ドイツの病理医, Dr. Friedrich Wegener(1907-1990)が1935年, 症例を報告し, 特異な血管炎を示す、Periarteritis Nodosa(PN)とは異なった独立した疾患として報告した*1*2。
破壊性副鼻腔炎, 肺膿瘍, 尿毒症を呈し, 血管炎と肉芽腫により特徴づけられる症例をHeinz Klinger(ベルリンの病理医)がWegener以前に, PNの境界型として報告しているが, Wegenerは新しい疾患として研究をおこない, 3症例を「On Generalised Septic Vessel Disease」として1936年に記載している*3
古典的トリアス
1. 上気道肺の壊死性肉芽腫
2. 全身血管炎
3. 壊死性腎炎
トリアスがそろうまで診断がつかないというのは大きな間違いで、そろったときには患者さんは死んでしまう。 そうならないうちにWegenerを診断して適切な治療を開始することが大事。
5型の臨床型がある。
1. 上気道・肺・腎に病変を示すclassical type--ほとんどが剖検症例
2. 限局型WG, 肺にだけ病変を示す型
3. 上気道に限局する表層性・限局性WG
4. びまん性肺出血を起こす型--劇症型、致死的。肺移植などが必要
5. 糸球体腎炎主体型
Wegenerには以上の, 5型があるという認識を持っていることが臨床も病理にも大切
antineutrophilic cytoplasmic antibodies (ANCA) 好中球, 組織球の顆粒に対する自己抗体, 間接免疫蛍光法またはELISAで検出する。
C-ANCA: びまん性顆粒状に細胞質が免疫染色される。アズール顆粒に含まれる29-kdの中性セリンプロテアーゼであるproteinase-3が抗原。PR3-ANCAとも呼ぶ。 Wegener肉芽腫にたいして高度に特異的であるが, 偽陽性*4*5*6*7*8があり, 感染*9, 膠原病, 線維性肺疾患, 慢性過敏性肺臓炎, 肺塞栓症, 悪性腫瘍, 炎症性腸疾患などで陽性の報告がある。 Wegener肉芽腫, 全身型の90%以上, 限局型の約60%に陽性を示す。
P-ANCA: myeloperoxydase(MPO)へ直接反応する, MPO-ANCA. P-ANCAにはまれながらMPO以外の抗原,enolase, catalase, cathepsin G, elastase, lactoferinおよびlysozymeなどに反応するものがある。この場合免疫染色では異常な染まり方*10*11をしめす。診断にはELISAが推奨される。 P-ANCAのWegener肉芽腫への特異性はC-ANCAよりかなり低い。半月体形成性腎炎, 顕微鏡的血管炎,Churg-Strauss症候群で陽性となる。Wegener肉芽腫では5-10%の症例に陽性を示す。*12*13
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palisading granulomaがWegenerの診断に, とっても大事な病変
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1.Classic Wegener's 古典的Wegener
2. BOOP-like variant BOOP様変異型
3. alveolar hemorrhage and capillaritis 肺胞内出血および毛細血管炎型
肺胞壁に多数の好中球浸潤。肺胞腔内に出血。 capillaritisが起こるWegener' granulomatosis劇症型には, なかなか肉芽腫性病変を見つけることは難しい
capillaritisの組織所見*17
capillaritis 毛細血管炎の画像リンクページ--capillaritis01<--クリックでリンクへ移動。
■ Case-01
76歳男性 (Post mortum needle examination -- lung, kidney )
腎臓の病理組織所見-->壊死性糸球体腎炎
--->Wegener's granulomatosis急性腎不全症例のリンク Pittsburgh Univ. Dep. of Pathology Online Case Studies
肺の病理所見
■ Case-02 bronchocentric type Wegener granulomatosis