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Cytogenetic location: 1p34.2 Genomic coordinates (GRCh38): 1:43,336,874-43,354,463 (from NCBI)
NCBI Gene ID: 4352
MPL遺伝子は多能性前駆細胞と血小板を産生する血液成長因子thrombopoietin(THPO; OMIM;600044)の受容体をコードする。
Penciolelli et al. *1(1987)が最初にこのたんぱく質をラットに急性白血病を発症するレトロウイルスに発見しmyeloproliferative leukemia virus' (MPLV)と名付けた.
マウスのMPLたんぱく質は赤血球, 顆粒球, および巨核球前駆細胞を急速に増殖させ多血症, 血小板増多, 肝脾腫をきたすことが確認された。MPLVはreplication-defective, 非肉腫誘発性レトロウイするであることが示された。
Pikman et al. *2(2006) および Pardanani et al. *3(2006) は別々にmyeloid metaplasia(OMIM 254450)を伴う骨髄線維症 and/or 血小板血症患者に機能亢進型のMPL遺伝子codon515の体細胞変異(W515L, OMIM159530.0011; W515K, OMIM159530.0012)を発見した。
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c-Mplは多機能性血液幹細胞と前駆細胞から血小板までの巨核球系細胞に出現するclassI cytokine receptorでthrombopoietinに選択的に結合する。JAK/STAT, RAS, mitogen-activated protein kinase pathwayを介してシグナル伝達を行う。
ClassI hematopoietic receptorはリガンドのサイトカインとおおよそ200aaのcytokine receptor homology(CRH)あるいはhemaopoietic receptor domainと呼ばれるIg-like extracellular domainsにより会合する。このdomainは特有のWSXWS motifをもつ。
c-Mplはhematopoietic receptorに属し, 細胞外部分に2つのCRH domainを有し, それぞれにWSXWS motifを持つ。*4 *5
本態性血小板血症(ET)においては, 症例の4-7%にMPL exon10, W515の変異が認められる。ほとんどがW515L/K. COSMIC data(2017Feb)*6によると515L(47.8%; 167/349cases), 515K(15.7%), 515A(1.4%), 515R(1.1%), 515?(59/349;16.9%)
MPLexon10, S505N変異はhereditary thrombocytosis(HT)におけるgerm-line mutationでも, sporadic ETの体細胞変異のいずれも報告されている. *7*8
triple-negative ETは, JAK2V617F, MPLW515X(ほぼX=L/K), CALR exon9変異を持たないessential thrombocythemia.
Milosevic Feenstra*9ら, Cabagnolsら*10により, MPNsに認められる典型的(classical)な変異をもたないET,PMF(primary myelofibrosis), いわゆるtriple-negative caseにおいて, 新しい MPL, JAK2遺伝子変異をwhole exome/genome sequenceにより検出した。
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TN-ETにみられるMPLnon-canonical mutation;T119I, S204F/P, E230G,(以上 exon3, 4, 5), Y252H, V501A, S505N, G509C, Y591D/Nこの他 W515Xのうち, まれなW515R/Aが検出されている。すべての変異はheterozygous.
これら変異のうち, MPLS204PとMPLY591N変異*10, T119I, S204F, E230G, Y591D*9にはgain-of-functionが認められた。
かなりの割合のTN-ETが, non-clonal diseaseであることが提示された。TN-ETが予後が良いことの説明になるとともに, これらの症例にはもちろんcytotoxicな治療は不要であるといえる。
しかし, 血小板増多はあるので血栓形成の心配はあるのではないか? 疑問。