#author("2022-08-02T09:21:32+09:00","","") #author("2022-09-18T10:50:34+09:00","","") [[Wikipathologica-KDP]] [[関連ページ>#r5b508c3]] [[CD4+,CD56+ Hematodermal tumor_SPS227-Case08]] *樹状細胞 Dendritic cells [#a5ceeb02] #ref(RM Steinman01.jpg,around,right,80%) 1973年 ロックフェラー大学の''Ralph M. Steinman''(右写真)とZanvil A. Cohnはマクロファージの食作用に端を発した研究から, 樹状細胞に関する最初の論文を発表した.¬e{:Steinman RM, Cohn ZA.Identification of a novel cell type in peripheral lymphoid organs of mice. I. Morphology, quantitation, tissue distribution.J Exp Med. 1973 May 1;137(5):1142-62.}; 以来 44年, ほぼ半世紀をすぎ, DCの研究は多岐にわたっている. Steinman教授は2011年10月3日にノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した. 直後に家族より教授が受賞決定の3日前に死去していたことが公表された. 彼は2007年に膵臓癌と診断され、自らが研究の対象とした樹状細胞を使用した治療を受けていた. 勉強中. ページ作成中( 2017-07-27) φ(・_・”)'' >''樹状細胞'' -骨髄細胞由来で全身の組織に分布している。各組織には, 分布, 細胞表面抗原, 機能の違いから分類されるさまざまなサブセットが存在する. #br -&color(blue){系統マーカ陰性(lin-), MHC classⅡ陽性};で,樹状突起をもつ細胞. 白血球の約3%以内の存在比率. -&color(blue){系統マーカ陰性(lin-)};, &color(#e2041b){''MHC classⅡ陽性''};で,樹状突起をもつ細胞. ''白血球の約3%以内''の存在比率. #br -naive T細胞に抗原を提示する能力をもつ''生体内で最も抗原提示能力の高い細胞'' #br -単一の細胞ではなく, 起源や機能の異なるサブセットよりなる #br -炎症状態では&color(crimson){''自然免疫と獲得免疫の橋渡し役をする最も強力な抗原提示細胞''};. 定常状態(炎症なし)では, ''免疫寛容を誘導する制御細胞として免疫学的恒常性を維持する''. ***樹状細胞の種類, サブセット [#c84c03f6] #ref(hDCs-TabNeu.jpg,around,right,70%) 樹状細胞のサブセット, 細胞表面抗原はマウスを使った研究によるものが多い. ヒトの DCsサブセットやDCsの発現抗原, DCsの機能はマウスと異なっており、理解に注意が必要. ''ヒトDCsサブセットの分類と機能''¬e{:Merad M, et al. The dendritic cell lineage: ontogeny and function of dendritic cells and their subsets in the steady state and the inflamed setting.Annu Rev Immunol. 2013;31:563-604.};¬e{:Collin M, et al. Human dendritic cell subsets. Immunology. 2013 Sep;140(1):22-30.};¬e{:佐藤克明 樹状細胞サブセットと機能 専門医のためのアレルギー学講座 アレルギー 2016; 65(1): 11-17}; -ヒトDCsは''lineage marker陰性(lin-; CD3, CD19, CD14, CD20, CD56, glycophorinA)かつMHC-IIを発現する細胞''. #br -ヒトではDCは''CD11c(integlin αX)の発現有無により分類される''; CD11c陰性のplasmacytoid DC (pDC)とCD11c陽性のconventional DC. ただしヒトではCD11cは, ほとんどの単球, マクロファージに陽性となる. #br -ヒトDCサブセットに関する知見は主に末梢血単核球より得られており, ''cDCサブセット2種類とpDCの合計3種類''のサブセットより構成されている. >1) &color(red){''CD141(blood DC antigen[BDCA]-3)+DCs''}; DCsの5%をしめる. CD141(=thrombomodulin) >2) &color(red){''CD1c(BDCA-1)+ DCs''}; DCsの60%をしめる >3) &color(red){''CD303(BDCA-2)+, CD304(BDCA-4)+ pDCs''}; DCsの35%をしめる >以前は''骨髄前駆細胞から分化する骨髄系DCとリンパ球系前駆細胞から分化するリンパ球系DCの2系列のDCsが存在すると考えられ,それに基づいて分類されていたが'', >その後の研究から%%%DCサブセット上に発現するマーカではその起源を分類できない%%%ことがあきらかになった。すなわち, DCsは''骨髄系, リンパ球系どちらの前駆細胞からも分化してくる''ことがわかった。 &color(red){SIZE(20){''■''}}; ヒトDCsの局在 ''表皮のLangerhans細胞'' -表皮には造血細胞起源のLangerhans細胞がわずかのγδT細胞を含み存在する¬e{:Tigelaar RE, et al TCRγ/δ+ dendritic epidermal T cells as constituents of skin-associated lymphoid tissue. J Investig Dermatol. 1990; 94:58S-63S.};. -Langerhans細胞は, CD45, MHC-Ⅱ, EpCAM, Langerinが陽性¬e{:Valladeau J, et al. The monoclonal antibody DCGM4 recognizes Langerin, a protein specific of Langerhans cells, and is rapidly internalized from the cell surface. Eur J Immunol. 1999; 29:2695-704.};. マウスと異なりヒトLangerhans細胞は''CD1aが高度に発現されT細胞にlipid antigenを提示する能力をもつ''.¬e{:Fithian E, et al Reactivity of Langerhans cells with hybridoma antibody. Proc Natl Acad Sci USA. 1981; 78:2541-44.};¬e{:Hunger RE, Sieling PA, Ochoa MT, Sugaya M, Burdick AE, et al. Langerhans cells utilize CD1a and langerin to efficiently present nonpeptide antigens to T cells. J Clin Investig. 2004; 113:701-8.}; ''非リンパ組織のDCs'' -非リンパ組織のDC解析は基礎疾患にたいする外科手術で採取した組織DCの分析によるものが多く,DC分布解析に影響を与えていた. #br -以前の研究では真皮DCsにはCD1a+ CD14- DCとCD1a- CD14+の2サブセットが存在するといわれたが, factorXⅢ, CD163抗体の開発により後者は真皮マクロファージのコンタミであることがわかった.¬e{:Zaba LC, Normal human dermis contains distinct populations of CD11c+ BDCA-1+ dendritic cells and CD163+ FXIIIA+ macrophages. J Clin Investig. 2007; 117:2517-25.}; ¬e{:Haniffa M, et al. Differential rates of replacement of human dermal dendritic cells and macrophages during hematopoietic stem cell transplantation. J Exp Med. 2009; 206:371-85.}; #br -最近の知見ではヒト真皮にはCD141(=thrombomodulin)+DCが明らかに存在し, 真皮DCで唯一XCR1, TLR3, CLEC9AおよびNecl2を発現している. #br -真皮CD141+ DCと同じDCはヒト造血細胞を再構成したヒト化マウスの肺, 腎, 粘膜固有層およびヒトの腸組織に存在している. ''リンパ組織のDCs'' -LN DCsは, phenotypeが血中DCに似た, CD1c+ CD141+ DCsから構成されリンパ節定住性DC conventional DCと分類される.¬e{Segura:Segura E, et al.Characterization of resident and migratory dendritic cells in human lymph nodes. J Exp Med 2012; 209:653-60.}; #br -血液内DCに類似する CD1c+, CD141+ DCサブセットがヒト脾臓¬e{:Poulin LF, et al. Characterization of human DNGR-1+ BDCA3+ leukocytes as putative equivalents of mouse CD8α+ dendritic cells. J Exp Med 2010; 207:1261-71.}; ¬e{:McIlroy D, et al. Investigation of human spleen dendritic cell phenotype and distribution reveals evidence of in vivo activation in a subset of organ donors. Blood. 2001; 97:3470-77.};, 扁桃¬e{:Lindstedt M, et al. Gene family clustering identifies functionally associated subsets of human in vivo blood and tonsillar dendritic cells. J Immunol. 2005; 175: 4839-46.};¬e{:Jongbloed SL, et al. Human CD141+(BDCA-3)+ dendritic cells (DCs) represent a unique myeloid DC subset that cross-presents necrotic cell antigens. J Exp Med. 2010; 207:1247-60.};に存在しリンパ節定住性DCに相当する #br -リンパ節細胞はまた, ~ 1) 移動性DCsに分類される MHC-Ⅱhigh CD11cint EpCAM+ CD1a+細胞, および~ 2) 移動性真皮CD1a+DCsに分類されるEpCAM- CD1a+細胞~ 3) 真皮CD14+ DCsに分類される CD206+ 細胞を誘導している.¬e{Segura:Segura E, et al.Characterization of resident and migratory dendritic cells in human lymph nodes. J Exp Med 2012; 209:653-60.}; #br -皮膚疾患のリンパ節において定住および移動性DCs分画を分析した最近の研究では, 皮膚CD141+ DCsおよびCD1a+ DCsも附属リンパ節に移入するとされる.¬e{:Haniffa M, et al. Human tissues contain CD141hi cross-presenting dendritic cells with functional homology to mouse CD103+ nonlymphoid dendritic cells. Immunity. 2012; 37:60-73.}; #br -初期の研究では, ヒト胸腺DCsの多くは, 骨髄系マーカを欠き, CD11c+ CD11b- CD45ROSUP{SIZE(8){''low''}};でヒトCD141+ DCsおよびマウスのCD8+ DCsに類似しているとされている.¬e{Shortman:Shortman K, et al Mouse and human dendritic cell subtypes. Nat Rev Immunol. 2002;2002:151-61}; #br -胸腺DCsのわずかな分画は対照的に, CD11cSUP{SIZE(8){high}}; CD11b+ CD45ROSUP{SIZE(8){high}};で骨髄系マーカを発現している.マウスのCD11b+CD172a+ thymic DCsに類似している.¬e{Shortman:Shortman K, et al Mouse and human dendritic cell subtypes. Nat Rev Immunol. 2002;2002:151-61}; //-二次リンパ装置(リンパ節, 脾臓)に常在するDendritic cells //-リンパ管を経由してリンパ節に移動することはなく, リンパ組織由来の抗原を提示している。 //-定常状態より樹状形態をしめし, 活性化後に樹状突起がさらに伸長する. //-パターン認識受容体(pattern recognition receptor; PRR)であるToll-like 受容体(TLR)群の多様な発現をしめす。¬e{:佐藤克明ほか 樹状細胞サブセットと免疫応答制御 炎症と免疫 2017;25(3):245-251}; //-CD4, CD8α, CD11bの発現の違いにより3つのサブセットに分類される。(3つをまとめて&color(crimson){古典的DC: conventional DC};とよぶ)~ //1) CD4-, CD8α+, CD11b- 2)CD4+, CD8α-, CD11b+ 3) CD4-, CD8α-, CD11b- (マウス) #br ''形質細胞様樹状細胞 plasmacytoid dendritic cells, pDCs'' -ウイルス感染やCpGに反応して&color(red){顕著なI型インターフェロンを産生する};. Interferon producing cells(IPCs)ともよばれる.ウイルス感染への生体防御を担う. #br -ヒト''扁桃やリンパ節のT領域,末梢血中''に存在. 定常状態の組織中には多くない. #br -リンパ節のMHC-Ⅱ陽性細胞の20%がpDCで, 炎症部位にはすばやくリクルートされる.¬e{:Cox K, et al. Plasmacytoid dendritic cells (PDC) are the major DC subset innately producing cytokines in human lymph nodes. J Leukoc Biol. 2005;78:1142-52.}; #br -定常状態では球系であるが, 活性化すると樹状突起をもち, 抗原提示能力が増強する. #br -形質細胞の様に細胞質に多くの粗面小胞体をもつが''免疫グロブリンはもたない''. #br -CD11c-, CD4+, CD123(IL-3R)+である. ヒトpDC特異抗体には2000年 CD303(BDCA-2, CLEC4C), CD304(BDCA-4, neuropilin) 抗体が樹立された. #br -組織pDCsは''制御性T細胞を誘導し免疫寛容を来す''. 寛容の成立に失敗すると, SLEや乾癬などの自己免疫疾患発症や増悪がある.¬e{Gilliet:Gilliet M,et al. Plasmacytoid dendritic cells: sensing nucleic acids in viral infection and autoimmune diseases. Nat Rev Immunol. 2008 Aug; 8(8):594-606.}; #br -非常に&color(red){高レベルのTLR7とTLR9を発現し};, ウイルスからのシグナルを自己の核酸に変換伝達する.¬e{Gilliet:Gilliet M,et al. Plasmacytoid dendritic cells: sensing nucleic acids in viral infection and autoimmune diseases. Nat Rev Immunol. 2008 Aug; 8(8):594-606.}; ¬e{:Lande R, et al. Plasmacytoid dendritic cells sense self-DNA coupled with antimicrobial peptide. Nature. 2007; 449(7162):564-9.}; //-骨髄系マーカを発現しない. CD4やpreT細胞受容体α鎖を発現. λ5やIgH鎖遺伝子の再構成が認められる(リンパ球系由来ではないかと考えられていた) 要確認. >二次リンパ組織に定住するDC(conventional DCs and pDCs)の寿命は3-7日であり組織内においてほとんど増殖しないため、恒常性維持のため絶えず前駆細胞より供給される必要がある.¬e{:小内伸幸ほか plasmacytoid dendritic cellの分化とその制御 医学のあゆみ 2014; 250(11): 1044-1045}; ''定常状態ではみられず炎症や感染時に認められるDCs'' -炎症性樹状細胞群とは微生物または炎症刺激に応答し一過性に形成されるDCsのことで, 炎症や感染が治癒すると消失する. 発生と機能についてはまだ十分わかっていない. -動物実験においては, Listeria monocytogenes感染時の脾臓ではTNF-α, iNOSを産生するTip-DC(TNF-α/iNOS producing DC)が動員されバクテリア感染時の自然免疫に重要な役割を担っている。 #br ***CD11a, b, c --インテグリンα鎖分子群 [#r9795cfd] #ref(CD11-structure.jpg,around,right,80%) 文献¬e{:右田俊介ほか CD抗原ハンドブック 別冊医学のあゆみ 1999;119-128}; CD11a;αL integlin, &color(red){LFA-1(lymphocyte function associated antigen-1)αchain};, ロタウイルスレセプター 分子内にEFハンドがありCa2+結合により高次構造が変わりうる.培養条件によりmonoclonal抗体の結合性は変化することで証明された. 細胞の活性化によって機能が変わるのはインテグリンの特徴である. CD11aはCDとして認証される1982年以前より&color(red){''LFA-1''};として知られていた分子. CD18をペアとしたヘテロ二量体を形成し, 単独の分子では機能しないため&color(red){''LFA-1''};はヘテロ二量体''(CD11a/CD18)''を指すことになった.(機能性の2分子を一つの名前で呼んでいる) CD11aに次いで機能が類似し, 染色体局在も一致する遺伝子ファミリーの''CD11b, CD11c''が発見された. いずれもCD18とペアを形成し,&color(blue){''CD11b/CD18はMAC-1とよばれた''};. CD11c/CD18ヘテロ二量体には特別な名がなく, ''gp150,90''と呼ばれていた. &color(crimson){''インテグリン''};という分子群名ができて, その構成因子であるCD11aはinteglinαL, CD11bはinteglin αM, CD11cはinteglin αX, CD18分子はinteglinβ2となり, LFA-1はintelin αLβ2, MAC-1はinteglinαMβ2, p150,90はinteglinαXβ2となった. CD11aはインテグリンα鎖の共通性として約1000アミノ酸の一本鎖に膜貫通部, 50アミノ酸の細胞内部分を含むタイプI膜タンパク. EFハンドと呼ばれるhelix-loop-helix構造が3~5回繰り返して存在する.これはカルモデュリンなどCa2+結合タンパクにも共通にみられ, アミノ酸間にCa2+が入りキレート構造を形成して安定化する.~ 細胞周辺にCa2+濃度が高まるとCa2+結合タンパクと結合して高次構造を変え今まで不安定なペプチド鎖が安定化して直角に曲がる.(CD11構造図参照)リガンドと結合してCD11aの高次構造が変化すると細胞間距離が縮まり接着することになる. 細胞外部分には7つのリピートのほか, 約200アミノ酸のIドメイン(inserted domain, A domainともいう)があり, リガンドとこの部分で特異的に結合する. 結合にはMg2+が必要である. CD11aはLFA-1の名前にもあるようにT-cellにおもに局在するが単球, 好中球, NK細胞にも存在しとくに活性化されたときに発現が増大する. CD11aは主にT細胞にあって, リガンドはICAM-1(CD54)である. ICAM-2(CD102), ICAM-3(CD50)とも結合する. リガンドは免疫グロブリンファミリーでありそのN末端の第一ドメインがCD11aのIドメインと結合する。 CD11b, cの共通するペア分子はCD18.共通するリガンドはICAM-1で, CD11aと異なりICAM-2,3ではなく, 補体のC3b分解物が共通のリガンドとなる。CD11b/CD18はcomplement receptor3(CR3)となり, CD11c/CD18はcomplement4(CR4)とよばれる. &color(blue){''MAC-1(CD11b/CD18)''};は単球, Mφにおもに発現するが顆粒球, NK細胞にもみられる.正常皮膚, 乾皮症, 扁桃, メラノーマなどに混在するMφに発現し, Langerhans細胞, 正常メラノサイト, 内皮細胞, T細胞, B細胞などには認められない. CD11c/CD18は顆粒球に出現するが, 単球, Mφ, 樹状細胞, NK細胞にも発現する. 骨髄単球系の培養細胞ではいずれの系にも発現して明確な区別はない. ***関連ページ [#r5b508c3]