Haematopathology-WHO 5th classification
再現性のある遺伝子異常を呈する急性骨髄性白血病の一型
通常, 異常な好酸球増多を伴う単球および顆粒球分化を示すAML-M4eosの形態をとる。Synonymに AML with abnormal marrow eosinophilsがある。
56yo female AML-M4Eo with inv(16)(p13.1q22)
中央と右にbasophilicな大型顆粒をもつ異常好酸球が認められる。この症例では異常好酸球が少なかった。(クリックで大きな画像がみられます)
56yo female
骨髄組織所見 HE染色
骨髄 clot section: particlesは境界不明瞭. cellularity 70-90%の過形成髄. 赤芽球血島はわずかに認められるのみ. Mgkは散見されるが数は少ない. granulopoietic hyperplasia像と考えられる.(HE 低倍率)
HE(高倍率)では類円形および, くびれのあるvesicularな核を有するN/C比大の細胞がシート状に増殖している.1-2個の核小体明瞭な核が多い. 細胞質は淡明, 泡沫様で境界は不明瞭となっている. 多数の核分裂像が認められる.
芽球, 幼若細胞のびまん性増殖の所見. 淡明な細胞質, 細胞境界不明瞭なくびれた核の細胞は単芽球, 前単球様である.
骨髄組織 Naphtol-ASD-CAE染色
Naphtol-ASD-CAE-Giemsa染色:細胞質が赤染しないimmatureな芽球のほか, 丸く大き目な顆粒をもった細胞が多数認められる. 高倍率では Naphtol-ASD-CAE陰性の芽球, 赤く染まる幼若細胞, オレンジ色調の大きめな丸い顆粒をもつ好酸球と考えられる細胞が増加している. 芽球には強いくびれやねじれた核の細胞が多くみられ, 単芽球の増殖が推察される.
単球様形態をとる芽球の増殖と多数の好酸球増加から Acute myelomonocytic leukaemia with eosinophilia(AML-M4eos)の診断があげられる. smearで異常な好酸球を確認へ.
Bone marrow smear/ blood filmの所見
好酸性大型顆粒をもつ幼若好酸球が認められる他, 好塩基性顆粒の異常な顆粒をもつ好酸球が増加している.
核型
46,XX,inv(16)(p13.1q22)が認められている.
病理組織診断: acute myelocytic leukaemia with inv(16)(p13.1q22), CBFβ::MYH11
inv(16)(p13q22) CBFB/MYH11 in treatment related leukemia(Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology*1)
t(8;21)(q22;q22)および inv(16)(p13.1;q22)/ t(16;16)(p13.1;q22)の染色体異常をもつ急性骨髄性白血病AMLはそれぞれRUNX1-RUNX1T1, CBFB-MYH11融合遺伝子によるfusion product proteinが 転写因子RUNX1とCBFβにより構成されるcore-binding factor(CBF)の正常機能を消失させることでAML発症に関連すると考えられている.
これらのAMLは上記の機序により, CBF-AMLと呼称される. *2*3
inv(16)(p13.1;q22), t(16;16)(p13.1;q22)
いずれも16番染色体q22に局在するcore binding factorβ(CBFβ)をコードするCBFB遺伝子と16番染色体p13.1に存在し, smooth muscle myosin heavy chainをコードするMYH11遺伝子が融合遺伝子を形成する. CBFβはRUNX1遺伝子産物である, CBFαとヘテロダイマーを形成し T細胞受容体やサイトカインの発現調節に関わる転写調節因子として働く.染色体分析で異常が見られない場合にもFISH法やRT-PCR法により融合遺伝子を検出できることがある.
40%のAML with inv(16)(p13.1;q22)/ t(16;16)(p13.1;q22)症例では+22, +8, +21, del(7q)など付加的染色体異常がみられ,
90%以上の症例には, KIT, NRAS, KRAS, FLT3など二次的遺伝子変異が併存している.