Angioimmunoblastic T-cell lymphoma (AITL)
PD-1; programmed cell death 1, CD279†
CD28, CTLA-4と類似性の高い膜貫通I型蛋白質。蛋白をコードする遺伝子は1992年にHonjoらによりプログラム細胞死刺激により発現が誘導される遺伝子として単離同定された.*1
- 細胞外領域にIgV様ドメインを1個有し(Ig superfamilyの一員), T細胞の抗原刺激において興奮性の補助刺激を伝達するCD28および抑制性の補助刺激を伝達するCTLA-4(CD152)とファミリーを形成する。
- PD-1は50-55kdのtype I 膜貫通型糖タンパク質で単一のIgVタイプ細胞外ドメインより構成される。このドメインはCTLA-4, CD28, ICOSと21-33%のシークエンスが相同である。*2
- 細胞内領域には2個のチロシン残基をもちN末端側チロシン残基は免疫反応を負に制御する一連の分子に見られるITIM(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)、C末端チロシン残基はITSM(immunoreceptor tyrosine-based switch motif)に一致している。
- 抗原受容体刺激と同時にPD-1が刺激されるとPD-1のITSMがチロシンリン酸化をうけ蛋白質・チロシン脱リン酸化酵素・SHP-2をリクルートし, SHP-2が抗原刺激により引き起こされる種々のシグナル伝達分子チロシンリン酸化を阻害する。これにより抗原受容体刺激が抑制される。
- ITIM (immune tyrosine-based inhibitory motif): V/IxYxxLのアミノ酸配列からなる(xは任意のアミノ酸). 種々の抑制化レセプターの細胞内領域に認められリガンドの認識によりチロシンリン酸化がおこりSHP-1などのフォスファターゼを動員する。その結果ITAMを介した活性化レセプターからのリン酸化シグナルに対し脱リン酸化をおこして活性化シグナルを阻害する. ITIMをもった分子としてはKIRなどのNK細胞レセプターの他B細胞に発現するFcγRⅡ, T細胞のCTLA4等さまざまな分子がある.
- ITAM (immune tyrosine-based activating motif): YxxI/Lx(6-8)YxxI/Lのアミノ酸配列からなる.T細胞レセプターのシグナル伝達分子CD3γ, δ, ε, ζ鎖, B細胞レセプターの伝達分子Igα, β鎖, 活性化NK細胞レセプターのDAP12の細胞内領域に認められる. 会合するレセプターがリガンドを認識することにより, ITAMのチロシンのリン酸化に始まりZAP70やSykといったチロシンキナーゼのリン酸化が誘導され活性化シグナルが伝達される。
- PD-1欠損マウスは自己免疫疾患を自然発症する他, ある種の感染症おいて過剰な免疫応答により死亡する。
- PD-1は自己に対する不適切な免疫応答や感染時過剰免疫応答を抑制していると考えられる。
- PD-1は活性化されたT細胞, B細胞, 骨髄系細胞に発現する
- PD-1欠損マウスの自己免疫疾患の特徴としてマウス系統により標的臓器および症状, 病態が大きく異なっている。これはPD-1が複数の分子と協調して働き自己免疫応答をさまざまな局面で抑制していると推察される。
- PD-1と協調して自己免疫を制御する膜蛋白 LAG-3がOkazakiらにより発見された*3
- LAG-3はCD4類縁分子として20年以上前に同定された膜蛋白*4. 近年免疫応答を抑制する可能性および制御性T細胞に発現することなどが報告され注目を集めている
CXCL-13とともにfollicular helper T-cell(TFH)に発現し, TFHをnormal counterpartとするangioimmunoblastic T-cell lymphomaの腫瘍T細胞に発現するとされる。*5
- follicular helper T-cellのmarkersには CD10, BCL6, PD-1, CXCL13, ICOS-1が用いられる
- TFHマーカーであるPD-1(CD279),ICOS,BCL6,CXCL13,CD10の発現で,感度と特異性のレベルは様々である(PD1とICOSはCD10,CXCL13よりも感度が高いが特異度は低くなる.)
- BCL6発現は強い場合だけ有用. より特異的であり診断に有用であるが,感度は低い。(Only strong BCL6 expression is useful, as it is more specific, but sensitivity is low.)
- ほとんどの症例は少なくとも2つのTFHマーカー*6*7*8を発現している。
- IDH2 p.R172変異例では,腫瘍細胞はCD10とCXCL13に強い陽性を示すことが多く,R172Kが関与する場合にはIDH2免疫組織化学で強調することができる*9 29981867 }。
- RHOA p.G17V(NP_001655.1)変異型nTFHL-AIの大部分は少なくとも3つのTFHマーカーを発現する{ 26574844 }。
- 組織,骨髄吸引液,末梢血のFCMによる異常なCD4/CD10+あるいはCD4/bright PD1+ T細胞集団の検出は診断に役立つかもしれないPMIDPMID
WHO 5th: follicular helper T-cell neoplasm, angioimmunoblastic type: (nTFHL-AI と略すようです)-->
Nodal TFH cell lymphoma-angioimmunoblastic-type.txt