Nodular lymphocyte predominant Hodgkin lymphoma
T-cell/histiocyte rich large B-cell lymphoma†
WHO 5th calssification --> [[疾患の記述>
T-HrichLBCL-WHO5th.txt]]
定義
10%未満の大きな腫瘍性B細胞を有し、T細胞および組織球が豊富なびまん性背景に散在し、背景に小型B細胞は実質的に存在しない侵攻性B細胞リンパ腫。
一部の症例は、結節性リンパ球優位ホジキンリンパ腫(NLPHL)と臨床的、免疫表現型的、分子生物学的に顕著な重複を示す。
必須および望ましい診断基準
必須:
- リンパ節構造のびまん性浸潤(結節は認めない) : 組織像のところにvague nodularの記載があるけど基本びまん性の組織像のみとかんがえていてよい.
- 凝集塊やシート形成のない、単発的に散在する大型B細胞
- 組織球と小型T細胞に富む反応性背景で、小型B細胞は散在しない(または少ない)
- CD21またはCD23染色によるFDCメッシュワークの欠如
- 結節性リンパ球優位のホジキンリンパ腫を認めない .
望ましい:
リンパ節切除が望ましい(生検での診断は困難)
EBVとの関連を除外する. WHO 5thはEBV 陰性としている
組織所見†
T-cell/Histiocyte rich large B-cell lymphomaの病理組織像
- リンパ節組織にびまん性または漠然とした結節性浸潤を認める*1
- 低倍率像: リンパ節組織に、背景の組織球集団に小型T細胞が混在したことに起因する特徴的な淡好酸性の外観がある。一方、好酸球や形質細胞はほとんど見られない。
- 腫瘍性大型B細胞はランダムに散在し, 凝集塊やシートは形成されない。lymphocyte-predominant cells, centroblasts, immunoblastsからHRS様細胞まで、様々な外観を呈する*2*3*4。
- 血管周囲に残存する大きな細胞を伴う壊死病巣と著明な線維化がみられることがある。
- 骨髄: THRLBCLによる病変は、びまん性であったり、結節性、骨梁間性、傍骨梁性であったりする。よーするに特定のパターンはない.
- 脾臓:小結節性の白色髄鞘病変がみられ、線維化間質中に小結節が合体することもある.*5
- 肝臓: 腫瘍細胞は, 門脈に浸潤し, 不規則に拡大する。
鑑別診断: T-cell/ Histiocyte-rich B-cell lymphoma(T/HRBL)†
NLPHL vs T-cell/ Histiocyte-rich B-cell lymphoma(T/HRBL)
両者の腫瘍細胞は免疫形質においてほぼ同じであるが背景成分に違いが認められる*6
NLPHLの典型例(pattern A)ではB細胞から構成される結節性病変を形成するので鑑別は比較的容易である.
結節性病変が不明瞭で, びまん性病変がめだつ症例では診断に苦慮する.
- IgDの発現がNLPHLの腫瘍細胞に多いとする報告がある.
- NLPHLでは背景T細胞にCD57陽性細胞が多いこと, CD57, PD-1陽性細胞ロゼット形成が腫瘍細胞周囲に認められることがT/H rich BLCLとの相違点.
- NLPHLは臨床病期 I, Ⅱの限局症例が多いのに対し, T/H rich LBCLは進行期のものが多い.
- NLPHLの背景にはFDCの大きなmeshworkが形成されB細胞, 組織球および多数の胚中心CD4+T細胞でみたされている. ''T細胞はCD3, CD4, PD1, CD57, MUM1/IRF4が陽性.
- NLPHLの背景T細胞にはTIA1+, CD40L+のT細胞は認められない.
- THRLBCLの背景には通常, 小型B細胞はごく少ない.
- THRLBCLの背景T細胞はCD8+ 細胞障害性T細胞および組織球が優位で, follicular helper T cell(PD1+, CD57+)は少なく, 腫瘍性B細胞周囲にrossettを形成することもない.
- granzymeB陽性, TIA1陽性のT細胞が出現するのはprimary THRBCLに限られる.
- CD57陽性T細胞rossettはT/HRBL-, NLPHLでは-or+, MUM1+ T細胞rossettはT/HRBL-, NLPHL+
T/H rich は明瞭なnodularな病変を作ることはない.(田丸淳一先生. @B-cell lymphoma 検鏡in関東2018)
- Follicular dendritic cells(FDCs)のmeshworkがNLPHLには認められるがT/HRBCLには見られない。
- FDCsの網目構造を検出するにはCD21, CD23の免疫染色。CD21のほうがおすすめ.
- 以上の鑑別をおこなってもどちらかに分類できない中間型(gray zone)症例が存在する*7*8*9。
- gray zone caseではFDCs meshworkがあり腫瘍B細胞は辺縁に偏在する。背景細胞はT細胞, 組織球が多く, 小型B細胞は少ない。
- NLPHLとTHRTCLは連続する病変(NLPHLが進展してTHRTCLとなる)とする考え方もある。
WHO2008では, "NLPHL, THRLBCL-like"と記載され, びまん性のT-cell-rich patternへ進行したNLPHL症例を示唆していた.*10しかし, revised WHO2016では, これらは"THRLBCL-like transformation of NLPHL"のほうが望ましいとされている.*11
- T/HRLBCLの腫瘍細胞はcentroblasts, immunoblasts, lymphocyte-predominant(LP) Hodgkin cells, あるいは classic Hodgkin Reed-Sternberg (HRS) cellsに似た形態を示す. びまん性またはvague nodularパターンの病変で, FDCsのmeshworkは認められない.
免疫染色ではT/HRLBCLの腫瘍細胞はCD45+, B-cell antigens陽性(Bob1を欠損した症例を経験したことがある), BCL6は強陽性.
CD30とCD15は陰性.EBV感染は認められない.*12*13
T/HRBCLはaggressiveリンパ腫であり, その予後や治療成績はNLPHLよりもDLBCLに近似している. rituximabを加えたCHOP療法(R-CHOP)がDLBCLにおけると同様有効である.*14*15
鑑別診断 classical HL, lymphocyte rich type†
結節性病変形成, LP細胞の出現から鑑別診断にあげられる.
CHL LRでは結節性病変に偏在する萎縮性胚中心が認められる.
腫瘍細胞はcHLのHRS細胞のphenotypeを示す. CD20陰性. PAX5淡染, CD30+, CD15+, Fascin+, Oct2/Bob.1のいずれかが陰性.