#author("2024-11-02T12:19:22+09:00","","")
#author("2024-11-02T12:19:50+09:00","","")
[[Wikipathologica-KDP]]

*Systemic amyloidosis [#rfa0b6ab]
作成中
#ref(amyloidosis01.jpg,around,right,75%)


アミロイドーシスは一群の疾患であり, 各疾患に固有の前駆タンパク質が重合しアミロイド線維を形成, 全身諸臓器, &color(#e2041b){''代表的には心臓, 肝臓,腎臓に沈着し''};各々, うっ血性心不全, 肝不全, ネフローゼ症候群をきたす.

アミロイドーシスの本態は, アミロイド線維の線維分子の形成と, 線維の組織沈着である. 天然構造のアミロイド前駆タンパク質から重合核(オリゴマー)の形成と線維伸長過程は, 重合核依存性重合モデルにより説明される&note{:Naiki H et al. Human amyloidosis, still intractable but becoming curable: the essential role of pathological diagnosis in the selection of type-specific therapeutics. Pathol Int 2020, 70:191-198};. 天然構造のアミロイド前駆タンパク質が個々の病型に固有の病的代謝環境の中で天然立体構造を変化させ, βシート構造を獲得しながら重合しアミロイド線維を形成する.

右図: ヒトの主要なアミロイドタンパク質と前駆タンパク質の一覧 &note{:Buxbaum JN, et al. Amyloid nomenclature 2024: update, novel proteins, and recommendations by the International Society of Amyloidosis (ISA) Nomenclature Committee. Amyloid. 2024 Sep 30:1-8.Epub ahead of print. PMID: 39350582.};

全身性アミロイドーシスは現在まで, 42種類のアミロイド前駆タンパク質が同定され,それぞれに対応して, 疾患名が付与されている.&note{Benson MD, et al. Amyloid nomenclature 2018: recommendations by the International Society of Amyloidosis (ISA) nomenclature committee.Amyloid. 2018 Dec;25(4):215-219.PMID: 30614283};~
個々のアミロイドタンパク質はamyloidの「A」に前駆タンパク質の略称をつけて命名する. 例: AL; ''a''myloid-''l''ight chain
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右図: ヒトの主要なアミロイドタンパク質と前駆タンパク質の一覧 &note{:Buxbaum JN, et al. Amyloid nomenclature 2024: update, novel proteins, and recommendations by the International Society of Amyloidosis (ISA) Nomenclature Committee. Amyloid. 2024 Sep 30:1-8.Epub ahead of print. PMID: 39350582.};


#clear

**ALアミロイドーシス [#o2ee80a3]

異常形質細胞あるいはB細胞から産生される単クローン性免疫グロブリン軽鎖がアミロイド原因タンパク質として諸臓器に障害を引き起こす病型がALアミロイドーシスである. &ref(免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)-WHO5th.txt);

多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などの成熟B細胞性腫瘍を伴わない場合を原発性ALアミロイドーシスとよぶ.

病変が重要臓器(心臓, 腎臓, 肝臓)や複数の臓器にわたる場合を&color(#e60033){''全身性''};, 単一の非重要臓器に限局する場合は&color(#e60033){''限局性アミロイドーシス''};とよぶ. &color(#e60033){''%%%全身性ALアミロイドーシスが化学療法の適応となる.%%%''};



WHO 5th(定義文); 免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)は、進行性の終末臓器機能不全を引き起こすクローン性形質細胞またはB細胞によって産生される免疫グロブリン軽鎖由来の線状非分枝フィブリル(幅9nm)の細胞外沈着.

ALアミロイドーシスの診断

1.検査所見や臨床症状から疑う.

2.Mタンパク, 単クローン性形質細胞を同定する.

3.病理組織によるアミロイドタンパク同定と病型の確定


臓器障害は腎臓(73%)が最多で, 続いて心臓(34%), 消化管(22%), 自律神経(18%), 末梢神経(10%)に多く認められる.&note{:Shimazaki C, et al. Nationwide Survey of 741 Patients with Systemic Amyloid  Light-chain Amyloidosis in Japan. Intern Med 2018; 57: 181};

-腎アミロイドーシスでは糸球体へのアミロイド沈着によるアルブミン尿(0.5g/day以上)が主体となり, しばしばネフローゼ症候群を呈する.~
タンパク尿が>5g/24h, eGFR<50ml/min/1.73m2の症例は透析移行率が高いと報告されている.
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-心アミロイドーシスでは右心系優位心不全症状(静脈怒張, 肝腫大, 浮腫)を呈する. ~
心エコー検査で, 12mm以上の左心室壁・中隔壁肥厚は心アミロイドーシスを考慮する必要がある.~
心電図では, 四肢誘導の低電位, 心房細動,心室頻拍などの不整脈を認めることがある.~
遅延造影や心筋T1, T2 mapping法による心臓MRIをもちいる心アミロイドーシスと他疾患の鑑別法が有用と報告されている.

>ATTR(トランスサイレチン)心アミロイドーシスに有用な99mTcピロリン酸シンチグラフィーはALアミロイドーシスの検出には有用でないことに注意.

Mタンパクの検出

-&color(blue){''血清・尿のタンパク電気泳動の検出感度は低い''};. 感度の高い免疫固定法(immunofixation electrophoresis;IFE)を使ってもMタンパクの&color(blue){''同定率は60-80%である.''};

-&color(#e2041b){''血清遊離軽鎖(free right chain;FLC)の測定はMタンパク量の少ないALアミロイドーシスの診断に有用である. IFEとFLCを併用するとMタンパク同定率は95%以上になる''};. 両検査の併用が推奨される.

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**心アミロイドーシス Cardiac amyloidosis [#obd4d552]

心アミロイドーシスは全身性アミロイドーシスにおいて, 心筋細胞間にアミロイド線維が沈着し, 形態的, 機能的異常をきたした病態と定義される.
心肥大, 拡張障害を主体とする心不全,伝導障害, 心房細動, 致死的不整脈をきたす予後不良の疾患.&note{遠藤 仁 心アミロイドーシスの最新の治療-肥大を主徴とする二次性心筋症 医学のあゆみ 2021 277(5)365-370};



心アミロイドーシスは,主に次の2種

-1. 免疫グロブリン遊離軽鎖の貯留する 免疫グロブリン性アミロイドーシス(AL)

-2. トランスサイレチン(TTR)が貯留する, 全身性トランスサイレチン型アミロイドーシス(ATTR)

ATTRはトランスサイレチン遺伝子に変異のない, 野生型(ATTRwt)と変異が認められる遺伝性ATTR(ATTRv)がある.

//|&ref(myocard-HE02.jpg,,40%);|&ref(myocard-Congored02.jpg,,40%);|&ref(myocard-polarization02.jpg,,40%);|
//|心筋生検HE|Congo-red染色|偏光顕微鏡|

アミロイドの免疫組織化学的染色(例えば、κおよびλ軽鎖、トランスサイレチン、血清アミロイドA成分)により、アミロイドーシスのタイプを決定することができる &note{:Schönland SO, Hegenbart U, Bochtler T, et al. Immunohistochemistry in the classification of systemic forms of amyloidosis: a systematic investigation of 117 patients. Blood 2012; 119:488.};。

κまたはλ陽性染色はALアミロイドーシスを、トランスサイレチン陽性染色は遺伝性または野生型トランスサイレチン(ATTRmtまたはATTRwt)アミロイドーシスを、血清アミロイドA成分陽性染色は二次性(AA)アミロイドーシスを示す。~
しかし、免疫組織化学的染色は、''経験の浅い手技では偽陰性や偽陽性がよくみられるため、抗体についてかなりの専門知識を有する施設でのみ行うべきである''. &note{:up to date;Clinical presentation, laboratory manifestations, and diagnosis of immunoglobulin light chain (AL) amyloidosis};

***心アミロイドーシス 免疫グロブリン性アミロイドーシス(AL) [#b27a93e2]
//H2100252 IWT

>
#gallery(left,nowrap,noadd){{

HE-lpf01.jpg>HE
HE-endocarcium-lpf.jpg>HE
myocard-hpf.jpg>HEx200
congo-red01.jpg>congo-red stain
congo-red-endocardium.jpg>congo-red stain
}}
#br
>
#gallery(left,nowrap,noadd,noadd){{

congo-red-hpf-endocardium.jpg>congo-red stain
congo-red-hpf.jpg>congo-red stain
apple-green01.jpg>簡易偏光
apple-green02.jpg>簡易偏光
}}

>HE所見では, 明瞭な沈着物はわかりにくい. 血管壁が確認できる血管も少ない. congo-red染色で沈着が考えられる所見があり, 簡易偏光で(みずらいけれど)apple-greenの偏光があるように見える.(サムネイルのクリックで大きな画像が見られます)

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''免疫染色''
>
#gallery(left,nowrap,noadd){{

kappa-LC01.jpg>kappa-LC
kappa-LC02.jpg>kappa-LC
lambda-LC01.jpg>lambda-LC
lambda-LC02.jpg>lambda-LC
}}

>
#gallery(left,nowrap,noadd){{

amyloidA01.jpg>amyloid A
amyloidA02.jpg>amyloid A
TTR-abcam01.jpg>TTR (abcam)
TTR-abcam02.jpg>TTR (abcam)
}}

>免疫染色で lambda-LC が陽性に染色されている. kappa-LC, amyloid A, transthyretinは陰性. (免疫染色は浜松医科大学病院病理に依頼し染色していただきました.深謝いたします)
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***心アミロイドーシス transthyretin type amyloidosis [#c908ab4a]

重症筋無力症/胸腺腫術後で脳神経内科に通院している。平成XX年11月 胸腺腫術後から胸部圧迫感を自覚、半年-1年程前から坂道や階段で息切れが出現し始めた。~
4年後の2月 精査目的に当科紹介、精査の結果、心アミロイドーシスが疑われ、確定診断目的で心筋生検が施行される。

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