#author("2022-07-22T14:11:34+09:00","","") #author("2022-07-22T14:15:17+09:00","","") [[B-cell receptor signaling B細胞シグナル伝達]] [[抗体]] B1-B細胞については[[The peripheral B-cell repertoire in humans]]を参照. *B-cell differentiation B細胞の分化 [#dca8bca6] &color(red){勉強中・ページ作成中 (2017-10-06)φ(・_・”)''}; **''骨髄でのB細胞分化'' [#jf707f92] #br #ref(B-celldiff02.jpg,around,right,80%) ''プロB細胞'' 早期プロB細胞ではH鎖遺伝子の再構成は完成していない. 転写はおこるが機能的なμ鎖は発現しない. V(D)J組み換えの不正確さは抗体レパートリーの多様性を獲得する一方で非機能性遺伝子再構成をきたす恐れがある. プロB細胞が機能的なH鎖を産生しているかどうかを確認するために, 再構成されたH鎖はレセプターに組み込まれ, 機能的H鎖であればシグナルが伝達されるようになっている. プロB細胞の段階ではL鎖遺伝子再構成はおこっておらずL鎖が産生されないので, プロB細胞はL鎖のかわりにL鎖に似ているが多様性のないサロゲート(代替)L鎖をつくりだし, μ鎖といっしょにプレBCRとして一時的に細胞表面に発現させる. サロゲート鎖は''λ5とVpreB''で構成されており, μ鎖とともにpreBCRとして細胞表面に発現される.preBCRはIgα(CD79α), Igβ(CD79β)とも会合している. --サロゲートL鎖は遺伝子再構成をしない. 発現は転写因子,'' E2AとEBF''により誘導される. #br --サロゲートL鎖のタンパクのひとつはλ鎖の定常部と似ているため''λ5''と呼ばれ, もう一つはN末端に余分な領域をもつものの, L鎖の可変部に類似しており, ''VpreB''と呼ばれている. #br --これらは抗原レセプター遺伝子座とは離れた遺伝子座にある遺伝子にコードされている;λ5, VpreBは各々, 22q11.23 に局在する'''IGLL1''';immunoglobulin lambda like polypeptide 1, と'''pre-B-lymphocyte gene1(VPREB1)'''遺伝子にコードされている. &color(darkgreen){''Igα(CD79α), Igβ(CD79β)''};はプロB細胞の段階よりその細胞が死ぬまで, または抗体産生形質細胞に最終分化するまで発現される. 細胞表面に発現した''プレBCR''はプロB細胞に機能的再構成がおこなわれていることを通知する. プレBCRのシグナル伝達には, シグナル分子の&color(#e83929){''BLNK''};と細胞内チロシンキナーゼTECファミリーメンバーの&color(#c9171e){''Btk(Burton's tyrosine kinase)''};が必要である. -ヒトでは'''''Btk'''''の変異は重症のB細胞特異的免疫不全症である&color(#e83929){''Burton型X連鎖無γグロブリン血症;Burton's X-linked agammaglobulinemia(XLA)''};をおこす.~ '''''XLA'''''(Btkのsynomim)遺伝子変異によるプレB細胞から未熟B細胞への分化阻害はほぼ完全である. ''プレB細胞'' Igα(CD79α), Igβ(CD79β)レセプターからの刺激がH鎖遺伝子の再構成をストップして分裂を促し, 大型プレB細胞への移行を引きおこす. プロB細胞からプレB細胞になるまでは数回の細胞分裂をおこし, 静止期の小型プレB細胞になるまでに約30倍から60倍に細胞数が増加する. ''特定の再構成H鎖をもつ''一つの大型プレB細胞から多数の小型プレB細胞が産生される ''小型プレB細胞''では再び&color(#e83929){''RAG-1/2''};の組み換え酵素が発現し, L鎖遺伝子再構成が始まる.各々, 異なったL鎖遺伝子再構成ができるため一つのプレB細胞から多様な特異性を持つB細胞が産生される. BCRは全体として多様性を形成する. 機能性軽鎖遺伝子再構成がすむと軽鎖の産生がおこり''軽鎖はμ鎖とIgα(CD79α), Igβ(CD79β)とともにIgM分子として細胞表面に発現''される. この細胞表面IgMからのシグナルは軽鎖遺伝子再構成をストップさせる. -L鎖遺伝子再構成もH鎖同様に対立遺伝子排除に従う. ある時点で一つの遺伝子座でしかL鎖再構成はおこらない. #br -L鎖では非機能的再編成が起こった場合, 繰り返しの再構成がおこり救済される. さらに, 2つの異なったL鎖遺伝子座があるので, 正常なL鎖が産生される機会を著しく増やす #br -プレB細胞段階で多くのB細胞が正常なIgM分子をもつことになり, ''未熟B細胞''として分類されるようになる. L鎖では対立遺伝子排除に加えて, &color(#c9171e){''イソタイプ遺伝子排除 isotypic exclusion''};もおこる. -''個々のB細胞は二つの遺伝子座κ鎖かλ鎖のうち一つしか発現しない.'' #br -マウスとヒトでは, κ鎖遺伝子がλ鎖遺伝子よりも早く再構成をおこす傾向があるが必ずしもこの順とは限らない. #br -種によりκ鎖, λ鎖を発現する成熟B細胞の比率は異なる. ヒトでは, ''κ鎖:λ鎖比は65:35''である. ''未熟B細胞 immature B cells'' 再構成L鎖がμ鎖と会合すると&color(darkgreen){''膜結合型IgM(sIgM)''};として細胞表面に発現されプレB細胞は''未熟B細胞''となる. この段階で抗原レセプターは初めて自己抗原に対す寛容性をテストされ, B細胞レパートリーの選択がおこる.骨髄中枢リンパ組織でおこるため中枢性免疫寛容と呼ばれる. 自己抗原と反応しない未熟B細胞は成熟を許可され, 類洞を経て骨髄中心洞へ注ぎ, 骨髄を出て, 静脈を通って脾臓へはいる. &color(#e83929){''IgαシグナルはB細胞の骨髄からの移動と末梢での生存に特に重要である.''}; #clear *末梢B細胞サブセットと, その分化制御の「場」 [#ff3a6511] #br >末梢B細胞は, その多数を占める''B2-B細胞'', ''脾臓の特殊な領域である辺縁帯(Marginal zone)に存在するMZ-B細胞'', 主として胸腔, 腹腔に存在する''B1-B細胞''のサブセットに分類される。(=マウスの分類. ヒトのB1-B細胞についてはいまだ研究中) >B細胞の分化はB細胞自身にプログラムされた現象と''ストローマ細胞など他の系列の細胞''により刺激され,始めてB細胞に生じる現象が制御しあって正しく行われる。~ そのため,&color(darkgreen){''B細胞が他の細胞から刺激をうける「場」がB細胞分化制御に重要''};であり, &color(red){B細胞の移動には''ケモカイン・ケモカイン受容体''が重要};な役割を果たす。 #br **髄外B細胞分化01--脾臓でのB細胞分化 [#v28800c8] #br #ref(spleenBcell01.jpg,around,right,70%) 骨髄から血流を介して脾臓に移動した未熟B細胞は&color(#ff4500){''辺縁帯(Marginal zone)に局在するMZ-B細胞''};と&color(#ff4500){''一次濾胞に存在する濾胞細胞(follicular B, FO-B)''};となる。%%%いずれも''B2-B細胞由来の最終分化B細胞''%%%である。 -B細胞は骨髄を離れ, 血流にのり脾臓の中心細動脈に達する。&color(#008b00){''T細胞''};も同じく中心細動脈に達するが、内皮細胞などから分泌されると考えられている&color(red){''ケモカインCCL19''};に引き寄せられすばやく血管から遊走して''T領域を形成する。'' #br -脾臓に存在する未熟B細胞は分化段階より1型移行期(T1), 2型移行期(T2)B細胞に分類される(T=transition. T1,T2の表記は, ほんとうにまぎらわしい!!) #br -B細胞は白色髄周辺の&color(#ff4500){''辺縁帯(Marginal zone: MZ)領域''};に達する。この時点のMZ領域に存在するB細胞は''未熟B細胞で、1型移行期(T1)B細胞''と考えられる。 #br -T1-B細胞は, 濾胞樹状細胞(FDC)が分泌しているCXCL13ケモカインによりMZ領域よりB領域に遊走し,T2-B細胞, さらに分化し非常に寿命の長い&color(#ff4500){''FO-B(follicular B cell)細胞''};となる。~ &color(#0000ee){''このFO-B細胞が他のリンパ節および骨髄間を循環している成熟B細胞と考えられている''};。 #br -''MZ-B細胞''はおそらくT1-B細胞から分化派生してMZ領域にホーミングした細胞群。MZ-B細胞の最終分化の機構はまだ不明なことが多い。 #br -MZ-B細胞の「場」移動にはMZ領域の特殊なmacrophageとインテグリンを介する接着が必要と考えられているが今後の研究が必要である。 #br -''FO-B細胞(一次濾胞の濾胞B細胞)''は一次濾胞の濾胞樹状細胞(FDC)周囲のT2-B細胞がシグナルをFDCから受けて最終分化し濾胞内にホーミングしたもので, 寿命が非常に長い。 #br -''FO-B細胞''最終分化にはB細胞上のBCR(B cell receptor)を介するシグナルと''BAFF受容体(BAFFR)''を介するシグナルが必須である。 #br -''FO-B細胞''分化の「場」の移動には(1): &color(#cd0000){''CXCL13''(FDCから分泌)};, とB細胞上の&color(#cd0000){''CXCR5''};(ケモカイン受容体) (2): B細胞上の''リンホトキシン(LT)''とFDC上に発現する''LT受容体''の働きが必須である。 //&photo(SpleenBarea01.jpg,,白脾髄); &ref(spleenA011.jpg,around,60%); 白脾髄の拡大像 #br #ref(SpleenBarea01.jpg,around,left,60%) Spleen 白脾髄の組織像(二次濾胞). GC:germinal center, MZ:Mantle zone, Marginal zone. 白脾髄(white pulp)は毛細動脈を囲むように形成され, 赤脾髄との境をつくる辺縁部と動脈の間には主にT細胞により構成された動脈周囲リンパ球鞘(periarterial lymphoid sheath: PALS)とB細胞を中心とする一次濾胞が認められる. 血中由来抗原とリンパ球は脾臓動脈を通り辺縁部に流れ込み辺縁部で抗原は樹状細胞によって抗原提示されPALSへ運ばれる. 血中リンパ球も辺縁部へ進入しPALSへ移動してゆく. 指状突起型樹状細胞(interdigitating dendritic cells)により取り込まれた抗原ペプチドはclassII MHCとの複合体としてhelper T細胞に提示される. DCにより活性化された''抗原特異的CD4陽性T細胞''は&color(darkgreen){''CXCR5(リガンドはCXCL13)''};の発現を増強しB細胞領域に遊走する. 抗原で刺激されたB細胞は&color(darkgreen){''CCR7(リガンドはCCL19/CCL21)''};発現を増強しT細胞領域へ遊走を開始する. 同一抗原により活性化したT, B細胞はT-B領域境界面において効率よく邂逅し, ''T細胞依存性免疫応答が開始される.'' #clear #br #ref(B-celldiff-spleen.jpg,around,55%) T-B領域境界面で活性化されたB細胞は, 一旦小規模なB細胞集団primary fociを形成しその後B細胞領域内移動し, 大規模なB細胞集団で構築される胚中心を形成する 抗原感作によって活性化されたhelper T細胞は一次濾胞へ移入し(GC Tfh cell)濾胞性樹状細胞とともに抗原特異的B細胞の活性化と分化が誘導されると一次濾胞は胚中心をもつ二次濾胞へと変化する. 胚中心B細胞は著しく増殖する過程で, AIDの働きでclass switchや抗体遺伝子に高度の塩基置換が挿入され(somatic hypermutation;SHM)結果, 異なる抗原親和性をもつB細胞集団が出現する. (活性化B細胞, activated B-cells) 記憶B細胞の免疫グロブリン遺伝子にもSHMが認められ, また血中抗体の親和性は免疫後の時間経過とともに増加することから親和性が増加したB細胞が胚中心内で選択をうけ, 記憶B細胞や長期生存形質細胞(long-lived plasma cells; LLP cell)が産生されると考えられていた. マウスでの解析より, &color(crimson){''胚中心構造は高親和性LLP形成に必須である一方, %%%記憶B細胞形成には必須ではない%%%ことがわかっている.''}; 活性化B細胞の一部はケモカイン受容体のEBI2を発現し, T細胞領域と赤脾髄との境界領域(bridging channel)に移動して増殖し, extra-follicular fociを形成, plasma cellに分化してIgM抗体(一次抗体)を産生する. extra-follicular fociを形成する活性化B細胞の一部は, AIDを発現誘導し, 抗体遺伝子定常部でclass switch recombination(CSR)をおこしてIgG抗体を産生するplasma cellへ分化する. このCSRをおこしてIgG抗体を産生する plasma cellの抗体遺伝子V領域にはsomatic hypermutation (SHM)が全くみられない. extra-follicular fociを形成するplasma cellは短命で抗体を産生した後3日以内に死滅する. このように, ''免疫正常マウスでの記憶B細胞集団は免疫グロブリン遺伝子にSHMが蓄積したものと, 変異がないものの2集団にわかれる''ことから, &color(crimson){''記憶B細胞は胚中心内外の独立した2経路で産生されることが推察されている''};. #clear **髄外B細胞分化02-リンパ節でのB細胞分化 [#ic6a0435] リンパ節は線維性皮膜をもった縦径1mmから1-2cm,そら豆型のリンパ組織. リンパ管に沿って''約600個ほど''が介在している.頚部,腋窩,鼠径部,腹膜には多数集まっている. #br ''胚中心B細胞分化とシグナル伝達機構''¬e{:藤堂景史, 疋田正喜 胚中心B細胞のシグナル伝達機構 炎症と免疫 2015; 23(6): 535-540}; Lymph nodeイラストとGerminal centerの構造 (サムネイル画像のクリックで大きな画像が見られます) #gallery(left,nowrap,noadd){{ lymphnodeilust.jpg GC02.jpg>濾胞胚中心 Cb01.jpg Cc01.jpg }} -抗原提示細胞の抗原提示により''CCR7''の発現を増加した, 活性化B細胞は濾胞中心へと戻り濾胞樹状細胞(follicular dendritic cells;FDC)のネットワーク内で増殖を繰り返し胚中心とよばれる領域を形成する. ~ マウスでは抗原の免疫数日後には初期の胚中心形成が見られ, 10日から2週間ほどの間にピークを迎えることが知られている. #br -活動中の胚中心においてFDSネットワークが密に形成される明殻(light zone:LZ), と暗殻(dark zone:DZ)とよばれる. DZに優位の細胞, ''centroblastは抗原受容体に体細胞突然変異(SHM)をおこし活発に増殖している''ことが知られている. ''細胞表面の抗原受容体発現も低下している.'' -活動中の胚中心においてFDSネットワークが密に形成される. 明殻(light zone:LZ), と暗殻(dark zone:DZ)とよばれる領域が形成される. #br -DZに優位の細胞, ''centroblastは抗原受容体に体細胞突然変異(SHM)をおこし活発に増殖している''ことが知られている. ''細胞表面の抗原受容体発現も低下している.'' #br -centrocyteでは増殖はほぼ停止しており, 抗原受容体発現を再開している.''centrocyteがLZに存在するFDC上の補体レセプターに結合している抗原複合体を認識して分化・生存に必要なシグナルを受け取ると考えられている.'' #br -この過程は%%%異なる抗原受容体をもつcentrocyte間で競合的におこなわれ%%%, SHMの結果抗原に対して, 高親和性を獲得したcentrocyteがFDCからのシグナルを有利に獲得することができ, 親和性成熟へとつながっていると考えられる.¬e{:Allen CD et al. Germinal-center organization and cellular dynamics. Immunity 27; 2007:190-202.}; #br -近年のlive imaging技術発達によりLZとDZの間の細胞移動は''一方向性の単純なものではなく, 相互に行き来するダイナミックな過程である''ことが明らかにされている. #br -活性化した胚中心B細胞の一部は, 骨髄で長期にわたり生存し, 抗体を産生しつづける''長期生存形質細胞(long-lived plasma cell)や高親和性抗体を産生する形質細胞''へと分化し胚中心外へ移動する. #br -残りの一部の細胞は再度抗原感作に備え長期にわたり生存する記憶B細胞へと分化する #br ''胚中心B細胞分化を制御するシグナル'' -胚中心B細胞は胚中心において濾胞ヘルパーT細胞(follicular helper T cells: Tfh)からの刺激をうけ活性化や生存維持がおこなわれている.¬e{:Victora GD et al. Germinal center dynamics revealed by multiphoton microscopy with a photoactivatable fluorescent reporter. Cell 2010; 43:592-605};¬e{:Zotos D et al. Determining germinal centre B cell fate. Trends Immunol 2012; 33:281-288}; ¬e{:Nutt SL et al Germinal center B and follicular helper T cells:siblings, cousins or just good friends? Nat Immunol 2011; 12:472-477}; #br -可溶性因子としてはB細胞の&color(red){''インターロイキン(IL)4とIL21''};に対する要求性が広く知られている. ¬e{Ozaki:Ozaki K et al:A critical role for lL-21 in regulating immunoglobulin production. Science 2002; 298:1630-1634};¬e{Ozaki02:Ozaki K et al:Regulation of B cell differentiation and plasma cell generation by IL-21, a novel inducer of Blimp-1 and Bcl-6.J Immunol 2004; l73:5361-5371};¬e{Avery:Avery DT et al:B cell-intrinsic signaling through IL-21 receptor and STAT3 is required for establishing long-lived antibody responses in humans.J Exp Med 2010; 207:155-171}; #br -IL4を欠失すると形質細胞数が激減する.IgG1やIgEへのclass switchも正常におこらない.¬e{Ozaki:Ozaki K et al:A critical role for lL-21 in regulating immunoglobulin production. Science 2002; 298:1630-1634}; #br -IL21またはIL21Rを欠失する場合には形質細胞数減少とともに, 胚中心は形成されるものの正常に維持されず比較的短期間で小さくなってしまう.¬e{Ozaki:Ozaki K et al:A critical role for lL-21 in regulating immunoglobulin production. Science 2002; 298:1630-1634};¬e{Ozaki02:Ozaki K et al:Regulation of B cell differentiation and plasma cell generation by IL-21, a novel inducer of Blimp-1 and Bcl-6.J Immunol 2004; l73:5361-5371};¬e{Avery:Avery DT et al:B cell-intrinsic signaling through IL-21 receptor and STAT3 is required for establishing long-lived antibody responses in humans.J Exp Med 2010; 207:155-171}; #br >''転写因子''¬e{:Shapiro-Shelef M et al:Regulation of plasma-cell development. Nat Rev Immunol 2005; 5:230-242}; -B細胞初期分化に必須な&color(blue){''Pax5''};は, 胚中心B細胞の形質細胞への分化に必須な転写因子&color(red){''Blimp1''};の発現を抑制しており, 胚中心B細胞は無秩序に形質細胞へと分化することなく, 正常な選択・増殖過程を経ることができると考えれる. #br -胚中心B細胞の形質細胞への分化には, %%%Pax5抑制とBlimp1の抑制解除が必須になる%%%. ~ &color(crimson){IL-21刺激はSTAT3リン酸化を介しIRF4依存的にPax5による抑制を解除し, Blimp1の転写を促進する};. >''B細胞分化制御に必須な細胞表面分子'' -&color(red){''T細胞のCD40リガンドからB細胞のCD40へのシグナル''};は胚中心の形成や維持に必須である.¬e{:de Vinuesa CG et al:Germinal centers without T cells.J Exp Med l91 :485-494,2000}; ¬e{:Xu J et al:Mice deficient for the CD40 ligand.Immunity 1:423-431, 1994};¬e{:Han S et al Cellular interaction in germinal centers. Roles of CD40 1igand and B7-2 in established germinal centers.J Immunol l55:556-567,1995}; #br -Tfhが発現しているPD-1からB細胞表面のPD-L1, PD-L2へのシグナルも胚中心B細胞分化に重要な役割を果たしていることが最近の研究により確認された.¬e{:Good-Jacobson KL, et al.PD-1 regulates germinal center B cell survival and the formation and affinity of long-lived plasma cells. Nat Immunol. 2010 Jun;11(6):535-42.}; -これらの分子の発現は''DOK3''により調節される&color(blue){細胞内カルシウムシグナルの抑制により制御される};ことが示されている.¬e{:Ou X, et al.Adaptor protein DOK3 promotes plasma cell differentiation by regulating the expression of programmed cell death 1 ligands. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Aug 5;111(31):11431-6.}; //**Immunoglobulinの単一特異性(monospecificity)((ヒトの分子遺伝学 第3版 MDSI Tokyo)) [#oce813d0] //B細胞がIg鎖を作る場合総計6つの遺伝子座位を使うことが可能であるが, B細胞はすべて, ある1つのタイプの重鎖とある1つのタイプの軽鎖から構成される単一タイプのIg分子をつくりだす。このように個々のB細胞は単一特異的である。 //アレルの排除(allelic exclusion) //どのB細胞も母方染色体または父方染色体から軽鎖または重鎖が合成され&color(red){両親の相同遺伝子両方から作られることはない。};結果, B細胞の重鎖座位ではアレルの一方のみが発現される(=単一アレル発現 monoallelic expression). //軽鎖の排除(light chain exclusion) //B細胞で合成される&color(red){軽鎖は, k鎖かλ鎖かのどちらかだけであり, 両方が合成されることはない.};2つの機能的な軽鎖遺伝子クラスターのうちで発現されるのはアレルの一方のみであり, 他方はまったく発現されない。 //2つの機能性重鎖アレルのうち1つだけ, 4つの機能しうる軽鎖遺伝子のなかで1つだけが活性化されるという''決定は完全に無作為ではない''。&color(blue){''すべてのB前駆細胞で有効なDNA組み換えはIGLよりもIGKで起こりやすく,そのため B細胞の多くはk軽鎖をもっている''}; //リンパ球で抗原受容体がアレルの一方の遺伝子だけ発現される現象をおこす機構 1)~3) //1) 受容体遺伝子の組み換えはしばしば失敗してもとの遺伝子座を破壊することがある。第二の座位をもちいた2番目の試みも失敗すると未熟なB細胞やT細胞は死滅してしまう。 //2) 遺伝子組み換えがうまくいっても機能的なタンパク質ができるのは組み換えの3分の1にすぎない。 //3) 細胞表面に重鎖や軽鎖が正常に発現されたとしても組み換え過程を不活性化するフィードバックシグナルが出されることである。