Wikipathologica-KDP
Marginal zoneの拡大増生/増殖: 正常/非腫瘍性での増殖は脾臓ではある. 節外性臓器ではまれにあるが, リンパ節ではまずおこらない(Dr.中村直哉, No53網内系学会)
Splenic marginal zone lymphoma 脾臓(原発)marginal zone lymphoma†
文献*1
- 種々の程度に脾腫がある.時に骨髄に浸潤し, 白血化もまれではない. 表在リンパ節腫大は通常みられない.
- 脾生検や脾摘をおこなうことは少なく, 骨髄穿刺/生検あるいは末梢血液像(白血化の場合)により診断を求められることが多い.
- 免疫組織化学でmarginal zone lymphoma(MZL)に特異的なphenotypeは見つかっていない. リンパ節脾臓のMZLはHE像でのmarginal zone 形成がまず疑いの根拠になる.
SP-MZLの骨髄浸潤所見†
- SP-MZLは骨髄浸潤は濾胞構造をつくらないことが多く, 診断が困難となる. 形質細胞分化を伴う場合と伴わない場合があり, 形質細胞分化がとくに顕著な場合は, plasma cell myelomaとの鑑別が必要になることもある.
- 小型B細胞が洞内に増殖する像があれば, まずSP-MZLを考える(脾腫の存在を確かめる). ただしHairly cell leukaemiaもこのパターンをとりうることに注意が必要. また洞内増殖細胞が大型多型のときはIVLに注意する.
- 骨髄びまん性増殖内に反応性胚中心を認める場合は, SP-MZLの可能性が高い. BCL-2は陰性であり, BLC2陽性B-CLLのproliferation centerとは鑑別が可能である.
- 細胞は小型から中型, 淡明あるいは, ~中等度の好酸性細胞質をもつ.小さな核小体を有する細胞が多い.
- 骨髄smearでは, 核偏在性の細胞で, 自然乾燥標本(作ることが大切)では, 毛様突起が観察されることが多い.(Hairly cell leukaemiaも同じ)
immunophenotype†
- 陽性 CD20, CD19他B-cell lineage markers. BCL2
- 陰性: CD3, CD10, BCL6(感度がよいIHCでは弱陽性になる), cyclinD1, SOX11, EBER-ISH, CD103, CD123
- MUM1: 陽性陰性どちらもある. CD5はSP-MZLの~20%に陽性となる. 陽性陰性例のphenotypeの差ははっきりしていない.
- FCM: CD19, CD20, CD21, CD22が陽性になる. kappa/lambda LCのいずれかが明らかに偏って陽性となる(軽鎖偏倚あり)
染色体・遺伝子異常†
- karyotype: +3, +8, +18のtrisomyを示すことが多い. 7q欠失
- KLF2変異/欠損, MAP2K1変異, NOCHT2変異, TP53欠失[del(7q)]が報告されている.
SP-MZL 脾臓の病理所見†
正常の脾臓では, 胚中心, mantle zone, marginal zoneの3層構造が明瞭な白脾髄が形成されている. リンパ節と異なり, marginal zoneが明瞭である.
SP-MZLは上記正常白脾髄の構造を保ちながら,リンパ腫細胞が増殖する. 白脾髄は大きく, 数が増加し胚中心とマントル層は小さくなる. marginal zoneが拡大するため赤脾髄は狭くなる.
これらの変化が目立たない症例も存在する.
marginal zoneは軽度から中等度に好酸性の細胞質をもち類円形あるいは軽度のくびれをもつ小型核のリンパ球, いわゆるmonocytoid cellsからなる. 小型T-cellや大型B-cellの混在がある.
免疫形質,immunophenotypeは骨髄と同様. CD21, CD23, CD35, FDCなどの抗体で疎なFDC meshworkを確認できる.
白脾髄周囲にはplasma cellが増加. LCの偏倚からclonalityが証明される場合や偏りはみられずpolyclonalとする場合がある.
鑑別診断
follicular lymphoma, mantle cell lymphoma
low-grade B-cell lymphoma, NOS
splenic red pulp low grade B-cell lymphoma; 腫瘍細胞は脾の赤脾髄に増殖する. 骨髄のみでは鑑別は困難.