Endometrium in menstrual cycle
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[[Wikipathologica-KDP]] *月経周期による内膜組織変化 [#i003fc59] 月経周期による内膜組織像の変化.¬e{:宮地徹, 森脇昭介, 桜井幹己共著 産婦人科病理学診断図譜 第3版. 1998 杏林書院 東京}; #ref(月経ホルモン02.jpg,around,right,75%) 成熟女性の子宮内膜は卵巣ホルモン刺激により,受精卵着床に最適な形態と機能を整える. この着床に適した内膜は妊娠しない限り規則正しく再生, 繰り返される.~ この状態は&color(#c9171e){''排卵までの前半期はEstrogenにより, 排卵後の後半期はProgesteronとEstrogenの作用により''};制御され, 内膜は両方のホルモン活性の組み合わせにより特徴的な組織所見を呈する. EstrogenとProgesterone活性は,脳下垂体のfollicle-stimulating hormone(FSH)とlutenizing hormone(LH)の調節をうけ, FSHとLHは視床下部を通じて中枢神経の影響を受ける. Estrogenは内膜腺と間質を一定の厚さまで増殖させる. このEstrogenの効果は排卵直前に最高に達する. Progesteroneは内膜腺分泌能を誘発し, 間質に脱落膜様変化decidual changesを来す.Progesteroneの効果は排卵後6-8日め(分泌期中期)に最高となり, 9日め以降は急速に低下する. 黄体はprogesteroneとともにestrogenも産生し, その線維形成能により内膜表層上皮下に強固な構造をもった層を形成させ,脱落膜細胞内に貯蔵されたglycogenとともに妊卵着床に最適な内膜にする. 妊卵着床がない場合はestrogen, progesterone消退により内膜中層の融解, 脱落がおこる. これが月経である. 以上のようなホルモンの影響をうけるのは内膜上層および中層にかぎり機能層(functional layer)とよばれる. 深部myometriumに接する層は分泌期後期の高progesterone状態でもエストロゲン支持性内膜像(=増殖期の組織像)を維持し, 非機能層(non-functional layer)と呼ばれる. ''月経周期による内膜腺, 腺管と間質の変化(内膜日付診)'' #ref(日付診-Noyes のコピー.jpg,around,left,50%) Schr¨o;der¬e{:Schroder R Anastomische Studien zur normalen und pathologischen Physiologie des Menstrurations-zyklus Arch F Gyn 1912;104:27-102}; により1912年に卵巣機能の周期的変化と子宮内膜の組織像の周期的変化が相関することが明らかにされた. 月経周期中の子宮内膜組織像日変動が精密に検討され, 子宮内膜組織像から排卵, および月経との日数差を診断する, 子宮内膜日付診がNoyesら¬e{:Noyes RW., et al Dating the endometrial biopsy. Fertil Steril 1950; 1; 3-25.};によって確立された. Noyesの作成した8項目の組織観察目標に基づくdiagram(左図)をもとに日付診をおこなう. 以下8項目 1)''腺上皮核分裂像:'' 腺上皮のmitosisは増殖を示す.これらは月経中に発生する。なぜなら、修復と崩壊が同時に進行しているため 2)''腺上皮核の偽重層:''増殖期に特徴的であるが, 活発な腺分泌が始まるまで続く. また月経中に腺が萎縮するまで再開されません。 3) ''核下空胞:'' 子宮内膜中にもっとも早期に認められる排卵の組織学的証拠である.核下空胞形成は排卵の約36-48時間後に始まる. 4)''分泌:'' カーブは目に見える腺管腔内の分泌を示す.活発な分泌はより急激に減少し, 後期段階では分泌物の濃縮がおこる. 5) ''内膜間質の浮腫:'' この要因は個人によって異なり, 特に増殖期における増加はほとんど認められない場合がある. 分泌に伴う浮腫はより一定しています。 6) ''偽脱落膜変化:'' 脱落膜変化は最初に細動脈周囲に明らかになる. 月経直前の段階まで進行し, 表面に密な層が形成される. 7) ''間質の核分裂像:'' 増殖期中がもっとも多い. 分泌の活発な時期には消失し, 前脱落膜形成時(predecidual formation)には再び出現する. 8) ''好中球浸潤:'' 月経周期を通じて、内膜には常に少数のリンパ球が浸潤する. 多形核白血球の浸潤は, 月経出血開始約2日前から始まる. #clear #br **増殖期内膜 Proliferative phase [#nc1cc7bc] ''増殖期内膜組織所見'' Endometrium in proliferative phase --> &ref(月経周期による内膜組織変化PP.pdf); 増殖期内膜の組織所見をPDFで示す. #ref(日付診-Noyes のコピー 2.jpg,around,left,50%) 1) Early proliferative phase: 増殖期初期 4~7日め~ 月経3日めには, 剥脱しなかった基底層内膜の再生が始まる. 4日目には内膜は1mmの厚さとなる. 6日目には内膜全層がほぼ形成され, 厚さは3mmになる. この時期を再生期とよぶ. 再生期には腺は一部拡大の傾向を残すが全体に数は少なく狭く真っ直ぐで腺上皮細胞は低円柱上皮である. 核は小型で卵円形,核小体は不明瞭. 間質は密, 細胞は紡錘形を示し, 核クロマチンは濃縮している. 2) Mid-proliferative phase増殖期中期 8~10日め 中期は内膜は安定した形態を示す. 厚さは4mm前後で, 腺は軽度に迂曲し,上皮は高円柱状となり, クロマチンは濃くDNA増多を示す.核小体は明瞭となる. Estrogen作用増加にともなって間質浮腫はこの時期が一番強い. 3) Late prolifertive phase 増殖期後期 11~14日 Estorgen活性の急上昇により内膜は厚さ6-7mmと肥厚し, 盛んな増殖を示すmitosisが腺上皮, 間質細胞ともに多くなる. 腺の迂曲がさらに増し, &color(#e2041b){''偽重層を示してくる.''};. 核は紡錘形になり, 1-数個の核小体が現れる. 細胞質はRNAが増加し大きくN/C比は低下する. 間質浮腫は消失する. #clear #br **''分泌期内膜 Secretory phase endometrium'' [#i436798f] #ref(Noyes-Secretory phase.jpg,around,left,50%) #br ''排卵期/中間期内膜 inerval ovulatory phase'' 排卵日~1日, 月経14日目~15日目 -->&ref(排卵期内膜 ok.pdf); 排卵がおこると, progesteroneの作用により腺の分泌が開始される. 組織細胞像としては核下空胞として出現し, 電顕的には巨大なglycogen areaとして認識される. 分泌性の変化は排卵後36~48時間を要するため, この期間の内膜はまだ偽重層を残し, やがて核下空胞が見え始めるが内膜腺の50%程度である. ***''分泌期初期 Early secretory phase 排卵後2日目~5日目/月経後16日目~19日目''-->&ref(分泌期初期内膜 ok.pdf); ~ [#a4bb7308] -排卵後2日目 少なくとも50%以上の腺に核下空胞を認める. しかし核偽重層を伴い, 核分裂像もめだつ. #br -排卵後3日目/月経17日目 明瞭な核下空胞がすべての腺にきれいに並ぶ. 腺上皮の核はまだ楕円形で長い. 細胞質はRNAが豊富で核細胞質比は1:3.6と小さい. 空胞の中には粘液, 多糖類, グリコーゲンの貯留がある. #br -排卵後4日目/ 月経後18日目 腺上皮の核が下に降りてくるが核下と核上にまだ空胞は見られる. 核はしだいに丸みを帯びてくる. #br -排卵後5日目/ 月経後19日目 核はほぼ基底に降り, グリコーゲンは核上に貯留され, 腔内に分泌を始める. 細胞的にはまだRNAが多い. 核は丸くなり空胞状でクロマチンは薄い. 核小体が大きくなる. ( この核はグリコーゲン空胞が現れる以前の底部にある楕円形でクロマチンに富んだ核と対照的) #clear ***分泌期中期 Mid-secretory phase 排卵後6日目~8日目/月経20日~22日目 [#u64e1c3f] 分泌期中期内膜 --> &ref(分泌期中期内膜 ok.pdf); > -排卵後6日目, 月経20日目 腺は拡大しグリコーゲンの含量が多くなる. アポクリン型分泌がはじまるため, 背の低い腺細胞の先端がぼんやりする.細胞質内RNA含有量が低下するにもかかわらず,核小体が大きさを保つのは核内RNAが細胞質へ出されないためと推論されている. #br -排卵後7日目,月経21日目 腺は迂曲拡大し, 腺細胞は立方状で核はほぼ中央に位置し, 細胞質は明るい. 間質の浮腫がはじまる. #br -排卵後8日目, 月経22日目 間質浮腫が最高となる.螺旋動脈肥厚が明らかになる.estrogenの分泌も極期に達する. 内膜の厚さは8~9mmに肥厚する. 腺腔内のグリコーゲンはほとんど消失し, mucopolysaccharideを混じえている. 妊卵着床に最適な内膜. ***分泌期後期 late secretory phase 排卵後9~14日目, 月経23日目~28日目 [#v1a21867] 分泌期後期内膜 -->&ref(分泌期後期内膜 ok.pdf); > -排卵後9日目, 月経23日目 間質浮腫は消失.螺旋動脈肥厚が著しく, 周囲間質細胞の肥大がみられる. 前脱落膜反応(predecidual reaction)と呼ばれ, progesteroneによる最初の間質への効果を示す. 細胞質にはRNAを増す. #br -排卵後10日, 月経24日目 肥厚した螺旋動脈周囲にマントを着たように前脱落膜細胞が広く見られるようになる. 内膜腺上皮核は丸く大きく, 明るい. これに混在してクロマチンの豊富な分葉核をもつ内膜顆粒細胞が出現する. この細胞にはRNAが多い. #br -排卵後11日目,月経25日目 表層緻密層の間質細胞が前脱落膜細胞, 内膜顆粒細胞に移行しはじめる. 腺腔内分泌物は濃縮をはじめ, 腺の退行変性がはじまる. 腺は高度に拡大し, 迂曲蛇行して鋸歯状配列を示し, &color(#c9171e){上皮はしばしば腔内に乳頭状に突出するが必ず間質をともなっている.この点が増殖症との鑑別になる.}; #br -排卵後12日目,月経26日目 緻密層全体が前脱落膜および内膜顆粒細胞に移行し, 間質に分裂像が多数認められる.拡大した毛細血管が表面に現れ, 内膜腺の虚脱が始まる. #br -排卵後13日目, 月経27日目 内膜腺は虚脱を示し, 鋸歯状は顕著になる. 間質の脱落膜化は高度に濃縮してくる. #br -排卵後14日目, 月経28日目 緻密層下, すなわち中層にある前脱落膜化した機能層間質に著明な浮腫, 静脈うっ血がおこり間質細胞間線維が融解し,構造崩壊が始まる. 内膜腺は著明に萎縮する. ***月経期内膜 menstrual phase 月経1~3日 [#o9795220] 分泌期後期, 月経直前期, 月経期内膜-->&ref(月経直前期月経期内膜ok.pdf); >中層から基底層にかけ間質が融解し, 間質細胞は凝固, 静脈はうっ血拡大してやがて破綻し出血する. そして月経2~3日めではばらばらになった間質細胞, 内膜腺の遺残, 血液,好中球からなる剥脱内膜を示す. >この時期の好中球と月経開始前にみられた内膜顆粒球細胞を区別しなければならない.両者は異なる. &color(#e60033){月経開始前には好中球浸潤は起こらない.}; 月経開始はエストロゲン, プロゲステロンの降下, とくにエストロゲン効果のため内膜が水分を失い20-40%縮むことによると考えられている. #br **閉経期および老人性内膜 [#ncb5aadd] > -estrogenの消退により閉経期に入ると内膜は萎縮してくる. 初期には機能層, 基底層を区別できるが腺は単層円柱状で分裂像は見られなくなる.腺空は狭く, 間質には毛細血管がめだつ. #br -さらに進行した老人性内膜では, 二層の区別ができなくなり, 内膜は高度に菲薄化し間質線維化により嚢胞状に拡大した腺がスイスチーズ様に混在して見られる. #br -閉経後は一般的には老人性内膜/びまん性萎縮性内膜に移行するが個人的にホルモン状態が異なり, 複雑な内膜像を呈することがある.閉経後の特徴であり, ホルモン剤投与がさらに内膜像を複雑にすることがある.
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[[Wikipathologica-KDP]] *月経周期による内膜組織変化 [#i003fc59] 月経周期による内膜組織像の変化.¬e{:宮地徹, 森脇昭介, 桜井幹己共著 産婦人科病理学診断図譜 第3版. 1998 杏林書院 東京}; #ref(月経ホルモン02.jpg,around,right,75%) 成熟女性の子宮内膜は卵巣ホルモン刺激により,受精卵着床に最適な形態と機能を整える. この着床に適した内膜は妊娠しない限り規則正しく再生, 繰り返される.~ この状態は&color(#c9171e){''排卵までの前半期はEstrogenにより, 排卵後の後半期はProgesteronとEstrogenの作用により''};制御され, 内膜は両方のホルモン活性の組み合わせにより特徴的な組織所見を呈する. EstrogenとProgesterone活性は,脳下垂体のfollicle-stimulating hormone(FSH)とlutenizing hormone(LH)の調節をうけ, FSHとLHは視床下部を通じて中枢神経の影響を受ける. Estrogenは内膜腺と間質を一定の厚さまで増殖させる. このEstrogenの効果は排卵直前に最高に達する. Progesteroneは内膜腺分泌能を誘発し, 間質に脱落膜様変化decidual changesを来す.Progesteroneの効果は排卵後6-8日め(分泌期中期)に最高となり, 9日め以降は急速に低下する. 黄体はprogesteroneとともにestrogenも産生し, その線維形成能により内膜表層上皮下に強固な構造をもった層を形成させ,脱落膜細胞内に貯蔵されたglycogenとともに妊卵着床に最適な内膜にする. 妊卵着床がない場合はestrogen, progesterone消退により内膜中層の融解, 脱落がおこる. これが月経である. 以上のようなホルモンの影響をうけるのは内膜上層および中層にかぎり機能層(functional layer)とよばれる. 深部myometriumに接する層は分泌期後期の高progesterone状態でもエストロゲン支持性内膜像(=増殖期の組織像)を維持し, 非機能層(non-functional layer)と呼ばれる. ''月経周期による内膜腺, 腺管と間質の変化(内膜日付診)'' #ref(日付診-Noyes のコピー.jpg,around,left,50%) Schr¨o;der¬e{:Schroder R Anastomische Studien zur normalen und pathologischen Physiologie des Menstrurations-zyklus Arch F Gyn 1912;104:27-102}; により1912年に卵巣機能の周期的変化と子宮内膜の組織像の周期的変化が相関することが明らかにされた. 月経周期中の子宮内膜組織像日変動が精密に検討され, 子宮内膜組織像から排卵, および月経との日数差を診断する, 子宮内膜日付診がNoyesら¬e{:Noyes RW., et al Dating the endometrial biopsy. Fertil Steril 1950; 1; 3-25.};によって確立された. Noyesの作成した8項目の組織観察目標に基づくdiagram(左図)をもとに日付診をおこなう. 以下8項目 1)''腺上皮核分裂像:'' 腺上皮のmitosisは増殖を示す.これらは月経中に発生する。なぜなら、修復と崩壊が同時に進行しているため 2)''腺上皮核の偽重層:''増殖期に特徴的であるが, 活発な腺分泌が始まるまで続く. また月経中に腺が萎縮するまで再開されません。 3) ''核下空胞:'' 子宮内膜中にもっとも早期に認められる排卵の組織学的証拠である.核下空胞形成は排卵の約36-48時間後に始まる. 4)''分泌:'' カーブは目に見える腺管腔内の分泌を示す.活発な分泌はより急激に減少し, 後期段階では分泌物の濃縮がおこる. 5) ''内膜間質の浮腫:'' この要因は個人によって異なり, 特に増殖期における増加はほとんど認められない場合がある. 分泌に伴う浮腫はより一定しています。 6) ''偽脱落膜変化:'' 脱落膜変化は最初に細動脈周囲に明らかになる. 月経直前の段階まで進行し, 表面に密な層が形成される. 7) ''間質の核分裂像:'' 増殖期中がもっとも多い. 分泌の活発な時期には消失し, 前脱落膜形成時(predecidual formation)には再び出現する. 8) ''好中球浸潤:'' 月経周期を通じて、内膜には常に少数のリンパ球が浸潤する. 多形核白血球の浸潤は, 月経出血開始約2日前から始まる. #clear #br **増殖期内膜 Proliferative phase [#nc1cc7bc] ''増殖期内膜組織所見'' Endometrium in proliferative phase --> &ref(月経周期による内膜組織変化PP.pdf); 増殖期内膜の組織所見をPDFで示す. #ref(日付診-Noyes のコピー 2.jpg,around,left,50%) 1) Early proliferative phase: 増殖期初期 4~7日め~ 月経3日めには, 剥脱しなかった基底層内膜の再生が始まる. 4日目には内膜は1mmの厚さとなる. 6日目には内膜全層がほぼ形成され, 厚さは3mmになる. この時期を再生期とよぶ. 再生期には腺は一部拡大の傾向を残すが全体に数は少なく狭く真っ直ぐで腺上皮細胞は低円柱上皮である. 核は小型で卵円形,核小体は不明瞭. 間質は密, 細胞は紡錘形を示し, 核クロマチンは濃縮している. 2) Mid-proliferative phase増殖期中期 8~10日め 中期は内膜は安定した形態を示す. 厚さは4mm前後で, 腺は軽度に迂曲し,上皮は高円柱状となり, クロマチンは濃くDNA増多を示す.核小体は明瞭となる. Estrogen作用増加にともなって間質浮腫はこの時期が一番強い. 3) Late prolifertive phase 増殖期後期 11~14日 Estorgen活性の急上昇により内膜は厚さ6-7mmと肥厚し, 盛んな増殖を示すmitosisが腺上皮, 間質細胞ともに多くなる. 腺の迂曲がさらに増し, &color(#e2041b){''偽重層を示してくる.''};. 核は紡錘形になり, 1-数個の核小体が現れる. 細胞質はRNAが増加し大きくN/C比は低下する. 間質浮腫は消失する. #clear #br **''分泌期内膜 Secretory phase endometrium'' [#i436798f] #ref(Noyes-Secretory phase.jpg,around,left,50%) #br ''排卵期/中間期内膜 inerval ovulatory phase'' 排卵日~1日, 月経14日目~15日目 -->&ref(排卵期内膜 ok.pdf); 排卵がおこると, progesteroneの作用により腺の分泌が開始される. 組織細胞像としては核下空胞として出現し, 電顕的には巨大なglycogen areaとして認識される. 分泌性の変化は排卵後36~48時間を要するため, この期間の内膜はまだ偽重層を残し, やがて核下空胞が見え始めるが内膜腺の50%程度である. ***''分泌期初期 Early secretory phase 排卵後2日目~5日目/月経後16日目~19日目''-->&ref(分泌期初期内膜 ok.pdf); ~ [#a4bb7308] -排卵後2日目 少なくとも50%以上の腺に核下空胞を認める. しかし核偽重層を伴い, 核分裂像もめだつ. #br -排卵後3日目/月経17日目 明瞭な核下空胞がすべての腺にきれいに並ぶ. 腺上皮の核はまだ楕円形で長い. 細胞質はRNAが豊富で核細胞質比は1:3.6と小さい. 空胞の中には粘液, 多糖類, グリコーゲンの貯留がある. #br -排卵後4日目/ 月経後18日目 腺上皮の核が下に降りてくるが核下と核上にまだ空胞は見られる. 核はしだいに丸みを帯びてくる. #br -排卵後5日目/ 月経後19日目 核はほぼ基底に降り, グリコーゲンは核上に貯留され, 腔内に分泌を始める. 細胞的にはまだRNAが多い. 核は丸くなり空胞状でクロマチンは薄い. 核小体が大きくなる. ( この核はグリコーゲン空胞が現れる以前の底部にある楕円形でクロマチンに富んだ核と対照的) #clear ***分泌期中期 Mid-secretory phase 排卵後6日目~8日目/月経20日~22日目 [#u64e1c3f] 分泌期中期内膜 --> &ref(分泌期中期内膜 ok.pdf); > -排卵後6日目, 月経20日目 腺は拡大しグリコーゲンの含量が多くなる. アポクリン型分泌がはじまるため, 背の低い腺細胞の先端がぼんやりする.細胞質内RNA含有量が低下するにもかかわらず,核小体が大きさを保つのは核内RNAが細胞質へ出されないためと推論されている. #br -排卵後7日目,月経21日目 腺は迂曲拡大し, 腺細胞は立方状で核はほぼ中央に位置し, 細胞質は明るい. 間質の浮腫がはじまる. #br -排卵後8日目, 月経22日目 間質浮腫が最高となる.螺旋動脈肥厚が明らかになる.estrogenの分泌も極期に達する. 内膜の厚さは8~9mmに肥厚する. 腺腔内のグリコーゲンはほとんど消失し, mucopolysaccharideを混じえている. 妊卵着床に最適な内膜. ***分泌期後期 late secretory phase 排卵後9~14日目, 月経23日目~28日目 [#v1a21867] 分泌期後期内膜 -->&ref(分泌期後期内膜 ok.pdf); > -排卵後9日目, 月経23日目 間質浮腫は消失.螺旋動脈肥厚が著しく, 周囲間質細胞の肥大がみられる. 前脱落膜反応(predecidual reaction)と呼ばれ, progesteroneによる最初の間質への効果を示す. 細胞質にはRNAを増す. #br -排卵後10日, 月経24日目 肥厚した螺旋動脈周囲にマントを着たように前脱落膜細胞が広く見られるようになる. 内膜腺上皮核は丸く大きく, 明るい. これに混在してクロマチンの豊富な分葉核をもつ内膜顆粒細胞が出現する. この細胞にはRNAが多い. #br -排卵後11日目,月経25日目 表層緻密層の間質細胞が前脱落膜細胞, 内膜顆粒細胞に移行しはじめる. 腺腔内分泌物は濃縮をはじめ, 腺の退行変性がはじまる. 腺は高度に拡大し, 迂曲蛇行して鋸歯状配列を示し, &color(#c9171e){上皮はしばしば腔内に乳頭状に突出するが必ず間質をともなっている.この点が増殖症との鑑別になる.}; #br -排卵後12日目,月経26日目 緻密層全体が前脱落膜および内膜顆粒細胞に移行し, 間質に分裂像が多数認められる.拡大した毛細血管が表面に現れ, 内膜腺の虚脱が始まる. #br -排卵後13日目, 月経27日目 内膜腺は虚脱を示し, 鋸歯状は顕著になる. 間質の脱落膜化は高度に濃縮してくる. #br -排卵後14日目, 月経28日目 緻密層下, すなわち中層にある前脱落膜化した機能層間質に著明な浮腫, 静脈うっ血がおこり間質細胞間線維が融解し,構造崩壊が始まる. 内膜腺は著明に萎縮する. ***月経期内膜 menstrual phase 月経1~3日 [#o9795220] 分泌期後期, 月経直前期, 月経期内膜-->&ref(月経直前期月経期内膜ok.pdf); >中層から基底層にかけ間質が融解し, 間質細胞は凝固, 静脈はうっ血拡大してやがて破綻し出血する. そして月経2~3日めではばらばらになった間質細胞, 内膜腺の遺残, 血液,好中球からなる剥脱内膜を示す. >この時期の好中球と月経開始前にみられた内膜顆粒球細胞を区別しなければならない.両者は異なる. &color(#e60033){月経開始前には好中球浸潤は起こらない.}; 月経開始はエストロゲン, プロゲステロンの降下, とくにエストロゲン効果のため内膜が水分を失い20-40%縮むことによると考えられている. #br **閉経期および老人性内膜 [#ncb5aadd] > -estrogenの消退により閉経期に入ると内膜は萎縮してくる. 初期には機能層, 基底層を区別できるが腺は単層円柱状で分裂像は見られなくなる.腺空は狭く, 間質には毛細血管がめだつ. #br -さらに進行した老人性内膜では, 二層の区別ができなくなり, 内膜は高度に菲薄化し間質線維化により嚢胞状に拡大した腺がスイスチーズ様に混在して見られる. #br -閉経後は一般的には老人性内膜/びまん性萎縮性内膜に移行するが個人的にホルモン状態が異なり, 複雑な内膜像を呈することがある.閉経後の特徴であり, ホルモン剤投与がさらに内膜像を複雑にすることがある.
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