80歳代女性
かかりつけ医さんで高血圧治療中, 高LDH血症(2970IU/L)を指摘され精査のために当院受診。腹部CTで骨盤腔から後腹膜にかけての腫瘤および水腎症が認められた。
頸部, 鎖骨上窩にリンパ節腫大あり。悪性リンパ腫がつよく疑われ入院精査となる。入院時LDH 7220IU/L
左頚部リンパ節
異常リンパ球がstarry-sky patternを示しcohesiveに増殖している. 本例の増殖リンパ球は中型はみられず大型, blastic cellsがほとんどであった.
免疫染色 本例では MUM-1(IRF4)が陽性(70%)を示した.またCD10はdot-like patternの陽性所見であった.
核型を調べたが増殖不良のため、c-myc/ IgHのFISHを行った。 fusion 77.0%
Pathological Diagnosis
Burkitt's lymphoma, supraclavicular lymph node, biopsy
文献;日本におけるMUM1 BL37例とMUM1陰性(MUM1)BL51例の臨床病理学的特徴を比較*1
MUM1/IRF4の発現は,バーキットリンパ腫(BL)の18%~41%で検出される。
MUM1 BLと比較し,MUM1 BL患者は有意に発症年齢が若く(P=0.0062), 女性比率が高かった(P=0.013)
罹患部位の違いも明らかになった。MUM1群では,結腸(P=0.072),乳房(P=0.073),腎臓(P=0.073)への浸潤が多い傾向があり, 胃(P=0.012),扁桃腺(P=0.069)への浸潤が少なかった。
予後については,MUM1群で全生存期間が短い傾向が認められた(P=0.089)。特に,成人(16歳以上)のMUM1 BLとMUM1 BLを比較すると,前者が有意に予後不良であった(P=0.041)
BLに対する標準的治療法である集中化学療法を受けたBL症例では,MUM1症例の方が予後不良であった(P=0.056)
MUM1発現がBL予後不良を予測する可能性を示しており,MUM1 BLはMUM1 BLと区別されるべきである。