#author("2024-01-23T20:18:26+09:00","","")
#author("2024-01-25T07:05:03+09:00","","")
[[Wikipathologica-KDP]]

#br

*MDS診断のアルゴリズム [#h43b1eca]

名古屋第一赤十字病院 伊藤雅文先生 第5回東京骨髄病理研究会講演から。
名古屋第一赤十字病院 伊藤雅文先生 [[第5回東京骨髄病理研究会講演から。>Tokyo Bone marrow meeting - 第5回東京骨髄病理研究会]]

**骨髄クロット標本におけるMDS診断のポイント [#w40fd2d0]

MDSは境界病変が多くアルゴリズムのとおりにはいかない症例も多い。それでも80%, あるいは90%ほどの症例は診断できるとおもわれる。(伊藤雅文)

''MDSが疑われる患者さんの骨髄組織標本を前にして評価するべきこと''

-1. Cellularityは &color(red){低形成なのか正ないし過形成};なのか。クロットを対物レンズ2-4倍の低倍で観察する。

-2. 低形成であればパターンは &color(blue){''Patchyか diffuse''};か

-3. 赤芽球過形成か, 顆粒球過形成か

-4. 赤芽球の血島形成は明瞭か, 不明瞭か

-5. 成熟巨核球が多いか, 少ないか

-6. 微小巨核球(micro Mgk)があるか? 通常染色では無理-->免疫染色をおこなう(CD42b)

-7. 芽球はあるか? CD34染色を併用。

このうち, 1-5までを順番に&color(red){''BMクロット(ASD/Giemsa染色が必須)''};標本においてきちんと評価できれば80%(実は90%も可能)の症例は診断が可能。
6, 7は免疫染色を追加して判断する。1-5にあてはまらない症例は特殊な症例。それはもっと別のアプローチをすればよい。

===> [[ASD/ Giemsa染色の方法(磐田市立総合病院の染色)>ASD/Giemsa 染色--骨髄クロット・生検組織の染色]]

&color(red){SIZE(24){■}}; ''CellularityがNormo~hyper''の場合。(多くの症例はこちらに入る)

#ref(MDS-Dx_Argorism02.jpg,around,80%)
-1. Myeloid-richかErythroid-richかを判定する。
-2. 赤芽球島が存在するかどうかを見分ける。赤芽球島がしっかりあればHigh-gradeはまずない。
-3. Myeloid-rich → 赤芽球島(+) → Low-grade MDS
-4. Myeloid-rich → 赤芽球島(-) → micro MgK(+)なら High-grade, (-)なら Low-garde

-5. Erythroid-rich → 赤芽球島(+) → Low-grade MDS/ RARS
-6. Erythoid-rich → 赤芽球島がみあたらない → High-grade MDS/ AML-M6

#clear
#br

&color(blue){SIZE(24){■}}; ''Cellularityが Hypocellular''の場合。

#ref(hypoplastic-pattern.jpg,around,80%)


&color(red){''骨髄が低形成の場合, 細胞の存在パターンが大切となる''};。diffuseかpatchyかを判定することからアルゴリズムが始まる。

-Hypo-Patchy → Myeloidがあるかないか?(ASDで見る) → Myeloid(-)~few → MgK(+)/ microMgK(+) → low-grade MDS(この流れにHigh-gradeはほぼない)

-Hypo-Patchy → Myeloid(-)~few → Mgk(-)/microMgk(-) → AA / 二次性造血障害   AAの診断には, CD8を染めてCD8+ T細胞の有無を調べる

-Hypo-Patchy → Myelodi多い → Mgk(+)/microMgk(-) → secondary (SLEなどの二次造血障害). 骨髄脂肪変性などを見る。

-Hypo-Patchy → Myeloid+/多い → Mgk+/ microMgk+ → low-grade MDS

#clear

&ref(Hypo-diffuse_MDS.jpg,,70%);  &ref(Hypo-patchy_MDS.jpg,,70%); 細胞存在パターン;左:hypo-diffuse  右:hypo-patchy

Hypo-diffuseは存在すれば「病気」の異常な状態とみなしてよい。Hypo-patchyは高齢者骨髄に似る所見


***低形成白血病 [#x91b598b]

''低形成性白血病の独立性''(伊藤雅文Dr)

-低形成骨髄病変で芽球が急性白血病の定義を満たす場合&color(red){低形成性白血病(HypoAML)};として非定型的白血病に分類される

-WHO分類では''その独立性を認めていない''が、&color(red){病理形態的に均一な組織パターン, diffuse hypoplastic patternを呈し脂肪血管領域(AVL)に存在する};

-''M0に相当する未(微)分化骨髄芽球''

-染色体異常は通常のGバンド検索では見られない。

-長期観察で、&color(red){芽球は均一で増殖パターンは不変. 芽球の密な圧排性増殖はみられない.};

-&color(red){造血不全が死因};となる. 

-臨床病理学的に&color(red){独立した疾患概念である。};

//IWT-H1505890 case

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