Wikipathologica-KDP

傍神経節腫瘍 paraganglioma

パラガングリア 傍神経節(系)
primitive autonomic gangliaは神経堤細胞に由来し, 発生学的に交感神経節副腎髄質を含むparagangliaの2方向へ分化する。
paragangliaはprimitive autonomic ganglia が内分泌の性格をもって分化し自律神経節や神経叢近傍に,円形の集合体をつくり全身性に散在したもの. 一部の細胞は副腎皮質の間に進入し次第に融合して副腎髄質を形成する

副腎髄質外extraadrenal paraganglion sytemは2つの大きなカテゴリに分けられる。

  • 1つは, 副交感神経系 (第9, 10神経とおそらく第3, 5脳神経)と関連する。もう1つは交感神経系に連結している。

しばしば微小なparagangliaが偶然, 膀胱, 前立腺, 胆嚢, 脾臓被膜, S状結腸間膜に見つかることがあり癌の微小転移巣と見誤らないことが肝要である。

パラガングリアと副腎髄質は基本的に相同の器官である。そのため副腎髄質腫瘍と同じ腫瘍が交感神経節やパラガングリアの豊富に存在する後腹膜, とくに副腎周囲やその他身体各所に生じる場合がある。

交感神経節--paragangliaとは密な関連があるが異なる器官

交感神経幹の形成

○ 胸部領域の神経堤細胞が脊髄両側に沿って移動し大動脈の背外側部に対になった細胞塊(神経節)を形成する。分節状に配列したこれらの交感神経節 synpathetic gangliaが神経繊維により連結され椎体の両側に鎖状になった交感神経幹をつくる。

○ 大動脈腹側に移動した神経堤細胞は腹腔神経節 celiac gangliaや腸間膜神経節 mesenteric gangliaのような大動脈前神経節preaortic ganglia内のニューロンを形成する。

○ 心臓, 肺, 胃腸管の器官内あるいは近傍には交感性器官内神経叢があり、その終末神経節も移動した神経堤細胞からなる。

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MIBG(metaiodobenzylguanidine)はノルエピネフリン再摂取機構(uptake-1)および一部は受動拡散を介して交感神経末端のカテコラミン貯蔵顆粒や副腎髄質のchromaffin貯留顆粒に取り込まれる。1981年Wielandらにより副腎髄質イメージング製剤として開発された。*1

MIBGは神経外胚葉由来の腫瘍を含む神経外胚葉組織に選択的に集積し131-I MIBGや123-I MIBGが原発巣や転移巣の検出に利用されている。具体的には褐色細胞腫, 傍神経節腫, 神経芽腫, カルチノイド腫瘍 甲状腺髄様癌, メルケル細胞腫, MEN2症候群などに有用性が示されている。*2

嶋田 仁ほか(聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科), 巨大後腹膜傍神経節腫の1例 臨床外科 (0386-9857)64巻3号 Page403-406(2009.03): 20cmを超える後腹膜paragangliomaの症例 本邦106例の後腹膜paragangliomaの平均は9.9cm.

奥野 将之ほか(岸和田市立岸和田市民病院 外科), 後腹膜に発生した巨大な機能性paragangliomaの1切除例(原著論文/症例報告) 臨床外科 (0386-9857)65巻8号 Page1179-1185(2010.08):.後腹膜発生の機能性paragangliomaは非機能性のものと比較して腫瘍径が小さく,平均6.5cmと報告されている.本症例は長径14cmと機能性のものとしては巨大であり,腫瘍切除の際に十二指腸壁・下大静脈壁の合併切除を要した。

   

逢坂 公人ほか(横須賀共済病院 泌尿器科), 後腹膜に発生した巨大Paragangliomaの1例 泌尿器科紀要 (0018-1994)56巻7号 Page377-380(2010.07)


*1 Wieland DM, et al: J Nucl Med 1981; 22: 358-364.
*2 Bombardieri E, et al: Eur J Nucl Med Mol Imaging 2010; 37: 2436-2446

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