#author("2023-02-17T12:24:41+09:00","","")
#author("2023-02-17T12:26:00+09:00","","")
[[Floral variant of follicular lymphoma]]

作成中

''add''; 付加.ラテン語のadditioから; Additional material of unknown origin(ISCN 2016)&note{;9.2.1 Additional Material of Unknown Origin, J MacGowan-Jordan, et Ed. ISCN: an international system for human cytogenomic nomenculture(2016); 59-60};

addの記号は由来不明の付加断片(原著では, material)が染色体の領域やバンドに付着したときに使用する. -->[[日本人類遺伝学会「染色体異常をみつけたら」:http://cytogen.jp/index/download.html]], [[add(9)(p22)の意味 QandA:http://cytogen.jp/index/qa_14.html]]

-染色体のある領域や部位に由来不明のmaterialが付着しているときは, symbolの ''t''と?を使い表記することがある.例) t(1;?)(p36;?)~
しかし、染色体の再配列が実際に転座に起因するものであることは、ごく稀にしか知られていない. 記号addは特定のメカニズムを意味するものではないので、推奨される。~

-末端バンドに付加された物質は、常に染色体腕の長さを増加させることになる. 染色体の断片を置き換える未知の物質は、その大きさによって、染色体腕の長さが増加することも減少することもある。1p+"や "1p-"といった表記は、異常な染色体を説明するために使用されるが、%%%核型では使用しない%%%.

染色体の両腕に由来不明の断片が付着している場合や、染色体中の2つ以上の断片が置き換わっている場合は、"der "という記号を使用する.

例) 46,XX,der(5)add(5)(p15.3)add(5)(q23)-->5番染色体短腕 5p15.3に由来不明の断片が付着, 長腕5q23qter(端)までのセグメントを付加断片が置換している.

&ref(add14q32-OK.jpg,around,left,110%); &ref(chr14-ISCN-zuOK.jpg,around,left,80%);

''add(14)(q32)''

14番染色体長腕q32バンドで切断し、その断端に由来不明の染色体断片が付加(add)したことを意味します。均衡型相互転座が隣接分離して生じた不均衡型相互転座です。14q32からq末端に至るセグメントの欠失(部分モノソミー)と、由来不明の断片の付加(部分トリソミー)です。 次のように書くこともできます。der(14)t(14;?)(q32;?)


&color(#e60033){''Immunoglobulin heavy chain遺伝子の5'末端は、14qテロメア(qter)の反復配列から8kb以内に位置しているため, add(14)(q32)はIgH遺伝子と他の遺伝子の転座を意味していることがある. ''};

#ref(IGH-IMGT-Chr14.jpg,around,right,60%)
ヒト(Homo sapiens)のIGH遺伝子座は, 14番染色体上のバンド14q32.33, 長腕のテロメア端に位置する&note{:Kirsch, I.R. et al., Science, 1982; 216: 301-303};&note{:Mc Bride, O.W. et al., Nucleic Acids Res., 1982; 10: 8155-8170};
白血病やリンパ腫のIGH遺伝子座を含む転座の解析から、遺伝子座の方向が決定され染色体上のヒトIGH遺伝子座の向きは逆向き(REV)である。

1250kb長の範囲に5'(qter)側からIGHV, IGHD, IGHJ, IGHCの順に局在している. 数字は各遺伝子座の遺伝子数を示す.IMGT Repertoire (IG and TR) Chromosomal localization: human (Homo sapiens) IGH&note{:https://www.imgt.org/IMGTrepertoire/index.php?section=LocusGenes&repertoire=chromosomes&species=human&group=IGH};
#br

''核型では解析の困難なadd(14)(q32)について, IGH融合遺伝子を&color(#e60033){分裂期FISH};で解析した報告がある. ''
''add(14)(q32)について, 核型では解析の困難なIGH融合遺伝子を&color(#e60033){分裂期FISH};で解析した報告がある. ''

''Gozzetti A, et al. (2002)''&note{:Gozzetti A, et al. Identification of novel cryptic translocations involving IGH in B-cell non-Hodgkin's lymphomas. Cancer Res. 2002 Oct 1;62(19):5523-7.};

正常核型3人, 14q32に関与しないクローン異常35人, あるいは反復転座以外の14q32の変化,すなわちadd(14)(q32)13人を有するB細胞NHL患者51人の細胞を核分裂期FISHにより調査.

-51例中16例(31%)で17個のIGH転座が検出された。

-add(14)(q32)の13例のうち、9例でFISHによりパートナー染色体が同定された(69%;&color(#e60033){''3q27、6例''};、''2p13、19p13.3、18q21.3、各1例'')

-14q32の異常が認められなかった38例中 6例(16%)と14番染色体の異常が認められた13例中2例(15%)には、3q27(3例)、5p15.3(2例)、19p13.3(3例)、14q32(1例;1例は2つの転座)が関与するmasked IGH転座(5例)あるいはcryptic IGH転座(3例)があった。

#br



''Arcaroli JJ, et al(1999)''. &note{:Arcaroli JJ, et al. Is a duplication of 14q32 a new recurrent chromosomal alteration in B-cell non-Hodgkin lymphoma? Cancer Genet Cytogenet.1999 Aug;113(1):19-24. doi: 10.1016/s0165-4608(98)00286-6.''};

-腫瘍細胞染色体の形態が劣悪な一部の症例では, 14番染色体上の追加セグメントは細胞遺伝学的バンディング技術(karyotype)だけでは同定されないままである。add(14)(q32)を有する15人のNHL患者のメタフェースを、細胞遺伝学的解析を行った後にFISHを使用して調べた。

-15人中 6例(40%)でq32領域を含む14qの重複が認められ、4例でdup(14)(q32)、2例でdup(14)(q24q32)であった。

-8例では、FISHにより既知のNHL関連転座が確認された。&color(#e2041b){''4例ではt(14;18)(q32;q21)};、2例ではt(11;14)(q13;q32)、1例ではt(8;14)(q24;q32)と t(9;14) (p13;q32) であった。また、1症例にt(14;17)(q32;q21)を認めた。

-FISHの使用は、14q32染色体上の追加セグメントの起源を決定する上で貴重であり、14q32重複領域に関与するB細胞NHLの一群を解決するのに役立った。
#br

''Takashi Akasaka, (2018)''&note{:Akasaka T, et al. Pulmonary extranodal marginal zone lymphoma that presented with macroglobulinemia and marked plasmacytic cell proliferation carrying the t(14;18)(q32;q21)/MALT1-immunoglobulin heavy-chain fusion gene in pleural fluid. J Clin Exp Hematop 2018 Sep 19;58(3):141-147. doi: 10.3960/jslrt.18013. Epub 2018 Aug 8.};

-形質細胞分化の顕著な肺節外性辺縁帯リンパ腫Pulmonary extranodal marginal zone lymphoma 症例で核型に48,XY,+3,add(9)(p13),+12,add(14)(q32),del(16)(q22),-18,+marで&color(#e60033){FISHによりadd(14)染色体がder(14)t(14;18)(q32;q21)に相当し,そこにMALT1-免疫グロブリン重鎖(IGH)融合遺伝子が局在};していたことが示された

-long distance PCR(長距離ポリメラーゼ連鎖反応)により,2つの遺伝子を包含する断片が増幅され,接合はIGHのJ6セグメントとMALT1切断点のクラスターの3.7kb上流で起こったことが示された。

トップ   編集 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS