの35%をしめる
以前は骨髄前駆細胞から分化する骨髄系DCとリンパ球系前駆細胞から分化するリンパ球系DCの2系列のDCsが存在すると考えられ,それに基づいて分類されていたが,
その後の研究からDCサブセット上に発現するマーカではその起源を分類できないことがあきらかになった。すなわち, DCsは骨髄系, リンパ球系どちらの前駆細胞からも分化してくることがわかった。
■ ヒトDCsの局在
表皮のLangerhans細胞
非リンパ組織のDCs
リンパ組織のDCs
形質細胞様樹状細胞 plasmacytoid dendritic cells, pDCs
二次リンパ組織に定住するDC(conventional DCs and pDCs)の寿命は3-7日であり組織内においてほとんど増殖しないため、恒常性維持のため絶えず前駆細胞より供給される必要がある.*21
定常状態ではみられず炎症や感染時に認められるDCs
文献*22
CD11a;αL integlin, LFA-1(lymphocyte function associated antigen-1)αchain, ロタウイルスレセプター
分子内にEFハンドがありCa2+結合により高次構造が変わりうる.培養条件によりmonoclonal抗体の結合性は変化することで証明された. 細胞の活性化によって機能が変わるのはインテグリンの特徴である.
CD11aはCDとして認証される1982年以前よりLFA-1として知られていた分子. CD18をペアとしたヘテロ二量体を形成し, 単独の分子では機能しないためLFA-1はヘテロ二量体(CD11a/CD18)を指すことになった.(機能性の2分子を一つの名前で呼んでいる)
CD11aに次いで機能が類似し, 染色体局在も一致する遺伝子ファミリーのCD11b, CD11cが発見された. いずれもCD18とペアを形成し,CD11b/CD18はMAC-1とよばれた. CD11c/CD18ヘテロ二量体には特別な名がなく, gp150,90と呼ばれていた.
インテグリンという分子群名ができて, その構成因子であるCD11aはinteglinαL, CD11bはinteglin αM, CD11cはinteglin αX, CD18分子はinteglinβ2となり, LFA-1はintelin αLβ2, MAC-1はinteglinαMβ2, p150,90はinteglinαXβ2となった.
CD11aはインテグリンα鎖の共通性として約1000アミノ酸の一本鎖に膜貫通部, 50アミノ酸の細胞内部分を含むタイプI膜タンパク.
EFハンドと呼ばれるhelix-loop-helix構造が3~5回繰り返して存在する.これはカルモデュリンなどCa2+結合タンパクにも共通にみられ, アミノ酸間にCa2+が入りキレート構造を形成して安定化する.
細胞周辺にCa2+濃度が高まるとCa2+結合タンパクと結合して高次構造を変え今まで不安定なペプチド鎖が安定化して直角に曲がる.(CD11構造図参照)リガンドと結合してCD11aの高次構造が変化すると細胞間距離が縮まり接着することになる.
細胞外部分には7つのリピートのほか, 約200アミノ酸のIドメイン(inserted domain, A domainともいう)があり, リガンドとこの部分で特異的に結合する. 結合にはMg2+が必要である.
CD11aはLFA-1の名前にもあるようにT-cellにおもに局在するが単球, 好中球, NK細胞にも存在しとくに活性化されたときに発現が増大する.
CD11aは主にT細胞にあって, リガンドはICAM-1(CD54)である. ICAM-2(CD102), ICAM-3(CD50)とも結合する. リガンドは免疫グロブリンファミリーでありそのN末端の第一ドメインがCD11aのIドメインと結合する。
CD11b, cの共通するペア分子はCD18.共通するリガンドはICAM-1で, CD11aと異なりICAM-2,3ではなく, 補体のC3b分解物が共通のリガンドとなる。CD11b/CD18はcomplement receptor3(CR3)となり, CD11c/CD18はcomplement4(CR4)とよばれる.
MAC-1(CD11b/CD18)は単球, Mφにおもに発現するが顆粒球, NK細胞にもみられる.正常皮膚, 乾皮症, 扁桃, メラノーマなどに混在するMφに発現し, Langerhans細胞, 正常メラノサイト, 内皮細胞, T細胞, B細胞などには認められない.
CD11c/CD18は顆粒球に出現するが, 単球, Mφ, 樹状細胞, NK細胞にも発現する. 骨髄単球系の培養細胞ではいずれの系にも発現して明確な区別はない.