Wikipathologica-KDP
リンク:FDCS(Follicular dendritic cell sarcoma)の疾患解説ページ
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Follicular dendritic cell sarcoma症例†
FDCS症例01†
30歳代男性/ 大網腫瘍
上腹部圧迫感で受診. 画像所見で大網に13x11cmの腫瘤を認める。腫瘍摘出および膵脾合併切除術が行われる。腫瘍本体は網嚢内に位置. daughter lesionが複数認められた。膵脾には浸潤なし。リンパ節転移あり。6ヶ月後に腹膜播種で再発。
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病理組織所見
腫瘍は, 細血管を含む細い線維組織束で分画された胞巣状充実性病変で(Fig01),類円形ないし卵円形のvesicularな核をもつ円形, 多稜形の細胞が増殖している。核小体は小型, やや不明瞭。細胞質は境界が不鮮明で好酸性泡沫状を呈するものが多い。大型核やbizzarreな核の出現も認められる(Fig02-05)。血管周囲にリンパ球浸潤が認められる部分がある(Fig06,07)。
FDCS症例02 Castleman病に合併した症例†
30歳代女性/ 前・中縦隔腫瘤
Follicular dendritic cell sarcoma/ tumor arising from Castleman's disease
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FDCSの臨床病理学事項*1†
FDCSの病理学的特徴
- リンパ節構造は部分的あるいは完全に破壊される。前者では腫瘍部と非腫瘍部の境界は比較的明瞭である。
- 卵円形, 紡錘形および多稜形細胞の束状, 充実性, ときに渦巻状増殖巣などからなる。濾胞性リンパ腫様の濾胞構造をともなうこともある。
- 個々の腫瘍細胞は卵円形核を有し, 核膜は薄く, クロマチンは核縁により核小体は不鮮明あるいは相対的に小型である。多核(分葉核)や核内偽封入体を認めることもある。核分裂の頻度は低い。
- 細胞質は淡く, やや好酸性で細胞境界は不明瞭。
- 反応性の小型リンパ球が病変内に多く認められ, 孤在性, 散在性あるいは集簇性に分布しときに血管周囲性にみられる。
FDCSの臨床的特徴
- 非腫瘍性リンパ濾胞に存在するFDC(follicular dendritic cells)への分化を示す悪性腫瘍
- 発症年齢は平均43歳(17-75歳)で女性にやや多い
- 2/3は無痛性,緩徐に増大するリンパ節腫大で典型例では頸部リンパ節に発症する. 腋窩, 縦隔, 腸間膜, 後腹膜, 鎖骨上窩リンパ節病変もよく見られる.
- 30%は節外病変. 腹部, 上気道, 軟部組織の順に多い-- 扁桃, 口腔, 消化管, 腹腔内軟部組織, 乳腺.
- 腹腔病変では腹痛をきたすことがある. 通常, 全身症状は炎症性偽腫瘍様ヴァリアントを除いて認められられない.
- 腫瘍径は1-20cm(平均7cm). 最大の腫瘤(up to 20cm)は後腹腔や縦隔に発生し. 最小腫瘤(1cm)は通常, 頸部リンパ節, 扁桃にみられる.
- 腫瘍は境界明瞭, 充実性pinkからtan-grayの色調を呈する. 特に大きな腫瘍では, 壊死または肉眼的出血が時折見られることがある.
- EBV感染合併例は12%と多くないが存在する.
- 少数例では, hyaline-vascular Castleman's diseaseやinflammatory pseudotumorに続発する
FDCの10-20%はCastleman diseaseが先行あるいは併存して発症する. ほとんどがhyaline vascular typeでまれにplasma cell variantである.*1*2
- ときに, 先行するCastleman diseaseの病変内に濾胞樹状細胞過形成領域が認められることがあり, FDCSはこの過形成組織より発生すると考えられている.*3
- FDCSとCastleman diseaseの両方に罹患した患者さんの一部は腫瘍随伴性天疱瘡を合併することがある*4.
- 長年の統合失調症の病歴をもち向精神病薬服用中に発生した例が報告されている.*5
inflammatory pseudotumor/ inflammatory myofibroblastic tumor様のFDC--肝, 脾の病変†
SPS-城南217 Case01 豊橋市民病院の症例