Wikipathologica-KDP

骨髄病理のお勉強

骨髄クロット・生検組織のナフトールAS-Dクロロアセテート・ギムザ二重染色

磐田市立総合病院病理診断科 黒田志保,谷岡書彦

注:一枚一枚スライドグラスに染色液をのせる、載せガラス法です。ドーゼで染める方法と容量が異なります。下記の処方で1-2枚の染色が可能です。

名古屋第一赤十字病院 伊藤雅文先生 絶賛の染め上がりです。ちょっと自慢。

試薬の調整

(1)液:4%ニューフクシン液--ニューフクシン0.5g2N塩酸 12.5mlを混和する。

  • 長期保存可, 使用時はよく混和して用いること。

(2)液:4%亜硝酸ナトリウム溶液, ( ジアゾ化反応なので亜硫酸ナトリウムでは染まらない。)

(3)液:ナフトールAS-Dクロロアセテート溶液

  • ナフトールAS-Dクロロアセテート(-20℃冷凍保存)0.025gN, N-ジメチルホルムアミド(冷蔵保存)2.5mlを混ぜる。

pH7.4 リン酸緩衝液

pH6.6 リン酸緩衝液

ギムザ染色液: pH6.6リン酸緩衝液 2.5mlにメルク製ギムザ液をスポイトで1-2滴加える。(使用時調整すること)

酢酸液: 50mlの蒸留水に酢酸原液(氷酢酸;扱い注意)をスポイトで1-2滴加える

染色手技

1.10ml スピッツに(1)液 12.5μl, と(2)液 12.5μlを使用直前に混和し, vortex. (褐色調の液)<--ここが重要. 完全にニューフクシンをジアゾ化させることが大切です。

2.上記混合液にpH7.4リン酸緩衝液を加えて全量を4.75mlにする。--->A液

3.A液に(3)液250μlを使用直前に混ぜ, 染色液とする。(混濁したピンク色)

4.3をまぜたらスライドに液をのせて、すぐに染色を開始する。--30分

ASD-macro01.jpg ASD-macro02.jpg

最初は白濁したピンク色の染色液の白濁がとれてローズ色の結晶が出現(右図)してくる。

5.軽く水洗して染色のチェック--顆粒球の細胞質がローズピンクに染まることを確認。

6.ギムザ染色液をのせて30分染色。

7.酢酸液で分別する。ギムザ液単独の染色時と比べやや強染傾向となるので注意。

8.イソプロパノール・アセトン等量混合液 脱水-- ギムザの染色性の保持が他のアルコール類より良い。脱水が早く完了する。

9.透徹、封入して染色完了。

7,8はドーゼの液内でスライドを5-6回上下させてなじませる。7-->8の順になじませて鏡検する。分別が悪い(赤血球に緑がかぶる状態など)ときは7-->8を繰り返す。

ニューフクシンはアルコール系薬剤とキシレン系薬剤に溶け出しやすいので早めに封入まで完了すること。(ニューフクシンのローズピンクが薄くなってしまう原因となる)

生検組織で脱水が必要な場合。蟻酸あるいはKCXなどの酸性脱灰液を使用するとASD/Giemsaはまったく染まらなくなります。脱灰が必要ならpH7.0 EDTA脱灰をしましょう。(シリンダー状の生検組織なら時間はかからず、きれいに脱灰できます。)

試薬購入先と価格

当院で使用している試薬です。これがベストのお薦めというわけではありません。

染色の実際

ナフトールASD/Giemsa染色がうまくいっているかどうかを判断するにはメタクロマジアを示すmast cellがうまく同定できるかどうかを第一の目安にする( Dr. 伊藤雅文)

赤血球が緑がかって染まるときは分別不足です。 もう少し分別をがんばりましょう。

酸性化したホルマリンで固定すると染まりが悪くなります。


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS