#author("2022-08-29T19:51:40+09:00","","")
#author("2022-08-29T19:53:13+09:00","","")
[[Wikipathologica-KDP]]

[[To End>#piyo]]

*Juvenile xanthogranuloma 若年性黄色肉芽腫[#sabb8ae3]

''1歳 男児. 右鼻孔部腫瘤''

#ref(macro-01.jpg,around,left,30%)
2ヵ月前, 腫瘤のある部位に発赤があったことがスナップ写真で確認できる. 鼻孔皮膚に傷ができて触っているうちに痂皮を形成した.~
かさぶたをとっているうちに次第に隆起してきた.皮膚科や小児科で抗生剤の投与や軟膏塗布をうけたが不変, 当院紹介となった.病変の生検検査をおこなう.

赤色調の隆起で頂部は陥凹し, びらん状, 痂皮形成があるように見える. 細血管増生が透見できる. 周囲皮膚との境界は明瞭. 部分生検が施行された.

#clear
#br

***''腫瘤組織病理所見'' [#f88b147f]

部分生検がおこなわれた. 

#gallery(left,nowrap,noadd){{

loupe-up.jpg>loupe像
loupe-low.jpg>loupe 腫瘍深部
HE01.jpg
HE02.jpg
HE-mitosis.jpg>mitosis,10hpfに1-2
}}

loupe像:表面に痂皮形成. 均等な組織像で,壊死や出血はみられない. 低倍ではspindle cellの密な増殖があるように見える.
拡大所見では, 類円形, 卵円形, ねじれた桿状の核, くびれ,勾玉様の核など不整形な核をもつ細胞が増殖している. クロマチンは繊細な傾向で, 核小体を1個もつ核が認められる.
高倍率10視野で 1-2個の核分裂像が数えられた.

樹状細胞性腫瘍, 組織球性腫瘍, histiocytic sarcoma(あまり異型がめだたない)などを考えて鑑別, 免疫染色をおこなった.
#br

''免疫染色''

#gallery(left,nowrap,noadd){{

CD1a-lpf.jpg>CD1a
S-100-lpf.jpg>S-100
CK(AE1-3)-lpf.jpg>CK(AE1,AE3)
CD123-lpf.jpg>CD123
Langerin-lpf.jpg>Langerin
CD163-lpf.jpg>CD163
FactorXIIIa-lpf.jpg>Factor XIII 
MIB-1-lpf.jpg>MIB-1 LI 20-30%
}}

CD20, PAX5, CD3, CD5 リンパ球マーカは陰性. Dendritic cell marker (CD1a, CD123, Langerin, etc)は陰性. S-100, CD168, CD68(KP-1)が陽性. 組織球増殖病変と考えられた. foamy macrophageやgiant cellsはほとんど認められない. 高異型度, 多型細胞の出現はないが, MIB-1 LIが高く, mitosisも増加している, 悪性の心配あり, 治療方針の決定のため consultationを行った.
#br

#gallery(left,nowrap,noadd){{

S-100 -hpf.jpg>S100
CD68(KP-1)-mfp.jpg>CD68(KP-1)
FactorXIIIa-mpf.jpg>Factor XIIIa
FactorXIIIa-hpf.jpg>Factor XIIIa
}}

IHCの拡大像. Factor XⅢaの免疫染色画像もここに掲載する.

***''Pathological Diagnosis'' [#ue680506]

愛知医科大学都築先生にconsultation.

-診断の難しい症例. 病理としては邪道であるが, 年齢, 発生場所, 肉眼所見(赤色調隆起病変)などから鑑別診断を考え, juvenile xanthogranulomを考えた。免染により樹状細胞腫瘍は否定されている。

-組織所見は矛盾しないが, &color(blue){''多核巨細胞が少ないこと, 好酸球浸潤が少ないことは典型的ではない. ''};

-免疫染色では, FactorXⅢa, CD68, CD163がびまん性にそまり, xanthogranulomaの診断を支持する結果となっている.

-組織球性肉腫は, &color(#e2041b){''形態的に細胞の多型, 異型が大変高度なことが知られており, 本例は該当しない.''};
>ご高診ありがとうございました。

2か月ほどの間に隆起した亜急性病変で, 下記 Juvenile xanthogranulomaの早期病変にあたるのかもしれない, (管理人)
#br
#br

***''臨床経過'' [#d65ed0e4]

大学病院に紹介され摘出手術がおこなわれた. 手術検体でも非典型的ではあるものの juvenile xanthogranuloma に矛盾しなかった。~
手術検体でも、明瞭な泡沫細胞は指摘できませんでしたが、Tuton型巨細胞が少数確認できた. 免疫染色の結果も、juvenile xanthogranuloma を支持する所見であった。
全身精査を行ったところ、他に病変は見当たらず、単発性であることが確認できた。(大学病理診断担当先生からの報告)


術後2年, 再発なく元気に遊んでいるようです.
#br
#br

***''Factor XIIIa:'' [#w329409d]

フィブリノリガーゼ、&color(blue){''フィブリン安定化因子''};としても知られ、''血液凝固カスケード''(右図)の中で最後に生成される酵素である.
#ref(gyohko-cascade01.jpg,around,right,75%)

カルシウム依存性のトランスグルタミナーゼまたはトランスアミド化酵素であり, フィブリン分子間に分子間γ-グルタミル-イプシロン-リジン架橋を形成し、フィブリン凝塊の機械的安定化およびタンパク質分解に対する抵抗性をもたらす。また, ファクターXIIIaは細胞表面の分子や膜を安定化させる働きもあると考えられている.

チオール活性中心を持つCa2+依存性トランスグルタミナーゼは動物組織に広く存在し、細胞増殖、胚発生、乳腺間質および上皮要素の増殖による成長に関連しています。

正常な乳腺間質は、ほとんどのコラーゲン結合組織と同様に、CD34陽性樹状突起間質細胞と,散在するFactor XIIIa陽性コラーゲン関連dendrophageの常在個体群を含んでいる。

ファクターXIIIaは、正常皮膚と炎症性皮膚における発現が調べられてきた。ヒト皮膚におけるFactor XIIIa陽性細胞は、骨髄真皮樹状細胞の特異的な集団であり、単核食細胞に共通する特徴を持つランゲルハンス細胞とは別物である。アトピー性皮膚炎や乾癬などの良性皮膚疾患では、真皮上層にリンパ球と密接に関連したFactor XIIIa陽性細胞が増加していることが報告されている. &note{:https://shop.leicabiosystems.com/en-jp/ihc-ish/ihc-primary-antibodies/pid-factor-xiiia};

&ref(Factor XIIIa_pathology.txt); ---病理組織におけるFactor XⅢaの染色態度(text file)
#br

皮膚科領域では、Dermatofibroma(DF)とDermatofibrosarcoma protuberans(DFSP)の鑑別に用いられる。

-DFとDFSPは通常, HE染色標本で鑑別可能であるが,&color(#e60033){部分生検などで診断に確信が持てないときは利用する価値がある};。 

-&color(#e2041b){''DFでは, ほとんどの例で多数のFactor XIIIa陽性細胞がある''};が, &color(blue){''DFSPでは通常陰性である''};。

-&color(#e60033){''DFSPでも病変内にFactor XIIIa陽性細胞が散在することがあり、必ずCD34とあわせて評価する。''};

||dermatofibroma(DF)|dermatofibrosarcoma protuberans(DFSP)|
|Factor XIII|+++びまん性|±~+|
|CD34|-|++|


&aname(piyo);

**Xanthogranuloma of the neonates/ Juvenile xanthogranuloma (JXG) [#f0ffb5fc]

''病理組織所見''

#gallery(left,nowrap){{
#gallery(left,nowrap,noadd){{

foamy01.jpg>foamy cells
foamy-oligo.jpg
foamy-oligo.jpg>foamy cellが少ない
many-Touton.jpg>多数のTouton giant cells
eosinophils-OK.jpg>好酸球の浸潤
}}

典型的なJXG細胞は大きく, 細胞質は空胞状で,核は円形または切れ込みをもち, 小さい。細胞は、&color(orange){''CD68、fascin、factor XIIIa、CD4''};で染色されるが、CD1aやCD207(Langerin)では染色されない。&note{:Picarsic J, Jaffe R. Nosology and pathology of Langerhans cell histiocytosis. Hematol Oncol Clin North Am 2015;29(5):799-823.};

#ref(Touton GC-OK.jpg,around,right,30%)

''Touton giant cell''(右図中央)として知られる、中心部に核を持つ巨細胞が認められる. 時に、emperipolesisが確認される。

JXGの他のvariantとして、早期型と後期型がある. 
-&color(#224B8F){''早期型は、古典型にみられる脂質空胞をもたないmononorphicな組織球が密に増殖するもの''};

-後期型は、''泡沫組織球や巨細胞の病巣を伴う紡錘形細胞の渦状増殖が見られる''. また, リンパ球や好酸球の混在も認められる。

新たに報告された&color(#e60033){''ALK陽性組織球症は''};,&color(#005B98){''古典的なJXGに類似した泡沫状細胞であるが,不規則に折りたたまれた核''};と,ALK免疫組織化学で染色されるいくつかの多核細胞である。この所見を有する患者は、''TPM3-ALKおよびKIF5B-ALK融合遺伝子''の分子生物学的解析を受けるべきである。
#clear


***ALK陽性組織球症:WHO2022新分類, Dendritic and histiocytic neoplasms項目の新しい疾患 [#p102d970]

-ALK遺伝子転座:&color(#e83929){''最も一般的にはKIF5B::ALKの存在''};とALK阻害剤治療への顕著な反応によってまとめられた. 幅広い臨床病理学的側面を示す.~
最近の研究においてその特徴がより明らかになってきた.&note{Kemps:Kemps PG, et al.ALK-positive histiocytosis: a new clinicopathologic spectrum highlighting neurologic involvement and responses to ALK inhibition. Blood 2022;139:256-80.};&note{:Chang KTE, et al. ALKpositive histiocytosis: an expanded clinicopathologic spectrum and frequent presence of KIF5B-ALK fusion. Mod Pathol. 2019;32:598-608.};

-多系統の全身型は典型的に幼児に発症し、肝臓、脾臓、骨髄の病変を伴い、経過は長引くが、多くの場合、自然治癒または化学療法により緩やかに治癒する。

-その他の多臓器型および単臓器型症例は年齢層に関係なく発生し、それぞれ2つ以上の臓器または1つの臓器のみの病変を有し、特に中枢/末梢神経系および皮膚への病変が多く、全身療法または外科療法により良好な転帰をたどる&note{Kemps:Kemps PG, et al.ALK-positive histiocytosis: a new clinicopathologic spectrum highlighting neurologic involvement and responses to ALK inhibition. Blood 2022;139:256-80.};&note{:Chan JK, et al.ALK+ histiocytosis: a novel type of systemic histiocytic proliferative disorder of early infancy. Blood.2008;112:2965-8.};。

-ALK陽性組織球症における組織球は、大型卵形細胞、泡沫細胞、紡錘細胞、一部は多核化(Touton巨大細胞を含む)または過多極性を含む様々な外観を呈することがあり,形態所見からは完全に診断できるものではなく、''若年性黄色肉芽腫や稀にRosai-Dolfman Diseaseの形態''と広範囲に重なる。

-従って、&color(#e60033){ALK陽性組織球症の可能性を検討するために、定義された疾患群に適合しない組織球性増殖に対してALK免疫染色を行う''};ことが推奨される。
#br

***新生児のJXG/ JXG in neonates [#ea3cf850]

JXGの症状は,肌色,黄橙色,褐色,紫色の皮膚斑点や丘疹が多く身体のどこにでも発生する.

患者さんにより,孤在性あるいは少数の病変を持つ人もいれば,文字通り数百の病変が皮膚上に分布している人もいる. 時には大きな丘疹が生じることもある. 75%の患者さんでは,1-2ヶ所にJXGを認める.&note{:Freyer D.R., et. al.Juvenile xanthogranuloma: forms of systemic disease and their clinical implications. J Pediatr 1996; 129: pp. 227-237.};

&color(#c9171e){''皮膚以外の他の部位としては,肝臓(22%),肺(16%),軟部組織(16%),脾臓(11%),眼(9%),リンパ節(7%),脳(7%),副腎(7%),消化管(7%),骨髄(7%),心臓(4%)''};など内臓病変がある.&note{Isaacs:Isaacs H. Fetal and neonatal histiocytoses. Pediatr Blood Cancer 2006; 47: pp. 123-129.};


Kiel Tumor Registryのデータによると,JXGは小児100万人あたり約1人の頻度で発生することが示唆されている.&note{Janssen:Janssen D., Harms D.: Juvenile xanthogranuloma in childhood and adolescence: a clinicopathologic study of 129 patients from the Kiel pediatric tumor registry. Am J Surg Pathol 2005; 29: pp. 21-28.};

男女比は1.4:1で,&color(#c9171e){''35%が出生時に病変を有し,71%が生後1年以内に病変を発症する,播種性病変を有するJXG患者では3:1の割合で女性が優勢''};~
原因に関する公表データなし. 今のところ不明.

由来細胞は''マクロファージ系の骨髄前駆細胞に由来する骨髄性樹状細胞が真皮デンドロサイトとなり,JXGの異常な形に集積する''と考えられている.
#br
#br


''臨床症状および転帰''

-病変が 1 つまたは数個の患者のほとんどは,自然に治癒する

-Kiel の研究では&note{Janssen:Janssen D., Harms D.: Juvenile xanthogranuloma in childhood and adolescence: a clinicopathologic study of 129 patients from the Kiel pediatric tumor registry. Am J Surg Pathol 2005; 29: pp. 21-28.}; &color(blue){''81%が単一病変であり,Isaacs は 67%であると報告している''};。&note{Isaacs:Isaacs H. Fetal and neonatal histiocytoses. Pediatr Blood Cancer 2006; 47: pp. 123-129.};&note{:Konca C.,et. al. Extranodal multifocal Rosai-Dorfman disease: response to 2-chlorodeoxyadenosine treatment. Int J Hematol 2009; 89: pp. 58-62.};''完全切除で治癒する症例もあり,再発はほとんどない''.
#br

&color(blue){''SIZE(18){■}''};''全身性病変を示すneonatal JXG''--&color(#e60033){新生児JXGは全身病変に注意が必要!};

&color(#e60033){''新生児期の全身病変の発生率は 27%であり,全年齢の小児では 3.9%であるのに対し,高頻度.''};&note{Isaacs:Isaacs H. Fetal and neonatal histiocytoses. Pediatr Blood Cancer 2006; 47: pp. 123-129.}; 

新生児期のJXG45症例では,全身性のJXG患者のほぼ4分の1は皮膚病変を認めなかった.&note{Isaacs:Isaacs H. Fetal and neonatal histiocytoses. Pediatr Blood Cancer 2006; 47: pp. 123-129.}; 頭頸部(41%),体幹(41%),上肢(7.9%),下肢(10.3%)に病変がみられた。

眼球周囲に複数の病変を有する患児の他, 眼球内病変を有する患児がいるが, &color(blue){''眼部JXGは孤立性病変であることがほとんど''};. &note{:Collum L.M.,et. al.: Limbal xanthogranuloma. J Pediatr Ophthalmol Strabismus 1991; 28: pp. 157-159.};''眼球の充血,流涙,眼瞼下垂,角膜や眼瞼上の可視病変を認める.''

JXG は,歯肉,頬粘膜,舌および声門下領域で報告されている.&note{:Flaitz C.,et. al. Juvenile xanthogranuloma of the oral cavity in children: a clinicopathologic study. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 2002; 94: pp. 345-352.};&note{:Somorai M.,et. al. Managing isolated subglottic juvenile xanthogranuloma without tracheostomy: case report and review of literature. Pediatr Pulmonol 2007; 42: pp. 181-185.};

他臓器への浸潤は--脳,心臓,肝臓,脾臓,腎臓,肺,骨髄,腸,骨などである。&color(blue){''全身に病変がある患者の中には,皮膚病変を認めない者もいる''};。&note{:Freyer D.R.,et. al.Juvenile xanthogranuloma: forms of systemic disease and their clinical implications. J Pediatr 1996; 129: pp. 227-237.};

-脳病変を有する新生児は,痙攣,脳神経徴候,および/または発達遅延を示すことがある.

-心臓病変は,不整脈またはポンプ能力の低下による心不全を引き起こす可能性がある.

-汎血球減少は,JXGによる骨髄浸潤の乳児に見られる兆候であり,&color(#e60033){皮膚病変の出現に先行することが報告されている};。&note{:Blouin P., et. al. Juvenile xanthogranuloma with hematological dysfunction treated with 2CDA-AraC. Pediatr Blood Cancer 2010; 55: pp. 757-760.};&note{:Hara T., Ohga S., Hattori S., et. al.: Prolonged severe pancytopenia preceding the cutaneous lesions of juvenile xanthogranuloma. Pediatr Blood Cancer 2006; 47: pp. 103-106.};

-肝臓への浸潤は,肝腫大と高ビリルビン血症によって前兆されることがある。脾臓,肝臓,骨髄に浸潤し,組織球がALKで染色され,その他にJXGの古典的染色を有するユニークな乳児のグループが報告されている.Chang K.T.E.,et. al. ALK-positive histiocytosis: an expanded clinicopathologic spectrum and frequent presence of KIF5B-ALK fusion. Mod Pathol 2019; 32: pp. 598-608.};

''鑑別診断''

-JXG病変は,アテロームや脂肪腫と間違われることがあるが,LCHとも間違われることがある。また,じんま疹色素変性症,神経線維腫症I型,骨髄性白血病もJXGと関連している. &note{:Morier P., et al. Juvenile xanthogranuloma and urticaria pigmentosa. Arch Dermatol 1975; 111: pp. 365-366.};

-NF1とJXGの患者では,若年性骨髄単球性白血病の発症リスクが20-30倍高くなる可能性がある.Zvulunov A., et al. Juvenile xanthogranuloma, neurofibromatosis, and juvenile chronic myelogenous leukemia. World statistical analysis. Arch Dermatol 1995; 131: pp. 904-908.};

''診断アプローチ''

&color(green){SIZE(24){●}};皮膚病変がわずかしかなく,全身的な症状や徴候がない幼児:全血球計算,肝酵素パネル,基礎代謝パネル,眼科検査などの評価を行う.

&color(orange){SIZE(24){●}};多発病変および全身症状がある患者,または前述 の検査項目に異常がある患者:

-脳と腹部の MRI 検査を受ける必要がある。心機能障害が明らかな場合は,心臓 MRI および心エコー図検査が適応となる。細胞減少が認められる場合は,骨髄吸引および生検を行い,フローサイトメトリー,細胞遺伝学的解析,全エクソームシークエンスを行うべき.

''治療''

-ほとんどの病変は自然に退縮するが,症例によっては単一または限られた数の病変の切除が適応となる。

-脳,脾臓および骨髄に病変を有する患者には,組織球性疾患に用いられる様々なレジメンが使用されている。脳病変を有する 3 例とびまん性骨髄および脾臓病変を有する 1 例に対し,クロファラビン 25mg/m 2 を毎月 5 日間,1 年間投与し,良好な治療成績を収めた.&note{:Simko S.J., Tran H.D., Jones J., et. al.: Clofarabine salvage therapy in refractory multifocal histiocytic disorders, including Langerhans cell histiocytosis, juvenile xanthogranuloma and Rosai-Dorfman disease. Pediatr Blood Cancer 2014; 61: pp. 479-487. };

''治療症例の報告''

-脳,皮膚,脾臓,肝臓に病変のある患者 1 名は,日本 LCH 研究会 96 プロトコールを用いて治癒した。&note{:Nakatani T., et. al. Successful treatment of congenital systemic juvenile xanthogranuloma with Langerhans cell histiocytosis-based chemotherapy. J Pediatr Hematol Oncol 2004; 26: pp. 371-374.};


-肝臓と骨髄に病変のある JXG 患者に対して成功した他の治療法には,エトポシド/ビンブラスチン/プレドニゾロン&note{:Hara T., Ohga S., Hattori S., et. al.: Prolonged severe pancytopenia preceding the cutaneous lesions of juvenile xanthogranuloma. Pediatr Blood Cancer 2006; 47: pp. 103-106.}; と 2CdA-AraC がある。&note{:Blouin P., Yvert M., Arbion F., et. al.: Juvenile xanthogranuloma with hematological dysfunction treated with 2CDA-AraC. Pediatr Blood Cancer 2010; 55: pp. 757-760.};

-胆汁うっ滞と門脈圧亢進症により,1名の小児に肝移植が必要となった。&note{:Haughton A.M.,et. al.Disseminated juvenile xanthogranulomatosis in a newborn resulting in liver transplantation. J Am Acad Dermatol 2008; 58: pp. S12-S15.};

-ALK-組織球症患者は,ALK 阻害剤クリゾチニブによる治療で治癒するが,1 例は自然治癒した。&note{:Chang K.T.E., et. al. ALK-positive histiocytosis: an expanded clinicopathologic spectrum and frequent presence of KIF5B-ALK fusion. Mod Pathol 2019; 32: pp. 598-608.};

''臨床的アウトカム''

-JXG病変が数個の新生児のほとんどは,自然に治癒し再発することはない。

-病変が広範囲に及ぶ場合は,積極的な化学療法を行う必要があるが,現在ではほとんどの患者が完治している。
#br

遺伝子異常&note{:Durham B.H., et. al. Activating mutations in CSF1R and additional receptor tyrosine kinases in histiocytic neoplasms. Nat Med 2019; 25: pp. 1839-1842.};

44例の小児JXGの全エキソームまたは標的DNA/RNA配列決定により,以下の変異が見つかった:
-MAP2K1 6例

-NTRK1融合6例

-双子の兄弟を含むCSF1R 5例

-KRAS 4例,NRAS 3例

-少数のKIT,JAK3,ALK,MET,およびその他の変異。

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