Anaplastic large cell lymphoma
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[[Wikipathologica-KDP]] [[No215SPS-Case08]]~ [[ALK-positive ALCLの画像Archive>PathologyAtlas-ALK-positive ALCL]]へ行く #contents **Anaplastic large cell lymphomaの疾患概念確立 [#yf63b3d1] -ALCLの疾患概念は歴史的に変遷し、単一の疾病ではなく生物学的特性において種々の腫瘍を包含していたことに注意する必要があります。 --Ki-1リンパ腫(Stein;1982) Ki-1/CD30陽性で組織像・増殖および抗原発現様式が似る一群の非ホジキンリンパ腫として報告される --過去には悪性組織球症,未分化癌や悪性黒色腫の転移と誤診していた可能性あり --未分化大細胞リンパ腫として疾患概念を確立(Kadin 1986)==特徴的な組織所見と小児発生に注目する。 --t(2; 5)転座によるALK(Anaplastic lymphoma kinase)の異常発現がALCLの発生に深く関与することが発見される。(Shiota M.;1994, Morris SW;1994) --ALK陽性となるALCLは臨床病理学的にきわめて均質なリンパ腫である ''ALCLの診断にはALKの検索が必須。'' -&color(red){''ALCLの定義''};については大きな3つの考え方がある。 --update-Kielの考え方: classic Ki-1 リンパ腫(Stein et al.)の概念を踏襲し, T,Bリンパ腫を含む. --REAL, WHO分類の考え方: T細胞性, null細胞性症例だけとするが, ALKの発現有無は問わない. --新WHO分類: &color(#ff1493){''ALKの発現を最も重視し, ALK抗体反応陽性例でT, null細胞性のみをALCLとし''};, CD19+, CD20+などB細胞性のものはALCLとはしない。(将来的にはこの立場で分類されることが望ましい。Nakamura S.((最新悪性リンパ腫アトラス 文光堂 pp266-275, 2004))) **病理組織学的特徴 [#rd7befbd] -リンパ節実質内にびまん性に腫瘍細胞が分布、特徴的&color(blue){類洞浸潤像};が高率に出現する -腫瘍細胞は結合性に増殖し, 未分化癌や悪性黒色腫の転移との鑑別診断が必要となる -腫瘍細胞の形態 --形態は多様性に富む. 核は大型円形,楕円形に加えて腎臓様あるいはドーナッツ様の特異な形態を示す --巨核, あるいは花冠状の多核細胞の出現あり --ALK陽性例では上記形態の核に複数のめだたない核小体を持つ症例が多い --反応性の好中球・形質細胞浸潤を伴う --&color(blue){''好酸球浸潤や類上皮細胞の反応性増殖増はまれである''}; -&color(white,blue){''ALK-positive ALCLの形態的Variants''}; [ Delsol G;2001] --Common type ( 70% ) --Lymphohistiocytic variant (10%) --[[Small cell variant:http://www.ft-patho.net/index.php?Anaplastic%20large%20cell%20lymphoma%2C%20small%20cell%20variant]] (5-10% ) --Giant cell rich --Sarcomatoid -腫瘍細胞の免疫染色 --ALK陽性ALCLはほとんどの症例が&color(red){CD30+, CD15-, EMA+, Bcl-2-};の均質な一群である --ALK (p80NPM/ALK) 通常は&color(blue){核と細胞質に陽性, ときに細胞質のみ};に陽性-->融合遺伝子パートナーにより染色パターンが異なる。 --ki-1/CD30陽性 --EMA, BNH9などの上皮性マーカが陽性となる (EMAは形質細胞などで陽性ですね) --CD25, CD71などリンパ球活性化マーカが高率に陽性 --CD56(NCAM)が18%の症例に陽性となる。CD56陰性症例のほうが予後がよいらしい。 --&color(blue){''通常EB virus genomeは検出されない''}; --''腫瘍細胞はT細胞性かnull細胞である''。B細胞のものは認められない(新WHO分類に基づく定義でB細胞性は別物として扱う。) --70%が&color(red){granzymeB, TIA-1, perforin};などの細胞障害性分子が陽性となり&color(red){cytotoxic T cell};由来と考えられる。 --T cell receptor 遺伝子の再構成がしばしば認められる **臨床的特徴 [#y1fb1716] -30歳以下の若年者に多い (1-73歳, median21歳 Nakamura S;1997, Suzuki R; 2000) -男女差はない -頸部リンパ節、鼠径部リンパ節が生検されることが多い -骨あるいは、まれに皮膚などの節外臓器発生がある -初発臓器について節/節外比は 2:1である -遷延性の臨床経過で化学療法への反応性は良く完治例が多い。難治例もときに認められる. >&color(red){ALK陽性 ALCLは化学療法などで助けられる疾患。7-8割が30歳以下の若年者であり診断の見落としをしないことが大切である}; (中村栄男先生の談) >&color(red){''&SIZE(16){子供、若年者のリンパ腫ではALKとCD30を染めることを忘れないこと!!};''}; **Anaplastic lymphoma kinase [#w44819de] -小児ALCLに特徴的な&color(blue){t(2;5)(p23;q35)};転座の指摘 [Kaneko; 1989] ALCLの40-60%に検出 -ALCL細胞株(AMS3)から免疫沈降法による80kDaのリン酸化タンパク質p80を同定しALKと名付ける[Shiota;1994] -p80はCh.2のALK geneとCh.5のnucleophosmin(NPM)のキメラ遺伝子産生蛋白p80NPM/ALK #br #ref(ALKfusion_protein.jpg,around,75%) #br <-- Fig: ALK+ ALCLでのALK融合蛋白((Pileri S. et al., CD30+ anaplastic large cell lymphoma Blood 96; 3681-3695, 2000)) -ALCLに検出されるfusion gene: 2p23のALKには種々のキメラ形成遺伝子が認められる --5q35 NPM: nucleophosmin --1q25 TPM3: nonmuscular tropomyosin --3q21 TFG: TRK-fused gene --2q35 ATIC: IMP cyclohydrolase --22q11 CLTCL: clathrin heavy polypeptide-like protein --Xq11-12 MSN: moesin ALK遺伝子の融合パートナーの違いにより融合蛋白の免疫染色発現パターンが異なる。 #clear **Anaplastic large cell lymphomaとその周辺 [#ofe5ce50] 第4回リンフォマニアになるためのリンパ腫診断研究会 竹内賢吾先生講演より WHO(2008)分類 >Diffuse large B-cell lymphoma -centroblastic variant -immunoblastic variant -anaplastic variant---定義でALCLはT, null cell. B-cellはALCLとは,まったく別のものとして扱う。 >''Anaplastic large cell lymphoma, &color(red){ALK-positive};'' >''Anaplastic large cell lymphoma, &color(red){ALK-negative};'' >''Primary cutaneous CD30-positive T-cell lymphoproliferative disorders'' -primary cutaneous ALCL ''ALCLでのALK融合遺伝子のパートナー遺伝子'' >受容体型チロシンキナーゼのひとつであるALK融合タンパクの場合、&color(#e60033){''パートナー分子には重合能がある''ことによりキナーゼが恒常的に活性化される};ことになる。 >ALCLにおいてはALKのpartner geneは2003年までに9種類みつかっている。 |Partner遺伝子|Locus|Year|発現| |NPM|5q36.1|1994|LBCLにも+| |TPM3|1p23|1999|| |TFG|3q12.2|1999|| |ATIC|2q35|2000|| |TPM4|19p13|2000|| |CLTC|17q23|2001|LBCLにも+| |MSN|Xp11.1|2001|| |ALO17|17q25.3|2002|| |MYH9|22q13.1|2003|| #br >partner遺伝子の違いによりALK免疫染色パターンが異なる。核(核小体)がそまるNPMと核の染まらないそれ以外の、大きくわけて2つのパターンがある。~ &color(red){''核が染まっていれば相方はNPM''};としてまず間違いない. >&color(red){NPMのC末端には核移行シグナルがある};ためNPMとNPM-ALKのヘテロダイマーは核内に移行し免疫染色では核(特に核小体)と細胞質が染まる。NPM以外のALK融合パートナーには核移行シグナルをもつものはなく, 核は染色されない。 トップ
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[[Wikipathologica-KDP]] [[No215SPS-Case08]]~ [[ALK-positive ALCLの画像Archive>PathologyAtlas-ALK-positive ALCL]]へ行く #contents **Anaplastic large cell lymphomaの疾患概念確立 [#yf63b3d1] -ALCLの疾患概念は歴史的に変遷し、単一の疾病ではなく生物学的特性において種々の腫瘍を包含していたことに注意する必要があります。 --Ki-1リンパ腫(Stein;1982) Ki-1/CD30陽性で組織像・増殖および抗原発現様式が似る一群の非ホジキンリンパ腫として報告される --過去には悪性組織球症,未分化癌や悪性黒色腫の転移と誤診していた可能性あり --未分化大細胞リンパ腫として疾患概念を確立(Kadin 1986)==特徴的な組織所見と小児発生に注目する。 --t(2; 5)転座によるALK(Anaplastic lymphoma kinase)の異常発現がALCLの発生に深く関与することが発見される。(Shiota M.;1994, Morris SW;1994) --ALK陽性となるALCLは臨床病理学的にきわめて均質なリンパ腫である ''ALCLの診断にはALKの検索が必須。'' -&color(red){''ALCLの定義''};については大きな3つの考え方がある。 --update-Kielの考え方: classic Ki-1 リンパ腫(Stein et al.)の概念を踏襲し, T,Bリンパ腫を含む. --REAL, WHO分類の考え方: T細胞性, null細胞性症例だけとするが, ALKの発現有無は問わない. --新WHO分類: &color(#ff1493){''ALKの発現を最も重視し, ALK抗体反応陽性例でT, null細胞性のみをALCLとし''};, CD19+, CD20+などB細胞性のものはALCLとはしない。(将来的にはこの立場で分類されることが望ましい。Nakamura S.((最新悪性リンパ腫アトラス 文光堂 pp266-275, 2004))) **病理組織学的特徴 [#rd7befbd] -リンパ節実質内にびまん性に腫瘍細胞が分布、特徴的&color(blue){類洞浸潤像};が高率に出現する -腫瘍細胞は結合性に増殖し, 未分化癌や悪性黒色腫の転移との鑑別診断が必要となる -腫瘍細胞の形態 --形態は多様性に富む. 核は大型円形,楕円形に加えて腎臓様あるいはドーナッツ様の特異な形態を示す --巨核, あるいは花冠状の多核細胞の出現あり --ALK陽性例では上記形態の核に複数のめだたない核小体を持つ症例が多い --反応性の好中球・形質細胞浸潤を伴う --&color(blue){''好酸球浸潤や類上皮細胞の反応性増殖増はまれである''}; -&color(white,blue){''ALK-positive ALCLの形態的Variants''}; [ Delsol G;2001] --Common type ( 70% ) --Lymphohistiocytic variant (10%) --[[Small cell variant:http://www.ft-patho.net/index.php?Anaplastic%20large%20cell%20lymphoma%2C%20small%20cell%20variant]] (5-10% ) --Giant cell rich --Sarcomatoid -腫瘍細胞の免疫染色 --ALK陽性ALCLはほとんどの症例が&color(red){CD30+, CD15-, EMA+, Bcl-2-};の均質な一群である --ALK (p80NPM/ALK) 通常は&color(blue){核と細胞質に陽性, ときに細胞質のみ};に陽性-->融合遺伝子パートナーにより染色パターンが異なる。 --ki-1/CD30陽性 --EMA, BNH9などの上皮性マーカが陽性となる (EMAは形質細胞などで陽性ですね) --CD25, CD71などリンパ球活性化マーカが高率に陽性 --CD56(NCAM)が18%の症例に陽性となる。CD56陰性症例のほうが予後がよいらしい。 --&color(blue){''通常EB virus genomeは検出されない''}; --''腫瘍細胞はT細胞性かnull細胞である''。B細胞のものは認められない(新WHO分類に基づく定義でB細胞性は別物として扱う。) --70%が&color(red){granzymeB, TIA-1, perforin};などの細胞障害性分子が陽性となり&color(red){cytotoxic T cell};由来と考えられる。 --T cell receptor 遺伝子の再構成がしばしば認められる **臨床的特徴 [#y1fb1716] -30歳以下の若年者に多い (1-73歳, median21歳 Nakamura S;1997, Suzuki R; 2000) -男女差はない -頸部リンパ節、鼠径部リンパ節が生検されることが多い -骨あるいは、まれに皮膚などの節外臓器発生がある -初発臓器について節/節外比は 2:1である -遷延性の臨床経過で化学療法への反応性は良く完治例が多い。難治例もときに認められる. >&color(red){ALK陽性 ALCLは化学療法などで助けられる疾患。7-8割が30歳以下の若年者であり診断の見落としをしないことが大切である}; (中村栄男先生の談) >&color(red){''&SIZE(16){子供、若年者のリンパ腫ではALKとCD30を染めることを忘れないこと!!};''}; **Anaplastic lymphoma kinase [#w44819de] -小児ALCLに特徴的な&color(blue){t(2;5)(p23;q35)};転座の指摘 [Kaneko; 1989] ALCLの40-60%に検出 -ALCL細胞株(AMS3)から免疫沈降法による80kDaのリン酸化タンパク質p80を同定しALKと名付ける[Shiota;1994] -p80はCh.2のALK geneとCh.5のnucleophosmin(NPM)のキメラ遺伝子産生蛋白p80NPM/ALK #br #ref(ALKfusion_protein.jpg,around,75%) #br <-- Fig: ALK+ ALCLでのALK融合蛋白((Pileri S. et al., CD30+ anaplastic large cell lymphoma Blood 96; 3681-3695, 2000)) -ALCLに検出されるfusion gene: 2p23のALKには種々のキメラ形成遺伝子が認められる --5q35 NPM: nucleophosmin --1q25 TPM3: nonmuscular tropomyosin --3q21 TFG: TRK-fused gene --2q35 ATIC: IMP cyclohydrolase --22q11 CLTCL: clathrin heavy polypeptide-like protein --Xq11-12 MSN: moesin ALK遺伝子の融合パートナーの違いにより融合蛋白の免疫染色発現パターンが異なる。 #clear **Anaplastic large cell lymphomaとその周辺 [#ofe5ce50] 第4回リンフォマニアになるためのリンパ腫診断研究会 竹内賢吾先生講演より WHO(2008)分類 >Diffuse large B-cell lymphoma -centroblastic variant -immunoblastic variant -anaplastic variant---定義でALCLはT, null cell. B-cellはALCLとは,まったく別のものとして扱う。 >''Anaplastic large cell lymphoma, &color(red){ALK-positive};'' >''Anaplastic large cell lymphoma, &color(red){ALK-negative};'' >''Primary cutaneous CD30-positive T-cell lymphoproliferative disorders'' -primary cutaneous ALCL ''ALCLでのALK融合遺伝子のパートナー遺伝子'' >受容体型チロシンキナーゼのひとつであるALK融合タンパクの場合、&color(#e60033){''パートナー分子には重合能がある''ことによりキナーゼが恒常的に活性化される};ことになる。 >ALCLにおいてはALKのpartner geneは2003年までに9種類みつかっている。 |Partner遺伝子|Locus|Year|発現| |NPM|5q36.1|1994|LBCLにも+| |TPM3|1p23|1999|| |TFG|3q12.2|1999|| |ATIC|2q35|2000|| |TPM4|19p13|2000|| |CLTC|17q23|2001|LBCLにも+| |MSN|Xp11.1|2001|| |ALO17|17q25.3|2002|| |MYH9|22q13.1|2003|| #br >partner遺伝子の違いによりALK免疫染色パターンが異なる。核(核小体)がそまるNPMと核の染まらないそれ以外の、大きくわけて2つのパターンがある。~ &color(red){''核が染まっていれば相方はNPM''};としてまず間違いない. >&color(red){NPMのC末端には核移行シグナルがある};ためNPMとNPM-ALKのヘテロダイマーは核内に移行し免疫染色では核(特に核小体)と細胞質が染まる。NPM以外のALK融合パートナーには核移行シグナルをもつものはなく, 核は染色されない。 トップ
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