Chronic active EBV infection/disease(Old version)
chronic active EB virus infectionは 2023年のガイドラインから chronic active EB virus disease(慢性活動性EBウイルス病)と疾患名を変更された.
新しいCAEBVガイドライン
日本小児感染症学会 監修 慢性活動性EBウイルス病とその類縁疾患の診療ガイドライン2023 診断と治療社
以前のCAEBVガイドライン -->2016年慢性活動性EBV感染症ガイドライン 日本小児感染症学会監修
慢性活動性EBウイルス病(CAEBV:略号は変わらない.)は,
持続的な伝染性単核球症様症状(発熱, リンパ節腫脹, 肝脾腫)を特徴とし, 末梢血や病変部組織/細胞にEBVが検出される. その本質は感染症にとどまらず, EBV感染T細胞またはNK細胞のクローナルな増殖を来す致死的予後不良のLPD/lymphomaのため,慢性活動性EBウイルス病の名称に変更されている.
CAEBVの重篤な合併症には, 消化管潰瘍, 心血管系合併症(冠動脈瘤 弁疾患含む), 間質性肺炎 ,間質性腎炎, 血管炎, 神経障害(中枢, 末梢性), ブドウ膜炎などが報告されている.
皮膚では, 種痘様水疱症, 蚊刺アレルギ-という皮膚症を合併する. 皮膚のみの場合はCAEBVに含めない. 全身症状(臓器病変・合併症)を伴う種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV-LPD), および重症蚊刺アレルギー(SMBA)は本ガイドラインではCAEBVとして扱っている.
EBV初感染に伴う, EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH), HV-LPDで皮膚症状のみの場合はCAEBVに含めない.
CAEBVではT細胞やNK細胞にEBVが感染し, 感染細胞がクローナルに増殖, 免疫による排除をすり抜けて, 臓器に浸潤し, さまざまな障害をきたす.このためCAEBVはリンパ増殖疾患であり, 単なる感染症ではないことを認識することが重要である.(名称の変更もこの点から行われた)
CAEBVの経過中, しばしば, EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-LHL), T細胞/NK細胞リンパ腫・白血病を発症するが, この場合は基礎疾患としてのCAEBVの診断は変更されない.
CAEBV(慢性活動性EBV症)の診断ガイドライン (2022)
CAEBV の大部分が小児期での発症であり *1*27)。WHO4th 2016改訂版においても, systemic EBV-positiveT-cell lymphoma of childhood もしくはchronic activeEBV infection of T- and NK-cell type, systemic form と定義されている*3.
小児発症のみでなく, CAEBV と同様の病態が成人になってからも発症することが知られるようになり,成人の不明熱の原因として報告されるようになってきた.*4*5 2019年, 久留米大学から2005 年から2015 年の間に15 歳以上の成人発症のCAEBV(adult-onset CAEBV)と診断された54 症例の臨床的特徴を検討した報告がなされている.*6
adult-onset CAEBVの定義*6
成人発症タイプと小児発症タイプの相違点を鮮明にするため, 病歴が推定の発症年齢が15 歳以上でかつ,WHO 分類(2008)の診断基準に準じ,systemic EBV-T/NK-LPD of childhood の定義を満たすものと定義した。
すべてのCAEBV 患者は次の診断基準を満たすものとした。
(1)3 ヶ月以上持続もしくは再燃する伝染性単核球様症状(発熱,持続性の肝障害,リンパ節腫脹,肝脾腫,血球減少,間質性肺炎,種痘様水疱症,蚊刺過敏症)
(2)病変組織もしくは末梢血でのEBV 量の上昇。EBV ゲノム量の上昇は以下のいずれかを満たすものとした。
すべての患者でHIV 抗体とHTLV-1 抗体の陰性を確認した。