Claudin and intercellular junctions
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[[Wikipathologica-KDP]] [[WikiPathologica]] *細胞間ジャンクションとClaudin [#m60667cd] Claudin family protein Claudin3, 4が胸腺, AIREを発現する, 髄質上皮に発現している.¬e{:Hamazaki Y, et al. Medullary thymic epithelial cells expressing Aire represent a unique lineage derived from cells expressing claudin. Nat Immunol. 2007 Mar;8(3):304-11.}; Claudin18.2とClaudin18免疫染色が胃癌治療薬 ゾルベツキシマブのコンパニオン診断となった.¬e{:牛久哲男 CLDN18 特集 消化器I-上部消化管- 病理と臨床 2025;Vol43 No1: 51-56}; **Tight junction(密着結合)とClaudin [#o4cf8a7c] >Tight-Junction(TJ)は単層上皮細胞の各細胞境界面の最も頂端側(アピカル側;消化管では内腔側)に存在する細胞間接着装置. ~ 電顕超薄切切片法により隣り合う2枚の細胞膜が完全に密着した部位として同定される.¬e{:古瀬幹夫 タイトジャンクションの機能を制御するタンパク質: クローディン 生物物理 2000; 40(4): 229-233}; 凍結割断レプリカ法においては''TJストランド''と呼ばれるひも状の構造が網目をつくる像として認められる. >&ref(intercellularJunction.jpg,around,80%); &ref(TJstrand-claudin.jpg,around,70%); #clear >TJは細胞間の物質の''漏れを防ぐうえで中心的な役割(バリア機能)''を果たしていると考えられ, 加えてアピカル面とバソラテラル面の膜蛋白質が自由に拡散して''細胞の極性が失われることを防ぐ,さながらオイルフェンスのような機能(フェンス機能)''をもつと推測されている. > -ギャップジャンクションgap junctionは, 細胞の増殖や分化など基本的な生命現象に不可欠な結合で, 隣接した細胞が物質の行き来をするための連絡通路のような働きをする。 -受精卵分割の過程で増加する細胞が同調するため, 隣接した細胞のコミュニケーションを目的にギャップジャンクションが形成される. #br -ギャップジャンクションのみでは, 細胞間が「ざる」のように隙間が開いた状態のため, 胚になると''内部と外部の環境を仕切ることを目的にTJが形成される''と考えられる。 #br -ギャップジャンクションは同種細胞同士でつくる結合で, 一方TJは,ほとんどが同種細胞でつくる結合であるが, 隙間をシールするために, 免疫細胞などヘテロでTJのタンパク質をつくる可能性がある. 腸上皮では, 樹状細胞やM cellと腸上皮の間にTJが形成されている可能性がある. #br ***Claudin familyの分子 [#s39dd27b] #ref(claudin-protein.jpg,around,right,70%) Claudin familyは210~240aaの4回膜貫通型の膜蛋白. N末端は細胞質内に少数(2-6aa), C末端は細胞質内に20~63aa存在する¬e{:Furuse M, et al.Claudin-1 and -2: novel integral membrane proteins localizing at tight junctions with no sequence similarity to occludin. J Cell Biol. 1998 Jun 29;141(7):1539-50.};¬e{:Morita K, et al. Claudin-11/OSP-based tight junctions of myelin sheaths in brain and Sertoli cells in testis. J Cell Biol. 1999 May 3;145(3):579-88.};¬e{Morita:Morita K, et al. Claudin multigene family encoding four-transmembrane domain protein components of tight junction strands. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Jan 19;96(2):511-6};. family間では, 第一細胞外領域( extracellular loop 1)がよく保存されており, この領域がTJの基本骨格を作るのに重要な機能ドメインであることを示唆している. 現在claudin family は少なくとも25種類が知られている. [[claudin25:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/644672]]はputative. Claudin familyのC末端細胞内領域は, バラエティに富むが, &color(crimson){''ほとんどのClaudinはC末端がチロシン-バリン (-Y-V)で終わっている''};. また細胞内領域の大部分はC末端なので, この部位に''膜裏打ちタンパク質''が結合すると考えられる. #br #clear ''裏打ちたんぱく質'' TJの裏打ちタンパク質として, ''ZO-1, ZO-2, ZO-3''(TJP1, TJP2, TJP3ともよぶ)がよく知られている. ZO-1~3いずれも''MAGUK family''と呼ばれる一群のたんぱく質ファミリーに属し(シナプス後膜のPSD-95, ショウジョウバエのSeptate Junctionに存在する癌抑制遺伝子Dlgなどが含まれる), 膜タンパク質と結合する&color(crimson){PDZ domain(P=PDZ, D=Dlg, Z=ZO)};をそれぞれ3つ持っている. ZO-1~3のPDZドメインがさまざまなCladinのC末端に直接結合することが証明されている. ¬e{Itoh:Itoh M,et al. Direct binding of three tight junction-associated MAGUKs, ZO-1, ZO-2, and ZO-3, with the COOH termini of claudins. J Cell Biol. 1999 Dec 13;147(6):1351-63.}; Cadherin系による上皮細胞の極性形成にZO-1が関与していることを考えると, ZO-1~3がClaudinとの相互作用を介してTJの位置を決めている可能性が推察される. YVを含むclaudinのC末端の3つのアミノ酸は,タイト結合の裏打ち蛋白であるZO蛋白(ZO-1,ZO-2,ZO-3)のN末端にある PDZ1ドメインと結合する¬e{Itoh:Itoh M, et al. Direct binding of three tight junction-associated MAGUKs, ZO-1, ZO-2, and ZO-3, with the COOH termini of claudins. J Cell Biol. 1999 Dec 13;147(6):1351-63.};.さらにZO-1とZO-2のC末端側の領域はアクチンフィラメントと結合している¬e{: };.つまり,claudinにより形成されたTJ ストランドは, ''ZO蛋白''を介してperijunctional ringに濃縮する''アクチンフィラメント''と結合し,これによって,タイト結合は細胞側面膜の最頂端部に局在・維持されると考えられている.また,claudinの細胞質ドメインには種々の''プロテインキナーゼのターゲットとなり得る配列があり'',claudinの細胞質ドメインのリン酸化でタイト結合の機能が制御されている¬e{: };. タイト結合の機能は,上皮細胞側面膜の''頂端部に局在する''ことにより発現する.この局在化は機能発現に直結しており,前述のようにTJ ストランドを構成するclaudinが,ZO-1を介して接着複合体直下の細胞質にリング状に集積するアクチンフィラメント(終末堤terminal bar)と結合することによると考えられている. *Claudin18(CLDN18) 胃癌治療への応用 [#o3817aca] CLDN18には, 18.1と18.2の2種類のスプライスバリアントが知られている.~ 正常細胞ではCLDN18.1はⅡ型肺胞上皮, CLDN18.2は胃上皮細胞に特異的に発現するとされている. 胃上皮においては, 腺窩上皮, 頸部粘液細胞, 幽門腺, 胃底腺など本来の胃上皮はすべて陽性を示す¬e{:Shinozaki A, et al. Epstein-Barr virus-associated gastric carcinoma: a distinct carcinoma of gastric phenotype by claudin expression profiling. J Histochem Cytochem. 2009 Aug;57(8):775-85. PMID: 19398608}; 腸上皮化生では, 胃形質の残る不完全腸上皮化生では様々な程度にCLDN18.2発現が見られる. &color(#0000ff){''完全型腸上皮化生ではCLDN18.2は発現しない.''}; 逆流性食道炎にともなうBarrett上皮, 消化性障害による十二指腸胃腺窩上皮化生, 炎症性腸疾患における幽門腺化生, 胆嚢や膵の胃上皮化生など慢性炎症などにともなう化生によって胃上皮に特異的とされるCLDN18.2が様々な臓器に発現が認められる. 胃型上皮がみられる臓器では腫瘍でもしばしば胃型形質を示し, CLDN18.2の発現が見られる; -CLDN18.2を発現する腫瘍の代表は胃癌や膵癌である. -Barrett食道癌, 十二指腸癌, 大腸癌の一部, 子宮頸部分葉状頸管腺過形成(LEGH; lobular endocervical glandular hyperplasia), 頸部胃型腺癌, 膵上皮内腫瘍性病変(PanIN), 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPNM)など様々な腫瘍でもCLDN18.2が発現する. -胃癌におけるコンパニオン診断はCLDN18.1と18.2の両者を認識する抗体が使われる(胃型上皮や胃癌において発現するCLDN18は基本的に18.2で18.1の発現は考慮しなくてよい(ほんとか??)ため) **ゾルベツキシマブ [#mb1dd2e4] CLDN18.2を標的とし結合するキメラIgG1モノクロナール抗体. -胃癌細胞表面のCLDN18.2に結合し, 抗体依存性細胞障害(ADCC)や補体依存性細胞障害(CDC)などの免疫作用を活性化し, 細胞死を誘導する. -ソルベツキシマブはADCC活性やCDC活性など免疫エフェクター機能を誘導し抗腫瘍効果を発現しており, 既存の分子標的薬のように標的分子の機能を阻害して抗腫瘍効果を発現するのと異なる. 新規固形癌治療戦略といえる. -IgGクラス抗体には1-4のサブクラスがある.(IgG1-IgG4). IgG1はNK細胞やマクロファージなどのFc受容体に対し高親和性をもち, ADCC活性やCDC活性が最も高いサブクラス抗体である. HER2抗体薬のトラスツズマブもIgG1抗体. -IgG4はFc受容体に限定的な親和性しかもたず, エフェクター機能を誘導しにくい. 免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体は免疫細胞に対するエフェクター機能が誘導されないようIgG4サブクラス抗体が選択されている. -CLDN18.2は正常胃細胞同士が密着するタイトジャンクションに局在しているため高分子量のソルベツキシマブはそこまで到達せず, 正常胃上皮にはエフェクター機能を発揮しずらい. 一方, 細胞結合性低下, 極性の乱れによりCLDN18.2が表面に露出したがん細胞ではソルベツキシマブは到達,結合しやすく, エフェクター機能が癌細胞にのみ誘導されると考えられている. -ソルベツキシマブには悪心嘔吐作用がつよく, 実際には正常胃上皮障害作用がある程度存在する可能性が示唆されている. ***CLDN18.2 コンパニオン診断 [#ec69757e] -キット, 抗体, 機種が指定されている. -ベンタナOptiView CLDN18(43-14A)RxDx: 一次抗体の「ベンタナOptiView CLDN18(43-14A)RxDx」と検出薬「ベンタナOptiView DABユニバーサルキット」から構成される. 1キット50回分, 有効期限は1年. 450,000円/kit. -固定は10%中性緩衝ホルマリン 6~48時間. 保険点数は2700点 -中程度~強い染色が細胞膜にみられる腫瘍細胞が75%以上の場合CLDN18.2陽性と判定する. --判定には50個以上の腫瘍細胞が必要.
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[[Wikipathologica-KDP]] [[WikiPathologica]] *細胞間ジャンクションとClaudin [#m60667cd] Claudin family protein Claudin3, 4が胸腺, AIREを発現する, 髄質上皮に発現している.¬e{:Hamazaki Y, et al. Medullary thymic epithelial cells expressing Aire represent a unique lineage derived from cells expressing claudin. Nat Immunol. 2007 Mar;8(3):304-11.}; Claudin18.2とClaudin18免疫染色が胃癌治療薬 ゾルベツキシマブのコンパニオン診断となった.¬e{:牛久哲男 CLDN18 特集 消化器I-上部消化管- 病理と臨床 2025;Vol43 No1: 51-56}; **Tight junction(密着結合)とClaudin [#o4cf8a7c] >Tight-Junction(TJ)は単層上皮細胞の各細胞境界面の最も頂端側(アピカル側;消化管では内腔側)に存在する細胞間接着装置. ~ 電顕超薄切切片法により隣り合う2枚の細胞膜が完全に密着した部位として同定される.¬e{:古瀬幹夫 タイトジャンクションの機能を制御するタンパク質: クローディン 生物物理 2000; 40(4): 229-233}; 凍結割断レプリカ法においては''TJストランド''と呼ばれるひも状の構造が網目をつくる像として認められる. >&ref(intercellularJunction.jpg,around,80%); &ref(TJstrand-claudin.jpg,around,70%); #clear >TJは細胞間の物質の''漏れを防ぐうえで中心的な役割(バリア機能)''を果たしていると考えられ, 加えてアピカル面とバソラテラル面の膜蛋白質が自由に拡散して''細胞の極性が失われることを防ぐ,さながらオイルフェンスのような機能(フェンス機能)''をもつと推測されている. > -ギャップジャンクションgap junctionは, 細胞の増殖や分化など基本的な生命現象に不可欠な結合で, 隣接した細胞が物質の行き来をするための連絡通路のような働きをする。 -受精卵分割の過程で増加する細胞が同調するため, 隣接した細胞のコミュニケーションを目的にギャップジャンクションが形成される. #br -ギャップジャンクションのみでは, 細胞間が「ざる」のように隙間が開いた状態のため, 胚になると''内部と外部の環境を仕切ることを目的にTJが形成される''と考えられる。 #br -ギャップジャンクションは同種細胞同士でつくる結合で, 一方TJは,ほとんどが同種細胞でつくる結合であるが, 隙間をシールするために, 免疫細胞などヘテロでTJのタンパク質をつくる可能性がある. 腸上皮では, 樹状細胞やM cellと腸上皮の間にTJが形成されている可能性がある. #br ***Claudin familyの分子 [#s39dd27b] #ref(claudin-protein.jpg,around,right,70%) Claudin familyは210~240aaの4回膜貫通型の膜蛋白. N末端は細胞質内に少数(2-6aa), C末端は細胞質内に20~63aa存在する¬e{:Furuse M, et al.Claudin-1 and -2: novel integral membrane proteins localizing at tight junctions with no sequence similarity to occludin. J Cell Biol. 1998 Jun 29;141(7):1539-50.};¬e{:Morita K, et al. Claudin-11/OSP-based tight junctions of myelin sheaths in brain and Sertoli cells in testis. J Cell Biol. 1999 May 3;145(3):579-88.};¬e{Morita:Morita K, et al. Claudin multigene family encoding four-transmembrane domain protein components of tight junction strands. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Jan 19;96(2):511-6};. family間では, 第一細胞外領域( extracellular loop 1)がよく保存されており, この領域がTJの基本骨格を作るのに重要な機能ドメインであることを示唆している. 現在claudin family は少なくとも25種類が知られている. [[claudin25:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/644672]]はputative. Claudin familyのC末端細胞内領域は, バラエティに富むが, &color(crimson){''ほとんどのClaudinはC末端がチロシン-バリン (-Y-V)で終わっている''};. また細胞内領域の大部分はC末端なので, この部位に''膜裏打ちタンパク質''が結合すると考えられる. #br #clear ''裏打ちたんぱく質'' TJの裏打ちタンパク質として, ''ZO-1, ZO-2, ZO-3''(TJP1, TJP2, TJP3ともよぶ)がよく知られている. ZO-1~3いずれも''MAGUK family''と呼ばれる一群のたんぱく質ファミリーに属し(シナプス後膜のPSD-95, ショウジョウバエのSeptate Junctionに存在する癌抑制遺伝子Dlgなどが含まれる), 膜タンパク質と結合する&color(crimson){PDZ domain(P=PDZ, D=Dlg, Z=ZO)};をそれぞれ3つ持っている. ZO-1~3のPDZドメインがさまざまなCladinのC末端に直接結合することが証明されている. ¬e{Itoh:Itoh M,et al. Direct binding of three tight junction-associated MAGUKs, ZO-1, ZO-2, and ZO-3, with the COOH termini of claudins. J Cell Biol. 1999 Dec 13;147(6):1351-63.}; Cadherin系による上皮細胞の極性形成にZO-1が関与していることを考えると, ZO-1~3がClaudinとの相互作用を介してTJの位置を決めている可能性が推察される. YVを含むclaudinのC末端の3つのアミノ酸は,タイト結合の裏打ち蛋白であるZO蛋白(ZO-1,ZO-2,ZO-3)のN末端にある PDZ1ドメインと結合する¬e{Itoh:Itoh M, et al. Direct binding of three tight junction-associated MAGUKs, ZO-1, ZO-2, and ZO-3, with the COOH termini of claudins. J Cell Biol. 1999 Dec 13;147(6):1351-63.};.さらにZO-1とZO-2のC末端側の領域はアクチンフィラメントと結合している¬e{: };.つまり,claudinにより形成されたTJ ストランドは, ''ZO蛋白''を介してperijunctional ringに濃縮する''アクチンフィラメント''と結合し,これによって,タイト結合は細胞側面膜の最頂端部に局在・維持されると考えられている.また,claudinの細胞質ドメインには種々の''プロテインキナーゼのターゲットとなり得る配列があり'',claudinの細胞質ドメインのリン酸化でタイト結合の機能が制御されている¬e{: };. タイト結合の機能は,上皮細胞側面膜の''頂端部に局在する''ことにより発現する.この局在化は機能発現に直結しており,前述のようにTJ ストランドを構成するclaudinが,ZO-1を介して接着複合体直下の細胞質にリング状に集積するアクチンフィラメント(終末堤terminal bar)と結合することによると考えられている. *Claudin18(CLDN18) 胃癌治療への応用 [#o3817aca] CLDN18には, 18.1と18.2の2種類のスプライスバリアントが知られている.~ 正常細胞ではCLDN18.1はⅡ型肺胞上皮, CLDN18.2は胃上皮細胞に特異的に発現するとされている. 胃上皮においては, 腺窩上皮, 頸部粘液細胞, 幽門腺, 胃底腺など本来の胃上皮はすべて陽性を示す¬e{:Shinozaki A, et al. Epstein-Barr virus-associated gastric carcinoma: a distinct carcinoma of gastric phenotype by claudin expression profiling. J Histochem Cytochem. 2009 Aug;57(8):775-85. PMID: 19398608}; 腸上皮化生では, 胃形質の残る不完全腸上皮化生では様々な程度にCLDN18.2発現が見られる. &color(#0000ff){''完全型腸上皮化生ではCLDN18.2は発現しない.''}; 逆流性食道炎にともなうBarrett上皮, 消化性障害による十二指腸胃腺窩上皮化生, 炎症性腸疾患における幽門腺化生, 胆嚢や膵の胃上皮化生など慢性炎症などにともなう化生によって胃上皮に特異的とされるCLDN18.2が様々な臓器に発現が認められる. 胃型上皮がみられる臓器では腫瘍でもしばしば胃型形質を示し, CLDN18.2の発現が見られる; -CLDN18.2を発現する腫瘍の代表は胃癌や膵癌である. -Barrett食道癌, 十二指腸癌, 大腸癌の一部, 子宮頸部分葉状頸管腺過形成(LEGH; lobular endocervical glandular hyperplasia), 頸部胃型腺癌, 膵上皮内腫瘍性病変(PanIN), 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPNM)など様々な腫瘍でもCLDN18.2が発現する. -胃癌におけるコンパニオン診断はCLDN18.1と18.2の両者を認識する抗体が使われる(胃型上皮や胃癌において発現するCLDN18は基本的に18.2で18.1の発現は考慮しなくてよい(ほんとか??)ため) **ゾルベツキシマブ [#mb1dd2e4] CLDN18.2を標的とし結合するキメラIgG1モノクロナール抗体. -胃癌細胞表面のCLDN18.2に結合し, 抗体依存性細胞障害(ADCC)や補体依存性細胞障害(CDC)などの免疫作用を活性化し, 細胞死を誘導する. -ソルベツキシマブはADCC活性やCDC活性など免疫エフェクター機能を誘導し抗腫瘍効果を発現しており, 既存の分子標的薬のように標的分子の機能を阻害して抗腫瘍効果を発現するのと異なる. 新規固形癌治療戦略といえる. -IgGクラス抗体には1-4のサブクラスがある.(IgG1-IgG4). IgG1はNK細胞やマクロファージなどのFc受容体に対し高親和性をもち, ADCC活性やCDC活性が最も高いサブクラス抗体である. HER2抗体薬のトラスツズマブもIgG1抗体. -IgG4はFc受容体に限定的な親和性しかもたず, エフェクター機能を誘導しにくい. 免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体は免疫細胞に対するエフェクター機能が誘導されないようIgG4サブクラス抗体が選択されている. -CLDN18.2は正常胃細胞同士が密着するタイトジャンクションに局在しているため高分子量のソルベツキシマブはそこまで到達せず, 正常胃上皮にはエフェクター機能を発揮しずらい. 一方, 細胞結合性低下, 極性の乱れによりCLDN18.2が表面に露出したがん細胞ではソルベツキシマブは到達,結合しやすく, エフェクター機能が癌細胞にのみ誘導されると考えられている. -ソルベツキシマブには悪心嘔吐作用がつよく, 実際には正常胃上皮障害作用がある程度存在する可能性が示唆されている. ***CLDN18.2 コンパニオン診断 [#ec69757e] -キット, 抗体, 機種が指定されている. -ベンタナOptiView CLDN18(43-14A)RxDx: 一次抗体の「ベンタナOptiView CLDN18(43-14A)RxDx」と検出薬「ベンタナOptiView DABユニバーサルキット」から構成される. 1キット50回分, 有効期限は1年. 450,000円/kit. -固定は10%中性緩衝ホルマリン 6~48時間. 保険点数は2700点 -中程度~強い染色が細胞膜にみられる腫瘍細胞が75%以上の場合CLDN18.2陽性と判定する. --判定には50個以上の腫瘍細胞が必要.
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