VEGF-vascular endothelial growth factor 血管内皮増殖因子
3番染色体短腕に責任遺伝子が存在する常染色体顕性(優性)遺伝性疾患. 発生頻度は4-5万人に1人.
中枢神経, 網膜, 副腎, および膵臓などの多臓器に腫瘍性あるいは嚢胞性病変を認め, 約50%に比較的若年性に腎細胞癌を発症する.
本邦の大規模なVHL病の疫学調査では276家系から409症例の患者さんデータを集積し, 腎細胞癌発症を206例(50.4%)に認めた.*1
発症頻度に性差はなく, 発症年齢の平均値は 37.8歳であり, 有転移症例は23例(11.2%).
治療は, 腎部分切除(46%), 腎摘除術(31%), およびラジオ波焼却術(14%)が施行され, 外科治療歴は平均1.6回.
腎細胞癌による死亡者数は6例(2.9%)で, 10年生存率は94%であった.
VHLの初発症状は, 小児期, 思春期, および成人時期いずれにもみられる. 平均年齢は約26歳. VHL関連腫瘍は
● 脳(小脳), 脊髄のHemangioblastoma
● Retinal capillary hemangioblastomas (retinal angiomas)
● Clear cell renal cell carcinomas (RCCs)
● Pheochromocytomas
● 中耳の Endolymphatic sac tumors
● 膵の Serous cystadenomas と neuroendocrine tumors
● 精巣上体と広靭帯の Papillary cystadenomas
1993年に最初の腎癌抑制遺伝子VHLが同定された.---VHL遺伝子, タンパク質の詳細ページ
VHLはHIFに対するE3ユビキチンリガーゼ複合体の構成タンパク質の一つで,
VHL複合体異常は, HIF分解低下, 蓄積をきたし, HIFによる転写調節を受ける, VEGF, PDGF, TGFαが腫瘍化に促進的に働いていることが明らかにされた. *2
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