#author("2024-02-01T15:43:38+09:00","","") #author("2024-02-01T15:45:50+09:00","","") [[Wikipathologica-KDP]] *Extrarenal malignant rhabdoid tumor [#qeb32058] ''腎外性悪性ラブドイド(横紋筋様)腫瘍'' -まれな軟部腫瘍で, &color(red){''乳幼児に発生''};する, 男 > 女 #br -腎外性腫瘍は, 体軸, 傍脊柱および四肢内部病変が最も多い. ラブドイド腫瘍は腎と中枢神経に多くみられる. #br -EMRTは中枢神経系のPNET(primitive neuroectodermal tumor)を合併することがある。 #br >''肉眼所見'':通常やわらかい肉様の褐色ないし白褐色の腫瘍で被膜はなく浸潤性増殖をする。 >''組織所見'':上皮様腫瘍細胞は上皮様で, 遍在する核は核小体が明瞭で濃染するクロマチンをもつ。細胞質は好酸性で豊富であり核周辺に円形, 硝子様のPAS陽性封入体がみられる. 電顕では封入体にはケラチンとビメンチンを含む中間径フィラメントの凝集が確認される。 > #gallery(left,nowrap,noadd){{ ERMRT01.jpg>HE ERMRT02.jpg>HE }} ''免疫染色'': -EMA, Cytokeratin, vimentin陽性. #br -CD99(MIC-2), S-100, synaptophisin, SMA, Muscle specific actinの陽性も報告されている. #br -&color(purple){''INI-1が陰性''}; 正常細胞ではINI-1(SMARCB1遺伝子産物)は核陽性となるが, &color(#0000ff){関連腫瘍では発現がみられなくなる.}; ''分子生物学的特徴'' -EMRTでは通常, 染色体 22q11.2に存在するINI-1遺伝子(alias: hSNF5/ SMARCB1/ BAF47)の欠失または変異が認められる. ***''INI-1'' [#j583b1bb] >HGNCの公式シンボルは ''SMARCB1'' 別名:RDT; INI1; SNF5; Snr1; BAF47; MRD15; RTPS1; Sfh1p; hSNFS; SNF5L1; SWNTS1; PPP1R144~ 公式のフルネームは &color(red){S};WI/SNF related, &color(red){m};atrix associated, &color(red){a};ctin dependent &color(red){r};egulator of &color(red){c};hromatin, subfamily &color(red){b};, member &color(red){1}; >染色体''22q11.2''に局在し, クロマチンリモデリング複合体のWSI/SNFの構成要素INI1タンパク質をコードする。 >INI1遺伝子の変異や欠損は &color(red){小児腎臓に好発する横紋筋肉腫様腫瘍};(malignant rhabdoid tumors, MRTs)や&color(red){中枢神経腫瘍のatypical teratoid/ rhabdoid tumor(AT/RT)};の遺伝的特徴となっている((Biegel JA, et al. Alterlations of the hSNF5/INI1 gene in central nervous system atypical teratoid/rhabdoid tumors and renal and extrarenal rhabdoid tumors. Clin Cancer Res 2002; 8: 3461-3467)) >INI1タンパク質は, &color(red){ほぼ''全ての細胞''に発現しており, ''正常細胞では核に陽性''};を示す.((Wilson BG, et al. SWI/SNF nucleosome remodellers and cancer. Nat Rev Cancer 2011; 11: 481-492))~ 免疫染色による腫瘍診断では染色法の問題、染色の失敗や陽性率の問題のため&color(blue){''腫瘍では陰性となる''タンパク質の染色結果は解釈が困難である};がINI1は通常,ほぼ全ての細胞で発現しており内在性コントロールで陽性が確認可能のため, その有用性が認められている。 >腎,あるいは腎外軟部組織のmalignant rhabdoid tumorsと同様にAT/RTでは&color(purple){''INI1タンパク質免疫染色で, 核不染''};が認められる。 #ref(rabdoid feature.jpg,around,right,65%) #br >ラブドイド細胞の出現する腫瘍(右図:類上皮肉腫は除く。)においてINI1が陰性にならないことが確認されている((Perry A et al., INI1 expression is retained in composite rhabdoid tumors, including rhabdoid meningiomas. Mod Pathol. 2005 Jul;18(7):951-8.PMID:15761491)) >''ウイルムス腫瘍 明細胞肉腫, 先天性間葉芽腎腫, 腎明細胞癌''あるいは''ユーイング肉腫(Ewing arcoma), 悪性末梢神経鞘腫(MPNST)''でもINI1免疫染色は陰性にならない((Hoot AC et al., Immunohistochemical analysis of hSNF5/INI1 distinguishes renal and extra-renal malignant rhabdoid tumors from other pediatric soft tissue tumors.Am J Surg Pathol. 2004 Nov;28(11):1485-91.PMID:1548965)). 鑑別診断に使える。 >&color(red){''類上皮肉腫についてはINI1が陰性となる症例が多いことに注意 !!''}; >&color(blue){''類上皮肉腫についてはINI1が陰性となる症例が多いことに注意 !!''}; #br #br ***類上皮肉腫 [#l1bea70d] 類上皮肉腫 epithelioid sarcomaには''通常型 classical''と''近位型 proxymal''があり, &color(red){硝子様の封入体を伴いラブドイド細胞様形態を示す上皮様異型細胞};を含むためにEMRTとの鑑別診断に挙がる。 -''通常型''のほとんどは, &color(blue){指や手, 前腕などの上肢に発生};する潰瘍を伴った単発あるいは多発性皮膚結節病変。 -''近位型類上皮肉腫''は, 主に&color(red){骨盤部や会陰, 生殖器に認められる};。近位型は多くの研究者により''EMRTの亜型''と考えられている。 -類上皮肉腫の好発年齢はEMRTと異なり, &color(red){''思春期から若年成人に最も多い''};。 ''組織'' >組織学的所見には幅があり、''時々ラブドイド細胞を含むが, おとなしい形態の上皮様細胞がシート状または中心に壊死を伴った結節状に増殖する所見もあれば, 紡錘形の細胞増殖を示すものもある''。~ ''偽血管様変化''や, かなり稀であるが, ''化生性の骨''が認められることもある。 ''免疫染色所見'' >EMRTとのオーバーラップがみられ, ''両者はいずれも低分子, 高分子CKおよびvimentinに陽性である。類上皮肉腫の90%はINI-1発現が欠如し腫瘍細胞核が陰性となる''。 &color(red){EMRTと異なる点は, 類上皮肉腫の50%はCD34陽性を示す};。 類上皮肉腫の予後は''EMRTと同様に不良である''。