#author("2023-03-20T13:01:30+09:00","","") #author("2023-03-20T13:02:59+09:00","","") [[Wikipathologica-KDP]] *Alveolar rhabdomyosarcoma 胞巣型横紋筋肉腫(ARMS) [#ufa55268] Alveolar rhabdomyosarcoma 胞巣型横紋筋肉腫(ARMS)((Naciment A.G. and Dei Tos A. P. Small Round Cell Neoplasms of Soft Tissue: A Diagnostic Approach International Seminar at Lake Hamana-Pathology of Soft Tissue Tumor and the Slide Seminar 2004 p107-111)) -横紋筋肉腫の約30%を占め, 両性の思春期小児と若年成人が罹患する -四肢深部軟部組織や会陰に多い。思春期女児では乳腺が原発転移性ともに比較的多い。 -まれながら若年者の白血病に似た広がりを示し, 骨髄や末梢血に芽球様細胞がびまん性に浸潤することがある。 ''組織像'' -低分化円形-楕円形の細胞増殖。核縁は不整でクロマチンは粗く核小体は不明瞭。少量の細胞質が核を縁取る。 -ときに腫瘍性多核巨細胞が見られ, 多数の偏在性核, 好酸性細胞質がみられる。 -典型的な筋芽細胞はまれ -増殖細胞は胞巣状, 区画性に配列する。この配列は形, 大きさがまちまちで密な硝子化した線維血管組織中隔が介在する。胞巣腔の辺縁に位置する細胞はこの中隔に上皮様に付着する。 -腔中央部の細胞は結合性に乏しく, 腔内に浮遊し肺胞構造に似たパターンを示す -通常, 細胞分裂像が多く壊死が強い -一部が胞巣状, 他の部位が胎児型横紋筋肉腫紡錘細胞型という混合型組織像をしめす腫瘍があるがこのタイプの混合型腫瘍はARMSとしてふるまうため胞巣型に含める。 -Solid type: まれに一部または全体が胞巣の不明瞭な充実性組織をとることがある。細胞は典型的ARMSと同様であるが帯状の線維性結合織で隔てられ腫瘍細胞が塊状に集簇して増殖する。Ewing sarcoma/PNETや未分化小円形細胞肉腫としばしば間違われ鑑別診断がむずかしい。 -完全にsolid typeをとる腫瘍でもよくさがすと未熟な胞巣パターンが見つかることがありARMSの充実型の診断に役立つ。 ''免疫染色-鑑別診断のツール'' >Desmin, 筋特異的アクチン(HHF-35), myoglobin, MyoD1, myoegeninなどの筋マーカはARMSでよく染色されるがES/PNETでは陰性である。~ ES/PNETでは通常MIC-2が陽性となるが&color(red){約15%のARMSでもMIC-2(CD99)やC-kitが陽性になるので注意};。 -約80-90%のARMSにDesmin, HHF-35が陽性(Desminが主). Desminは今も横紋筋肉腫の診断に信頼できる感度の高いマーカである -より高感度の骨格筋マーカであるmyoglobinは胎児筋形成の終末期に発現しており横紋筋肉腫のマーカとしては非常に感度が低い。感受性はより分化した腫瘍に限定され充実型ARMSのような低分化RMSのマーカとしては役割が非常に限定される。 #br ''MyoD1とMyogenin'' >筋形成過程は多潜能未熟間葉系細胞の骨格筋へのcommitmentとdifferentiationからなりMyoD遺伝子ファミリーにより制御されている。このファミリーにはMyoD1/myf-3, myogenin/myf-4, myf-5, MRF-4遺伝子などが含まれ, 筋特異遺伝子上エンハンサー領域に結合し発現誘導の転写因子として働くDNA結合蛋白をコードしている。 >骨格筋ではこれらの遺伝子発現は胚形成期に限られるためMyoDやmyogenin抗体は細胞系列の同定や他に分化や特徴のない肉腫においてrhabdomyosarcoma診断確定の目的で使われてきた。 ''MyoD1とMyogenin'' -MyoDモノクロナール抗体(5.8A)はホルマリン固定パラフィン包埋組織で抗原賦活法を用いて使用可能であり&color(red){非常に低分化なRMSを認識するのに有用である};ことが示されている。しかしこの抗体は''細胞質に非特異的陽性を示し結果の解釈を難しくする''&color(#e60033){''あくまで核陽性でもってMyoD1染色陽性と判定すべきとされる''};。-->[[膜にそまる陰性パターン いむーの:http://immuno2.med.kobe-u.ac.jp/20130108-2642/]] #br -Myogeninはモノクロナール抗体(myf-4)をもちいる時MyoD同様抗原賦活を必要とするが&color(red){核に染色性がある。発現は早期横紋筋芽細胞分化に特異性が高い};ことが示され, この事実と非特異的背景および細胞質染色がないことから横紋筋肉腫と他の小型細胞腫瘍の鑑別に有用なマーカとなっている。 #br #br ''ARMSの遺伝子異常'' >ARMSの約80%が単純または複雑型 ''t(2;13)(q35;q14)''転座を, 10-20%に''t(1;13)(p36;q14)''を認める。 -t(2;13)切断部位は2番染色体の&color(blue){PAX3};と13番染色体の転写因子遺伝子&color(blue){FKHR};と関連していることが示され, N末端がPAX3, C末端がFKHRのキメラ蛋白をコードする融合遺伝子を形成する。キメラ蛋白には転写制御機能が示唆される。 -t(1;13)は1番染色体子上のPAXファミリーのひとつである&color(blue){PAX7};が関与する。PAX7-FKHR融合遺伝子は若年者ARMSにみられ, 四肢発生が多く, 診断時に転移がない症例に見られる。PAX3-FKHR陽性症例に比べ予後が良いとされている。 **症例--鼻腔腫瘤 [#w1c39aad] 焼津市立病院 久力権先生のご好意による >30歳代男性 鼻腔腫瘤の生検組織~ 厳密にはalveolar patternが明らかではなく, solid typeに入る症例かもしれない。異型細胞増殖胞巣が線維化組織に取り囲まれるように散在している. 小さな生検組織のため全体像が不明である。 ''鼻腔腫瘤生検組織'' #gallery(left,nowrap,noadd){{ loupe01.jpg mpf01.jpg hpf01.jpg hpf02.jpg hpf03.jpg }} ''免疫染色'' 筋マーカ, 神経内分泌マーカほか;本例では神経内分泌マーカがすべて陽性になっている. #gallery(left,nowrap,noadd){{ Desmin01.jpg>Desmin myogenin.jpg>myogenin myoD1.jpg>myoD1 }} #br #gallery(left,nowrap,noadd){{ synaptophysin01.jpg>synaptophisin chromograninA01.jpg>chromograninA CD56a.jpg>CD56 }} #br Bahrami A, et al., ''Aberrant expression of epithelial and neuroendocrine markers'' in alveolar rhabdomyosarcoma: a potentially serious diagnostic pitfall. Mod Pathol. 2008 Jul;21(7):795-806. PMID: 18487991--[[Free full text:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18487991]] &color(red){rhabdomyosarcomaでは''CKなど上皮マーカ-、神経内分泌マーカ-''などが発現することがしばしばあり誤診しないことが重要。}; **rhabdomyosarcoma arising at nasal mucosa [#b238d880] 磐田市立総合病院 >症例のページ--->[[rhabdomyosarcoma arising at nasal mucosa>rhabdomyosarcoma-Iwata City Hospital]]