Hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)/ hemophagocytic syndrome(HPS)
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[[Wikipathologica-KDP]] [[aggressive natural killer cell leukemia]] *血球貪食症候群 hemophagocytic lymphohistiocytosis/hemophagocytic syndrome(HLH/HS) [#n4af9ddf] ''Hemophagocytic syndrome/hemophagocytic lymphohistiocytosis(HS/HLH)'' 自己のマクロファージが自己の血液細胞を貪食するという奇妙な病態は1939年Scott and Robb-Smithらが初めて記載し¬e{:Scott RB, Robb-Smith AHT Histiocytic medullary reticulosis. Lancet 194-198, 1939};, Rappaportら¬e{:Rappaport H Tumors of the hematopoietic system In: Atlas of Tumor Pathology. p49-63, AFIP Washington DC, 1966};は単球・マクロファージ系腫瘍と考え, 悪性組織球症としてとらえてきた。~ 1979年にRidallら¬e{:Risdall RJ, et al. Virus-associated hemophagocytic syndrome: a benign histiocytic proliferation distinct from malignant histiocytosis. Cancer. 1979 Sep;44(3):993-1002.PMID:225008};が可逆性のウイルス関連HPS(virus-associated hemophagocytic syndrome、VHAS)の存在を初めて報告, また1983年に悪性組織球症が疑われた症例の剖検例を病理組織学的に検討,その本態が悪性リンパ腫(末梢性T細胞リンパ腫)であり腫瘍細胞が産生するサイトカインにより組織球が活性化・増殖していることが報告された.¬e{:Jaffe ES, et al., Malignant lymphoma and erythrophagocytosis simulating malignant histiocytosis. Am J Med. 1983 Nov;75(5):741-9}; HS/HLHは免疫学的生体防御反応として活性化したNK cellやT細胞が何らかの原因で制御不能, 活性持続となって自己のマクロファージ・組織球を異常に活性化した状態。貪食細胞は組織臓器に浸潤, 炎症性サイトカインを過剰に産生し多彩な症状をきたす。 最近ではhemophagocytic syndromeを''血球貪食性リンパ組織球症hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)''とよぶ。 #br ''骨髄での血球貪食マクロファージ増加病理組織所見(剖検骨髄HE染色, CD163免疫染色)'' #gallery(left,nowrap,noadd){{ HPSBM01.jpg>HE HPSBM02.jpg>HE HPSCD163_01.jpg>CD163 HPSCD163_02.jpg>CD163 }} #br ''HLH/HS--7つの主要なsubtypeと頻度''(本邦567症例の検討, 2007¬e{:Ishii E, et al. Nationwide surevey of hemophagocytic lymphohistiocytosis in Japan. Int J Hematol 86: 58-65,2007};) > 1. EB virus HLH(28.7%, 1歳-14歳にピーク) > 2. other infection-associated HLH(24.3%, 1-14歳に多い.) > 3. Lymphoma-associated HLH (LAHS/LAHLH) (19%, 成人のHLH: T/NK cell;31.4%, B cell lymphoma;46.2%) > 4. Other malignancy-associated HLH (4.2% lymphoma以外の悪性腫瘍. ) > 5. Autoimmune-associated HLH (9.3%, -->[[診断基準]]) > 6. Familial HL(家族性, 一次性HLHで遺伝子異常が分かっているHLHあり. 75%が幼児の疾患) > 7. post-HSCT-HLH (1.9%, ) > (8). others(8.8%; 悪性腫瘍または膠原病に何らかの感染症を合併した症例と原因不明症例) #clear #ref(LAHSkijun.jpg,around,75%) ''<--成人LAHS(lymphoma-associated hemophagocytosis)の診断基準1999''¬e{:高橋直人, 中鉢明彦:成人リンパ腫関連血球貪食症候群, 全国集計からみた臨床病理像. 臨床血液40:96-98, 1999};¬e{:加藤雅之、三浦偉久男. 血液・腫瘍科 52:305, 2006}; EB virus, その他の感染症に起因するHLH/HSについで, 悪性腫瘍によるHLH/HSが多い。上記Ishiiら(文献5)の検討では567例のうち23.2%が悪性腫瘍関連で、その80%は悪性リンパ腫である。 1999年の高橋らの検討では津田のHPS診断基準をみたした34例のうち組織学的に悪性リンパ腫が確認されたLAHLH/LAHSは14例(41%)であった。 悪性リンパ腫関連HLH/HSは1)リンパ腫発症時(治療前), 2)寛解期, 3)増悪期の3つの発生時期がある。2)の寛解期発生のHLH/HSはリンパ腫そのものとは関係のない感染症などによるものであり通常は感染症に対する治療をおこなう。70-80%のHLH/HSは1)のリンパ腫初発時に発症し、基礎疾患の悪性リンパ腫/リンパ増殖症の治療を行う必要がある。¬e{:河敬世 二次性血球貪食症候群 医学のあゆみ vol238 No11 p1069-1073}; #clear 持続する発熱, 血球減少, 肝脾腫があればまずHLH/HSを疑う. 検査でトランスアミナーゼ上昇[AST(GOT)>ALT(GPT)], 高LDH, 高ferritin, 高sIL-2Rなどを認めれば限りなくHLH/HSの可能性が高くなるので骨髄検査や肝, 脾などの生検で血球貪食所見を確認する.~ HLH/HSが確診されれば, 感染源や基礎疾患の有無を検索, 重傷度の判定を臨床症状と検査値から決定し直ちに治療介入をおこなう。リンパ腫/ リンパ増殖症があれば基礎疾患の治療をあわせて行う必要がある。 ''HLH/HSを合併する悪性リンパ腫の臨床病理学的分類'' 種々のリンパ腫(anaplastic large cell lymphoma(ALCL), gammadelta T cell lymphoma, Hodgkin lymphoma, adult T cell lymphomaなど)にHLH/HSの合併が報告されているが大きく分類するとT/NK lymphomaとB cell lymphomaに分けられる. 高橋らの分類~ 1)T/NK-LAHS typeⅠ~ 病理組織型では nasal/ nasal type T/NK cell lyphomaで鼻腔, 副鼻腔, 皮膚など節外性腫瘤を形成, リンパ腫の増悪期、再発時にHSを発症する。 2)T/NK-LAHS typeⅡ~ nasal type T/NK lymphomaあるいはcytotoxic large T cell lymphoma, 肝脾骨髄にリンパ腫を発症と同時にLAHSを来たす。 3) B-LAHS~ diffuse large B cell lymphomaで約半数にintravascular lymphomatosis(IVL)がある。リンパ腫の部位は肝脾骨髄. リンパ腫発症と同時にLAHSを発症。 河らのHLH/HS発症リンパ腫病型分類~ 1) T/NK-LAHS~ EB virus-infected T/NK-LAHSが成人LAHSの約半数例を占める。年齢は青壮年から高齢に分布. 若年者のT/NK-LPDを考慮にいれると全年齢層にみられる。 節外性で, 腫瘤形成する鼻腔原発やextranodal nasal type(皮膚や消化管)の他, 肝, 脾, 骨髄など全身型で腫瘤形成性に乏しい. 病理所見は多型性, 壊死, 血管中心性, 血管浸潤性病変を特徴とする. CD2, CD3, CD4, CD8, cCD3, CD56, TIA-1, perforin, granzymeBなどが腫瘍細胞に陽性. TCR, EBV-terminal probeなどのclonalityを調べる. EB virus抗体価とパターン, EBER-ISH, 末梢血EBV-DNA定量などの検査が必要となる. EBV関連T/NK細胞増殖症(EBV-associated T/NK-cell LPD)~ 慢性活動性EBV感染症, 蚊アレルギーなどはHLH/HSを発症しやすく経過中に腫瘤を形成することが少なくない. 本症の多くはEB virus感染 T/NK細胞が単クローン性の増殖を示す。病理形態では成熟顆粒リンパ球が増殖している。(従来のリンパ腫・白血病の定義には一致しない) 2) B-LAHS~ B細胞性リンパ腫の7%(7/105)にLAHSが見られたと報告されている. 平均年齢は60歳をこえ高齢者に多い. 組織型はdiffuse large B cell, 表現型はCD19+, CD20+, sIg+, CD5±, CD10+。 約半数がAsian variant IVL(intravascular lymphomatosis)を呈し骨髄浸潤や, 肝脾腫が特徴的. ***LINK and LITERATURES [#n6237f5b] multiorgan failure [[What nephrologists need to know about hemophagocytic syndrome:http://www.nature.com/nrneph/journal/v5/n6/full/nrneph.2009.73.html]]--->&ref(HPSkidney.txt); CDCのHLHページ--->[[Hemophagocytic Syndromes and Infection:http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/6/6/00-0608_article.htm]] #br *なぜマクロファージは自己血球を貪食するようになるのか? Don't eat me signal [#qb713b80] #br -アポトーシス細胞の処理過程においては, 免疫系の活性化が起こらないように, 選択的にアポトーシス細胞を認識し, すみやかに貪食処理するよう複雑な調節が行われており, 自然免疫系がその役目を果たしている. -近年まで自己免疫系の自己/非自己識別機構については十分には解析されていなかったが, アポトーシス細胞による食細胞誘導のためのシグナル(find-me signal), 貪食されるための細胞表面に表出するシグナル(eat-me signal)の存在が明らかにされた. -さらに正常細胞においては, 貪食細胞に貪食されないための自己のマーカ(marker of self)として&color(red){don't eat-me signal};のシステムを持つと考えられている。 ***''CD47-SIRPα(signal regulatory protein alpha)シグナルの発見''¬e{:的崎尚 新しい細胞間シグナル伝達システムとしてのCD47-SHPS-1系 Kitakanto Med J 2001; 51: 405-408}; [#o6bd94d0] -SH2-domain-containing protein tyrosine phosphatase, SHP-2は細胞質型チロシンホスファターゼとして同定された. N末端側にSrc homology2 domainを2個タンデムにもつ. ホスファターゼとして低分子量Gタンパクの活性化を介して 細胞増殖, 接着, 運動を制御する多機能なシグナル分子. -SHP-2は複数のチロシン残基が増殖因子によりリン酸化をうけた, IRS-1やGab-1とよばれる細胞膜近傍にあるドッキング分子にSH2ドメインを介して結合, SHP-2の作用部位である細胞膜近傍にリクルートされると同時に, ホスファターゼとして活性化される. -SHP-2はインスリンなど増殖刺激因子による''Ras低分子量Gタンパクの活性化を正に制御''している. -SHP-2はインテグリンを介した細胞-基質接着のシグナル経路下流にも位置し, ''低分子GタンパクRhoの活性化も制御する'' #br #ref(CD47.jpg,around,right,80%) -SHP-2のRas活性化制御のしくみを調べるため, SHP-2の脱リン酸化基質タンパクとして膜貫通型タンパク質, &color(red){SHP substrate-1(SHPS-1)};が見つけられた¬e{:Fujioka Y et al. A novel membrane glycoprotein, SHPS-1, that binds the SH2-domain-containing protein tyrosine phosphatase SHP-2 in response to mitogens and cell adhesion. Mol Cell Biol. 1996 Dec;16(12):6887-99.};. -''SHPS-1''はN末端側に3個のIg様構造をもつ細胞外領域, 細胞膜貫通領域, 複数のチロシン残基を含みリン酸化をうける細胞内領域の3領域から構成されるタンパク質. -''SHPS-1''は増殖因子, インテグリンを介する細胞基質間接着刺激によりリン酸化され, SH2ドメインを介してSHP-2に結合するが, SHPS-1にはRas活性化にかかわるドメイン構造は認められなかった。 -''SHPS-1''の細胞外ドメインに結合するリガンド分子CD47が同定されることでCD47-SHPS-1という新細胞間シグナル伝達システムが確認された. -SHPS-1(&color(red){主に''SIRPα''とよぶ};, 別にCD172α, BIT[brain Ig-like molecule with thyrosin based activation motif], p84としても知られている)は組織普遍的に出現しているが, 神経(ミエロイド細胞や神経細胞など), 免疫系にとくに強く発現している. &color(red){''CD47-SIRPαは正常細胞のdon't eat me シグナルとして機能している。''}; -CD47は免疫グロブリンスーパーファミリーの細胞表面タンパクであり全ての細胞に発現している. -胎盤, 好中球からαvβ3 integrinに関連する50kdのタンパクとして単離され, Integrin-associated protein(IAP)とも呼ばれる. 50kdはCD47が二量体を形成した大きさであった. -CD47は細胞外に1個のIgV型N末端をもち, 5回膜貫通部(TM5)と短い細胞内C末端をもつユニークな構造を示す. C末端アミノ酸の配列の違いにより4個のisoformがあり、組織により発現が異なるが,その機能の差は不明. 最も多いのは16アミノ酸からなるisoform 2. -CD47分子が欠損するか, SIRPαがブロックされるとき, 赤血球は脾臓 Mφにより貪食される。 -マクロファージ(Mφ)は貪食において赤血球に対する受容体を必要としている 正常赤血球表面上に&color(#e83929){''Calreticulin(CLR)を認識するlow density lipoprotein receptor like protein-1 (LRP-1)が発見され''};、 マクロファージ(Mφ)は正常赤血球上のLRP-1を認識し, 貪食しようとするが&color(#1e50a2){''CD47がある限りそれは抑制されている''};。 >CD47欠損マウス新鮮赤血球を正常マウスに投与すると, 補体, リンパ球, 抗体非依存性に赤血球寿命が短縮した.¬e{Oldenborg:Oldenborg PA, et al. Role of CD47 as a marker of self on red blood cells. Science. 2000 Jun 16;288(5473):2051-4.}; MφのSIRPαをブロックすると正常赤血球がCD47欠損マウス赤血球のように貪食されるようになった.¬e{Oldenborg:Oldenborg PA, et al. Role of CD47 as a marker of self on red blood cells. Science. 2000 Jun 16;288(5473):2051-4.}; >SIRPα変異マウスでは正常CD47をもつ赤血球寿命は短くなり貧血が見られたが, CD47欠損マウスではこの貧血は見られず, 赤血球貪食,除去には CD47分子も必要であった #ref(CD47-SIRPa.jpg,around,100%) #br #br -SIRPα(CD174a, SHPS-1, PTPNS1)はマクロファージ, 骨髄球系細胞, 神経系細胞に主に発現するI型膜貫通性タンパク質で,免疫グロブリンスーパーファミリ-に属し, 細胞外にIgV, IgC, IgCの3個のIg様構造をもつ。細胞内にはリン酸化を受けるチロシン残基がある。 -CD47とSIRPαのIgVドメインが結合し, SIRPα側のチロシン残基がリン酸化され, SHIP-1やSHIP-2を介して抑制性シグナルを伝達, ミオシンとマクロファージの結合を阻害することにより, マクロファージの貪食が抑制される。 -''CD47-SIRPα系シグナル''は&color(red){don't eat meシグナル};のほか細胞運動制御や神経シナプス形成, 信号伝達など種々の機能をはたしている。
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[[Wikipathologica-KDP]] [[aggressive natural killer cell leukemia]] *血球貪食症候群 hemophagocytic lymphohistiocytosis/hemophagocytic syndrome(HLH/HS) [#n4af9ddf] ''Hemophagocytic syndrome/hemophagocytic lymphohistiocytosis(HS/HLH)'' 自己のマクロファージが自己の血液細胞を貪食するという奇妙な病態は1939年Scott and Robb-Smithらが初めて記載し¬e{:Scott RB, Robb-Smith AHT Histiocytic medullary reticulosis. Lancet 194-198, 1939};, Rappaportら¬e{:Rappaport H Tumors of the hematopoietic system In: Atlas of Tumor Pathology. p49-63, AFIP Washington DC, 1966};は単球・マクロファージ系腫瘍と考え, 悪性組織球症としてとらえてきた。~ 1979年にRidallら¬e{:Risdall RJ, et al. Virus-associated hemophagocytic syndrome: a benign histiocytic proliferation distinct from malignant histiocytosis. Cancer. 1979 Sep;44(3):993-1002.PMID:225008};が可逆性のウイルス関連HPS(virus-associated hemophagocytic syndrome、VHAS)の存在を初めて報告, また1983年に悪性組織球症が疑われた症例の剖検例を病理組織学的に検討,その本態が悪性リンパ腫(末梢性T細胞リンパ腫)であり腫瘍細胞が産生するサイトカインにより組織球が活性化・増殖していることが報告された.¬e{:Jaffe ES, et al., Malignant lymphoma and erythrophagocytosis simulating malignant histiocytosis. Am J Med. 1983 Nov;75(5):741-9}; HS/HLHは免疫学的生体防御反応として活性化したNK cellやT細胞が何らかの原因で制御不能, 活性持続となって自己のマクロファージ・組織球を異常に活性化した状態。貪食細胞は組織臓器に浸潤, 炎症性サイトカインを過剰に産生し多彩な症状をきたす。 最近ではhemophagocytic syndromeを''血球貪食性リンパ組織球症hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)''とよぶ。 #br ''骨髄での血球貪食マクロファージ増加病理組織所見(剖検骨髄HE染色, CD163免疫染色)'' #gallery(left,nowrap,noadd){{ HPSBM01.jpg>HE HPSBM02.jpg>HE HPSCD163_01.jpg>CD163 HPSCD163_02.jpg>CD163 }} #br ''HLH/HS--7つの主要なsubtypeと頻度''(本邦567症例の検討, 2007¬e{:Ishii E, et al. Nationwide surevey of hemophagocytic lymphohistiocytosis in Japan. Int J Hematol 86: 58-65,2007};) > 1. EB virus HLH(28.7%, 1歳-14歳にピーク) > 2. other infection-associated HLH(24.3%, 1-14歳に多い.) > 3. Lymphoma-associated HLH (LAHS/LAHLH) (19%, 成人のHLH: T/NK cell;31.4%, B cell lymphoma;46.2%) > 4. Other malignancy-associated HLH (4.2% lymphoma以外の悪性腫瘍. ) > 5. Autoimmune-associated HLH (9.3%, -->[[診断基準]]) > 6. Familial HL(家族性, 一次性HLHで遺伝子異常が分かっているHLHあり. 75%が幼児の疾患) > 7. post-HSCT-HLH (1.9%, ) > (8). others(8.8%; 悪性腫瘍または膠原病に何らかの感染症を合併した症例と原因不明症例) #clear #ref(LAHSkijun.jpg,around,75%) ''<--成人LAHS(lymphoma-associated hemophagocytosis)の診断基準1999''¬e{:高橋直人, 中鉢明彦:成人リンパ腫関連血球貪食症候群, 全国集計からみた臨床病理像. 臨床血液40:96-98, 1999};¬e{:加藤雅之、三浦偉久男. 血液・腫瘍科 52:305, 2006}; EB virus, その他の感染症に起因するHLH/HSについで, 悪性腫瘍によるHLH/HSが多い。上記Ishiiら(文献5)の検討では567例のうち23.2%が悪性腫瘍関連で、その80%は悪性リンパ腫である。 1999年の高橋らの検討では津田のHPS診断基準をみたした34例のうち組織学的に悪性リンパ腫が確認されたLAHLH/LAHSは14例(41%)であった。 悪性リンパ腫関連HLH/HSは1)リンパ腫発症時(治療前), 2)寛解期, 3)増悪期の3つの発生時期がある。2)の寛解期発生のHLH/HSはリンパ腫そのものとは関係のない感染症などによるものであり通常は感染症に対する治療をおこなう。70-80%のHLH/HSは1)のリンパ腫初発時に発症し、基礎疾患の悪性リンパ腫/リンパ増殖症の治療を行う必要がある。¬e{:河敬世 二次性血球貪食症候群 医学のあゆみ vol238 No11 p1069-1073}; #clear 持続する発熱, 血球減少, 肝脾腫があればまずHLH/HSを疑う. 検査でトランスアミナーゼ上昇[AST(GOT)>ALT(GPT)], 高LDH, 高ferritin, 高sIL-2Rなどを認めれば限りなくHLH/HSの可能性が高くなるので骨髄検査や肝, 脾などの生検で血球貪食所見を確認する.~ HLH/HSが確診されれば, 感染源や基礎疾患の有無を検索, 重傷度の判定を臨床症状と検査値から決定し直ちに治療介入をおこなう。リンパ腫/ リンパ増殖症があれば基礎疾患の治療をあわせて行う必要がある。 ''HLH/HSを合併する悪性リンパ腫の臨床病理学的分類'' 種々のリンパ腫(anaplastic large cell lymphoma(ALCL), gammadelta T cell lymphoma, Hodgkin lymphoma, adult T cell lymphomaなど)にHLH/HSの合併が報告されているが大きく分類するとT/NK lymphomaとB cell lymphomaに分けられる. 高橋らの分類~ 1)T/NK-LAHS typeⅠ~ 病理組織型では nasal/ nasal type T/NK cell lyphomaで鼻腔, 副鼻腔, 皮膚など節外性腫瘤を形成, リンパ腫の増悪期、再発時にHSを発症する。 2)T/NK-LAHS typeⅡ~ nasal type T/NK lymphomaあるいはcytotoxic large T cell lymphoma, 肝脾骨髄にリンパ腫を発症と同時にLAHSを来たす。 3) B-LAHS~ diffuse large B cell lymphomaで約半数にintravascular lymphomatosis(IVL)がある。リンパ腫の部位は肝脾骨髄. リンパ腫発症と同時にLAHSを発症。 河らのHLH/HS発症リンパ腫病型分類~ 1) T/NK-LAHS~ EB virus-infected T/NK-LAHSが成人LAHSの約半数例を占める。年齢は青壮年から高齢に分布. 若年者のT/NK-LPDを考慮にいれると全年齢層にみられる。 節外性で, 腫瘤形成する鼻腔原発やextranodal nasal type(皮膚や消化管)の他, 肝, 脾, 骨髄など全身型で腫瘤形成性に乏しい. 病理所見は多型性, 壊死, 血管中心性, 血管浸潤性病変を特徴とする. CD2, CD3, CD4, CD8, cCD3, CD56, TIA-1, perforin, granzymeBなどが腫瘍細胞に陽性. TCR, EBV-terminal probeなどのclonalityを調べる. EB virus抗体価とパターン, EBER-ISH, 末梢血EBV-DNA定量などの検査が必要となる. EBV関連T/NK細胞増殖症(EBV-associated T/NK-cell LPD)~ 慢性活動性EBV感染症, 蚊アレルギーなどはHLH/HSを発症しやすく経過中に腫瘤を形成することが少なくない. 本症の多くはEB virus感染 T/NK細胞が単クローン性の増殖を示す。病理形態では成熟顆粒リンパ球が増殖している。(従来のリンパ腫・白血病の定義には一致しない) 2) B-LAHS~ B細胞性リンパ腫の7%(7/105)にLAHSが見られたと報告されている. 平均年齢は60歳をこえ高齢者に多い. 組織型はdiffuse large B cell, 表現型はCD19+, CD20+, sIg+, CD5±, CD10+。 約半数がAsian variant IVL(intravascular lymphomatosis)を呈し骨髄浸潤や, 肝脾腫が特徴的. ***LINK and LITERATURES [#n6237f5b] multiorgan failure [[What nephrologists need to know about hemophagocytic syndrome:http://www.nature.com/nrneph/journal/v5/n6/full/nrneph.2009.73.html]]--->&ref(HPSkidney.txt); CDCのHLHページ--->[[Hemophagocytic Syndromes and Infection:http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/6/6/00-0608_article.htm]] #br *なぜマクロファージは自己血球を貪食するようになるのか? Don't eat me signal [#qb713b80] #br -アポトーシス細胞の処理過程においては, 免疫系の活性化が起こらないように, 選択的にアポトーシス細胞を認識し, すみやかに貪食処理するよう複雑な調節が行われており, 自然免疫系がその役目を果たしている. -近年まで自己免疫系の自己/非自己識別機構については十分には解析されていなかったが, アポトーシス細胞による食細胞誘導のためのシグナル(find-me signal), 貪食されるための細胞表面に表出するシグナル(eat-me signal)の存在が明らかにされた. -さらに正常細胞においては, 貪食細胞に貪食されないための自己のマーカ(marker of self)として&color(red){don't eat-me signal};のシステムを持つと考えられている。 ***''CD47-SIRPα(signal regulatory protein alpha)シグナルの発見''¬e{:的崎尚 新しい細胞間シグナル伝達システムとしてのCD47-SHPS-1系 Kitakanto Med J 2001; 51: 405-408}; [#o6bd94d0] -SH2-domain-containing protein tyrosine phosphatase, SHP-2は細胞質型チロシンホスファターゼとして同定された. N末端側にSrc homology2 domainを2個タンデムにもつ. ホスファターゼとして低分子量Gタンパクの活性化を介して 細胞増殖, 接着, 運動を制御する多機能なシグナル分子. -SHP-2は複数のチロシン残基が増殖因子によりリン酸化をうけた, IRS-1やGab-1とよばれる細胞膜近傍にあるドッキング分子にSH2ドメインを介して結合, SHP-2の作用部位である細胞膜近傍にリクルートされると同時に, ホスファターゼとして活性化される. -SHP-2はインスリンなど増殖刺激因子による''Ras低分子量Gタンパクの活性化を正に制御''している. -SHP-2はインテグリンを介した細胞-基質接着のシグナル経路下流にも位置し, ''低分子GタンパクRhoの活性化も制御する'' #br #ref(CD47.jpg,around,right,80%) -SHP-2のRas活性化制御のしくみを調べるため, SHP-2の脱リン酸化基質タンパクとして膜貫通型タンパク質, &color(red){SHP substrate-1(SHPS-1)};が見つけられた¬e{:Fujioka Y et al. A novel membrane glycoprotein, SHPS-1, that binds the SH2-domain-containing protein tyrosine phosphatase SHP-2 in response to mitogens and cell adhesion. Mol Cell Biol. 1996 Dec;16(12):6887-99.};. -''SHPS-1''はN末端側に3個のIg様構造をもつ細胞外領域, 細胞膜貫通領域, 複数のチロシン残基を含みリン酸化をうける細胞内領域の3領域から構成されるタンパク質. -''SHPS-1''は増殖因子, インテグリンを介する細胞基質間接着刺激によりリン酸化され, SH2ドメインを介してSHP-2に結合するが, SHPS-1にはRas活性化にかかわるドメイン構造は認められなかった。 -''SHPS-1''の細胞外ドメインに結合するリガンド分子CD47が同定されることでCD47-SHPS-1という新細胞間シグナル伝達システムが確認された. -SHPS-1(&color(red){主に''SIRPα''とよぶ};, 別にCD172α, BIT[brain Ig-like molecule with thyrosin based activation motif], p84としても知られている)は組織普遍的に出現しているが, 神経(ミエロイド細胞や神経細胞など), 免疫系にとくに強く発現している. &color(red){''CD47-SIRPαは正常細胞のdon't eat me シグナルとして機能している。''}; -CD47は免疫グロブリンスーパーファミリーの細胞表面タンパクであり全ての細胞に発現している. -胎盤, 好中球からαvβ3 integrinに関連する50kdのタンパクとして単離され, Integrin-associated protein(IAP)とも呼ばれる. 50kdはCD47が二量体を形成した大きさであった. -CD47は細胞外に1個のIgV型N末端をもち, 5回膜貫通部(TM5)と短い細胞内C末端をもつユニークな構造を示す. C末端アミノ酸の配列の違いにより4個のisoformがあり、組織により発現が異なるが,その機能の差は不明. 最も多いのは16アミノ酸からなるisoform 2. -CD47分子が欠損するか, SIRPαがブロックされるとき, 赤血球は脾臓 Mφにより貪食される。 -マクロファージ(Mφ)は貪食において赤血球に対する受容体を必要としている 正常赤血球表面上に&color(#e83929){''Calreticulin(CLR)を認識するlow density lipoprotein receptor like protein-1 (LRP-1)が発見され''};、 マクロファージ(Mφ)は正常赤血球上のLRP-1を認識し, 貪食しようとするが&color(#1e50a2){''CD47がある限りそれは抑制されている''};。 >CD47欠損マウス新鮮赤血球を正常マウスに投与すると, 補体, リンパ球, 抗体非依存性に赤血球寿命が短縮した.¬e{Oldenborg:Oldenborg PA, et al. Role of CD47 as a marker of self on red blood cells. Science. 2000 Jun 16;288(5473):2051-4.}; MφのSIRPαをブロックすると正常赤血球がCD47欠損マウス赤血球のように貪食されるようになった.¬e{Oldenborg:Oldenborg PA, et al. Role of CD47 as a marker of self on red blood cells. Science. 2000 Jun 16;288(5473):2051-4.}; >SIRPα変異マウスでは正常CD47をもつ赤血球寿命は短くなり貧血が見られたが, CD47欠損マウスではこの貧血は見られず, 赤血球貪食,除去には CD47分子も必要であった #ref(CD47-SIRPa.jpg,around,100%) #br #br -SIRPα(CD174a, SHPS-1, PTPNS1)はマクロファージ, 骨髄球系細胞, 神経系細胞に主に発現するI型膜貫通性タンパク質で,免疫グロブリンスーパーファミリ-に属し, 細胞外にIgV, IgC, IgCの3個のIg様構造をもつ。細胞内にはリン酸化を受けるチロシン残基がある。 -CD47とSIRPαのIgVドメインが結合し, SIRPα側のチロシン残基がリン酸化され, SHIP-1やSHIP-2を介して抑制性シグナルを伝達, ミオシンとマクロファージの結合を阻害することにより, マクロファージの貪食が抑制される。 -''CD47-SIRPα系シグナル''は&color(red){don't eat meシグナル};のほか細胞運動制御や神経シナプス形成, 信号伝達など種々の機能をはたしている。
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