胃の腺管 glands of stomach
の編集
https://www.wikipatho-kdp.website/?%E8%83%83%E3%81%AE%E8%85%BA%E7%AE%A1%E3%80%80glands+of+stomach
[
トップ
] [
編集
|
差分
|
履歴
|
添付
|
リロード
] [
新規
|
一覧
|
検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
-- 雛形とするページ --
(no template pages)
[[Wikipathologica-KDP]] 胃の腺管 glands of stomach *胃底腺 fundic gland/ 胃腺 gastric gland [#y553a981] ***胃小窩 gastric pit/ 小窩 foveolae [#l3010922] #ref(fundic gland mucosa04-surface.jpg,around,left,40%) 粘膜表面に認められる多数の開口は&color(#e2041b){''胃小窩 gastric pit/ 小窩 foveolae''};とよぶ. 胃表面と胃小窩は''粘液産生性単層円柱状皮''に被覆されていて, ''腺窩上皮細胞''と呼ぶ. (その他, 表層粘液細胞/ 被蓋上皮細胞ともいう) 胃体部腺窩上皮細胞層は粘膜の1/4以下, 幽門部や噴門部では粘膜の約1/2の厚さを占める. &color(brown){''胃腺窩上皮はMUC5ACが陽性となる. ''}; - <-サムネイルをクリックすると,大きな画像が見られます. #clear ***胃底腺 [#lfac442d] 胃底腺は分岐単一管状腺で, 胃小窩の底から粘膜筋板に達する. 胃小窩と深部腺管との間に腺頸部glandular neck/ 峡部 isthmusとよぶ短い部位があり, ''Ki-67陽性細胞からなる増殖帯''を認める. この部位が細胞更新の場所になる. 胃小窩上皮にコミットメントされた細胞は腺頸部より胃小窩を移動しながら分化し, 胃表面に達する. 他の細胞は胃底腺の数を維持しながら下方へ移動する. 典型的にはいくつかの腺が1つの胃小窩に開口している. それぞれの胃底腺は狭く比較的長い腺体部glandular bodyとより短く広い基底部/ 腺底部glandular baseをもつ. #gallery(left,nowrap,noadd){{ fundic gland mucosa01.jpg>HE x100 fundic gland mucosa02-deep.jpg>HE x100 粘膜固有層深部 fundic gland mucosa03.jpg>HE x200 }} 胃底腺は4つの機能的に異なる細胞から構成されている. +) 頸部粘液細胞(副細胞) +) 主細胞 +) 壁細胞 parietal cell/ 酸分泌細胞 oxyntic cell +) 内分泌細胞 ''1. 頸部粘液細胞/ 副細胞'' >腺体部上半分に多く分布する細胞. 粘液様物質をもつ. ''%%%主細胞にコミットされた細胞%%%''であり, 増殖細胞帯でつくられ下方へ移動中の成熟段階の細胞と考えられている. >増殖細胞帯の下方で壁細胞の間に散在するが, 腺下方で主細胞と接して存在するものがある. &color(#c9171e){''副細胞はpepsinogen I, MUC6が陽性となる.''}; ''2. 主細胞'' >腺管の下半分または1/3に分布している細胞であり, 底面がやや広い円錐状ないし円柱状細胞. 球形核が中心よりやや底部よりに存在する. >細胞質は&color(#c9171e){分泌顆粒を多く含み好酸性を呈する. ''分泌顆粒の大部分はpepsinの前駆物質であるpepsinogen''であり, ''少量のリパーゼ''も分泌するといわれている};. pepsinogenは酸性胃液に触れるとタンパク分解酵素であるpepsinに変換される. >細胞質基底部には粗面小胞体が豊富であり, リボゾームが大量に存在するため好塩基性をである. >増殖帯でつくられた, 頸部粘液細胞が腺下方へ移動, 約50日たって成熟した主細胞になり, 200±100日ほどで寿命を終えると考えられている. ''3. 壁細胞/ 酸分泌細胞'' >壁細胞は増殖細胞帯の直下から腺部の上方1/3, あるいは1/2にかけて多く分布する.下部では主細胞の間に孤立性に存在する. >核は丸く細胞質は好酸性, ときに2核のこともある. 大型の円錐状細胞で, 切片上では尖端を内腔に向け楔状に見える. 細胞質全体にミトコンドリアが数多く認められ, 細胞小胞および細胞内分泌細管が腺腔に向かい房状となっている. >壁細胞はVitB12の小腸からの吸収に必須である内因子を産生する. >壁細胞の&color(#c9171e){''主要機能は塩酸分泌であり, 塩酸の合成はプロトンポンプとよばれる特殊酵素であるH+,K+-ATPaseによる.''};(免疫染色可能) >プロトンポンプは細胞小胞の表面に存在, 壁細胞の酸分泌ion-carrierとして主役をなしている. >壁細胞同定のH+, K+ -ATPase免疫染色ではα鎖, β鎖抗体いずれを用いても結果は一緒であり, どちらか一方の染色でよい. ''4. 内分泌細胞'' >胃体部の内分泌細胞は胃底部に存在することが多い. 腺管によりさまざまであるが10個以下/1腺管と数は多くない. >胃体部では内分泌細胞の多くがECL(enterochromaffin-like)細胞であり, &color(orange){''ヒスタミン''};を分泌している. >胃体部には''少数のX細胞とEC(enterochromaffin)細胞''が存在する. X細胞は何を分泌しているかわかっていない. ***胃酸分泌 [#w086b0e2] 壁細胞のプロトンポンプは細胞小胞表面でイオンキャリアとして機能している. 細胞内ミトコンドリアが産生したATPと共役して細胞外K+を細胞内に, 細胞内のH+プロトンを細胞外へと1:1の割合で非起電的に交換して能動輸送を行う. 胃内腔のpHは1以下に保たれる. H+, K+-ATPaseは触媒鎖であるα鎖と非触媒であるβ鎖からなる. α鎖は分子量114kDaの10回膜貫通型タンパク質で, ATP結合部位, 輸送されるカチオン(H+, K+)結合部位, proton pump inhibitor(PPI)結合部がある. β鎖はタンパク質部分, 分子量33kDaの1回膜貫通型糖たんぱく質でH+, K+ -ATPaseとNa+, K+ -ATPaseのみに認められる. β鎖には直接機能部位はないがH+, K+ -ATPaseの機能発現と細胞表面への移行と安定化にとり重要な役割をはたす. H+, K+ -ATPaseは膜中で複数のα, β鎖からなるヘテロオリゴマー構造をとり機能を発現する.
タイムスタンプを変更しない
[[Wikipathologica-KDP]] 胃の腺管 glands of stomach *胃底腺 fundic gland/ 胃腺 gastric gland [#y553a981] ***胃小窩 gastric pit/ 小窩 foveolae [#l3010922] #ref(fundic gland mucosa04-surface.jpg,around,left,40%) 粘膜表面に認められる多数の開口は&color(#e2041b){''胃小窩 gastric pit/ 小窩 foveolae''};とよぶ. 胃表面と胃小窩は''粘液産生性単層円柱状皮''に被覆されていて, ''腺窩上皮細胞''と呼ぶ. (その他, 表層粘液細胞/ 被蓋上皮細胞ともいう) 胃体部腺窩上皮細胞層は粘膜の1/4以下, 幽門部や噴門部では粘膜の約1/2の厚さを占める. &color(brown){''胃腺窩上皮はMUC5ACが陽性となる. ''}; - <-サムネイルをクリックすると,大きな画像が見られます. #clear ***胃底腺 [#lfac442d] 胃底腺は分岐単一管状腺で, 胃小窩の底から粘膜筋板に達する. 胃小窩と深部腺管との間に腺頸部glandular neck/ 峡部 isthmusとよぶ短い部位があり, ''Ki-67陽性細胞からなる増殖帯''を認める. この部位が細胞更新の場所になる. 胃小窩上皮にコミットメントされた細胞は腺頸部より胃小窩を移動しながら分化し, 胃表面に達する. 他の細胞は胃底腺の数を維持しながら下方へ移動する. 典型的にはいくつかの腺が1つの胃小窩に開口している. それぞれの胃底腺は狭く比較的長い腺体部glandular bodyとより短く広い基底部/ 腺底部glandular baseをもつ. #gallery(left,nowrap,noadd){{ fundic gland mucosa01.jpg>HE x100 fundic gland mucosa02-deep.jpg>HE x100 粘膜固有層深部 fundic gland mucosa03.jpg>HE x200 }} 胃底腺は4つの機能的に異なる細胞から構成されている. +) 頸部粘液細胞(副細胞) +) 主細胞 +) 壁細胞 parietal cell/ 酸分泌細胞 oxyntic cell +) 内分泌細胞 ''1. 頸部粘液細胞/ 副細胞'' >腺体部上半分に多く分布する細胞. 粘液様物質をもつ. ''%%%主細胞にコミットされた細胞%%%''であり, 増殖細胞帯でつくられ下方へ移動中の成熟段階の細胞と考えられている. >増殖細胞帯の下方で壁細胞の間に散在するが, 腺下方で主細胞と接して存在するものがある. &color(#c9171e){''副細胞はpepsinogen I, MUC6が陽性となる.''}; ''2. 主細胞'' >腺管の下半分または1/3に分布している細胞であり, 底面がやや広い円錐状ないし円柱状細胞. 球形核が中心よりやや底部よりに存在する. >細胞質は&color(#c9171e){分泌顆粒を多く含み好酸性を呈する. ''分泌顆粒の大部分はpepsinの前駆物質であるpepsinogen''であり, ''少量のリパーゼ''も分泌するといわれている};. pepsinogenは酸性胃液に触れるとタンパク分解酵素であるpepsinに変換される. >細胞質基底部には粗面小胞体が豊富であり, リボゾームが大量に存在するため好塩基性をである. >増殖帯でつくられた, 頸部粘液細胞が腺下方へ移動, 約50日たって成熟した主細胞になり, 200±100日ほどで寿命を終えると考えられている. ''3. 壁細胞/ 酸分泌細胞'' >壁細胞は増殖細胞帯の直下から腺部の上方1/3, あるいは1/2にかけて多く分布する.下部では主細胞の間に孤立性に存在する. >核は丸く細胞質は好酸性, ときに2核のこともある. 大型の円錐状細胞で, 切片上では尖端を内腔に向け楔状に見える. 細胞質全体にミトコンドリアが数多く認められ, 細胞小胞および細胞内分泌細管が腺腔に向かい房状となっている. >壁細胞はVitB12の小腸からの吸収に必須である内因子を産生する. >壁細胞の&color(#c9171e){''主要機能は塩酸分泌であり, 塩酸の合成はプロトンポンプとよばれる特殊酵素であるH+,K+-ATPaseによる.''};(免疫染色可能) >プロトンポンプは細胞小胞の表面に存在, 壁細胞の酸分泌ion-carrierとして主役をなしている. >壁細胞同定のH+, K+ -ATPase免疫染色ではα鎖, β鎖抗体いずれを用いても結果は一緒であり, どちらか一方の染色でよい. ''4. 内分泌細胞'' >胃体部の内分泌細胞は胃底部に存在することが多い. 腺管によりさまざまであるが10個以下/1腺管と数は多くない. >胃体部では内分泌細胞の多くがECL(enterochromaffin-like)細胞であり, &color(orange){''ヒスタミン''};を分泌している. >胃体部には''少数のX細胞とEC(enterochromaffin)細胞''が存在する. X細胞は何を分泌しているかわかっていない. ***胃酸分泌 [#w086b0e2] 壁細胞のプロトンポンプは細胞小胞表面でイオンキャリアとして機能している. 細胞内ミトコンドリアが産生したATPと共役して細胞外K+を細胞内に, 細胞内のH+プロトンを細胞外へと1:1の割合で非起電的に交換して能動輸送を行う. 胃内腔のpHは1以下に保たれる. H+, K+-ATPaseは触媒鎖であるα鎖と非触媒であるβ鎖からなる. α鎖は分子量114kDaの10回膜貫通型タンパク質で, ATP結合部位, 輸送されるカチオン(H+, K+)結合部位, proton pump inhibitor(PPI)結合部がある. β鎖はタンパク質部分, 分子量33kDaの1回膜貫通型糖たんぱく質でH+, K+ -ATPaseとNa+, K+ -ATPaseのみに認められる. β鎖には直接機能部位はないがH+, K+ -ATPaseの機能発現と細胞表面への移行と安定化にとり重要な役割をはたす. H+, K+ -ATPaseは膜中で複数のα, β鎖からなるヘテロオリゴマー構造をとり機能を発現する.
テキスト整形のルールを表示する