Urothelial carcinoma
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[[Wikipathologica-KDP]], [[Adenocarcinoma of the urinary bladder]] *Urothelial neoplasm 尿路上皮がん [#h8567efd] 静岡がんセンター病理専門医養成講座~ 「尿中に出現する細胞の病理学的背景」埼玉メディカルセンター病理診断科 清水健先生の講演から. ***膀胱の解剖・組織学 [#l113837a] -''Urothelium''; urothelium は膀胱最内側を被覆する上皮で膀胱癌の発生部位となる.~ normal urotheliumは基底膜側より1層の基底細胞, 4-5層の中間細胞, 1層の被蓋細胞(表層細胞, 傘細胞ともよぶ)の3種類の細胞で構成されている. >中間細胞は卵円形核をもち, 核の長径は基底膜に垂直に配列する(核極性). 中間細胞は時に基底膜へ突起をのばしている. 扁平上皮のように明瞭な分化傾向は示さないが, ~ 表層へ向かうにしたがい, N/C比が小さくなる傾向がある. 核にはコーヒー豆様の溝(核溝)をもつことが多い. >被蓋細胞はN/C比は低く円形核をもつ.膀胱の部位や伸展により細胞層の厚みや形態が変化する. また核が時に大型化する. いずれも悪性所見としてはならない。 -''Lamina propria''; lamina propria (subepithelial tissue) は非薄な基底膜によりurotheliumと分画されている. 豊富な結合組織からなり,血管と神経構造を含む.¬e{:Reuter VE The pathology of bladder cancer. Urology. 2006;67(3 Suppl 1):11.PMID16530068};¬e{:Epstein JI, Amin MB, Reuter VE. Bladder biopsy interpretation. In: Biopsy Interpretation Series, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia 2004.}; ¬e{:Murphy WM. Tumors of the Kidney, Bladder, and Related Urinary Structures, 3rd, AFIP, Washington DC 1994.}; ¬e{:Grignon DJ. Neoplasms of the Urinary Bladder. In: Urologic Surgical Pathology, Bostwich DG, Eple NJ (Eds), Mosby, St. Louis 1997.};. ~ lamina propriaの中間層にはうっすらと平滑筋の束が認められ完全な, または不完全な muscularis mucosaeを形成している¬e{:Ro JY, et al. Muscularis mucosa of urinary bladder. Importance for staging and treatment. Am J Surg Pathol 1987; 11:668.}; #br -''Muscularis propria''; muscularis propria (detrusor muscle)¬e{:Epstein JI, et al.The World Health Organization/International Society of Urological Pathology consensus classification of urothelial (transitional cell) neoplasms of the urinary bladder. Bladder Consensus Conference Committee. Am J Surg Pathol 1998; 22:1435.}; はlamina propriaを取り巻き厚く不規則に錯綜する筋束により構成されている. ~ 微小な生検組織では&color(#e60033){粘膜固有層内の muscle mucosae束を固有筋層muscularis propriaのより大きな平滑筋束とを取り違えて腫瘍のステージングを間違う};可能性があるため注意が必要である. ''脂肪組織はlamina propriaにも, muscularis propriaにも認められる''.%%%脂肪組織内に浸潤する腫瘍がある場合は必ずしもextravesical extensionを意味しない%%%. -''Adventitia or serosa'' - muscularis propriaの外側に存在する perivesical adipose tissueは漿膜層に覆われている. #br &ref(urinarybladder01.jpg,,left,70%); &ref(urothelium01.jpg,,left,65%); #br #br **尿路上皮系腫瘍 [#ra1db0a5] 尿路上皮病変を診断するには以下の4つの観点から病変をとらえて評価することが重要 #ref(urothelialCa-01a.jpg,around,left,65%) 1) 平坦状病変か乳頭状病変か 2) 非腫瘍性か腫瘍性か 3) 良性と悪性 4) 非浸潤性と浸潤性(浸潤の深度判定) 平坦状病変; ''隆起や潰瘍形成を示さない病変''. 肉眼分類では「平坦型」, 組織分類では「平坦状」とする.¬e{:日本泌尿器科学会, 日本病理学会, 日本医学放射線学会(編):泌尿器科・病理・放射線科 腎盂・尿管・膀胱癌取り扱い規約.第1版. 金原出版, 2011}; #clear #br ***真の乳頭状病変と低乳頭状増殖を示す病変(良性, 悪性あり) [#w61f3e10] 尿路上皮病変を診断するうえで, 組織学的に真の乳頭状構造と低乳頭状増殖を鑑別することが極めて重要である.¬e{アトラス:宮居弘輔, 都築豊徳 第3部鑑別ポイント I. 真の乳頭状腫瘍と低乳頭状増殖を示す良性・悪性病変の鑑別 腎盂・尿管・膀胱癌 第2版 腫瘍病理鑑別診断アトラス 2023; pp130-134 文光堂 東京}; -真の乳頭状構造を形成する病変は, 乳頭腫(希な病変)や尿路上皮癌など腫瘍性病変と考えられる. -低乳頭状増殖は反応性変化である, 乳頭状膀胱炎, いわゆる乳頭状尿路上皮過形成(WHO分類第3版, 2004), 低異型度非浸潤性乳頭状尿路上皮癌(non-invasive papillary urothelial carcinoma, low grade; LGPUC)から尿路上皮内癌(CIS)までいろいろな病変に認められる. -膀胱鏡所見が重要であり, とくに低乳頭状増殖を呈する病変の診断においては, 組織所見のみでなく, 膀胱鏡所見, 尿路上皮癌の既往、治療歴を加味することが推奨されている. ''真の乳頭状構造''ー毛細血管を含む狭い血管性間質を芯とする構造で、乳頭状構造の頭部がよりふくらんでいる. 先端が膨大し分枝する, 繊細な血管性間質をもち先はふくらむ. ''低乳頭状増殖''ーー真の乳頭状増殖にたっしない, 病変表面の軽い凹凸, 波打つような構造, 丈は低く乳頭状構造の先端にむかい細く, 狭くなる. 基部は広く「テント状」と称される構造. 両方の例(PDF file) --> &ref(urothelialCa-pap OK.pdf); //>尿路上皮癌は非浸潤性と浸潤性に分類され, 非浸潤性はさらに乳頭状と平坦状に分かれる。 #clear //''非浸潤性平坦状尿路上皮病変の分類'' //#ref(urothelialCa-flat.jpg,around,left,80%) //異形成は腫瘍性病変であり, 非腫瘍性の反応性異型とはことなる病変. 異型性は上皮内癌に進展する. //実際の病理診断では, 両者に明瞭な境界を引くことは困難なため''意義不明の異型''という分類を設けた. //低悪性度の非浸潤性平坦状尿路上皮を''異形成'', 高悪性度の非浸潤性平坦状尿路上皮を''上皮内癌''と考えると理解しやすい. //#clear //>''平坦状尿路上皮過形成''; 異型のない尿路上皮が分化傾向を保ちながら増殖, 7-10層以上に多層化(正常尿路上皮よりも肥厚)している. 他病変の近傍にみられることが多い.~ //低異型度乳頭状尿路上皮癌近傍の病変には9p21欠失などの遺伝子異常を示すことが少なくない. //>''扁平上皮化生''; 角化型と非角化型がある. 閉経前女性の三角部非角化型扁平上皮は正常尿路上皮の亜型と考えられている. 扁平上皮化生は発がんとの直接的因果関係はない。~ //まれに扁平上皮由来の異形成や上皮内癌を伴うことがある. //#br //#br //#ref(urinaryCa-stageT.jpg,left,70%)
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[[Wikipathologica-KDP]], [[Adenocarcinoma of the urinary bladder]] *Urothelial neoplasm 尿路上皮がん [#h8567efd] 静岡がんセンター病理専門医養成講座~ 「尿中に出現する細胞の病理学的背景」埼玉メディカルセンター病理診断科 清水健先生の講演から. ***膀胱の解剖・組織学 [#l113837a] -''Urothelium''; urothelium は膀胱最内側を被覆する上皮で膀胱癌の発生部位となる.~ normal urotheliumは基底膜側より1層の基底細胞, 4-5層の中間細胞, 1層の被蓋細胞(表層細胞, 傘細胞ともよぶ)の3種類の細胞で構成されている. >中間細胞は卵円形核をもち, 核の長径は基底膜に垂直に配列する(核極性). 中間細胞は時に基底膜へ突起をのばしている. 扁平上皮のように明瞭な分化傾向は示さないが, ~ 表層へ向かうにしたがい, N/C比が小さくなる傾向がある. 核にはコーヒー豆様の溝(核溝)をもつことが多い. >被蓋細胞はN/C比は低く円形核をもつ.膀胱の部位や伸展により細胞層の厚みや形態が変化する. また核が時に大型化する. いずれも悪性所見としてはならない。 -''Lamina propria''; lamina propria (subepithelial tissue) は非薄な基底膜によりurotheliumと分画されている. 豊富な結合組織からなり,血管と神経構造を含む.¬e{:Reuter VE The pathology of bladder cancer. Urology. 2006;67(3 Suppl 1):11.PMID16530068};¬e{:Epstein JI, Amin MB, Reuter VE. Bladder biopsy interpretation. In: Biopsy Interpretation Series, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia 2004.}; ¬e{:Murphy WM. Tumors of the Kidney, Bladder, and Related Urinary Structures, 3rd, AFIP, Washington DC 1994.}; ¬e{:Grignon DJ. Neoplasms of the Urinary Bladder. In: Urologic Surgical Pathology, Bostwich DG, Eple NJ (Eds), Mosby, St. Louis 1997.};. ~ lamina propriaの中間層にはうっすらと平滑筋の束が認められ完全な, または不完全な muscularis mucosaeを形成している¬e{:Ro JY, et al. Muscularis mucosa of urinary bladder. Importance for staging and treatment. Am J Surg Pathol 1987; 11:668.}; #br -''Muscularis propria''; muscularis propria (detrusor muscle)¬e{:Epstein JI, et al.The World Health Organization/International Society of Urological Pathology consensus classification of urothelial (transitional cell) neoplasms of the urinary bladder. Bladder Consensus Conference Committee. Am J Surg Pathol 1998; 22:1435.}; はlamina propriaを取り巻き厚く不規則に錯綜する筋束により構成されている. ~ 微小な生検組織では&color(#e60033){粘膜固有層内の muscle mucosae束を固有筋層muscularis propriaのより大きな平滑筋束とを取り違えて腫瘍のステージングを間違う};可能性があるため注意が必要である. ''脂肪組織はlamina propriaにも, muscularis propriaにも認められる''.%%%脂肪組織内に浸潤する腫瘍がある場合は必ずしもextravesical extensionを意味しない%%%. -''Adventitia or serosa'' - muscularis propriaの外側に存在する perivesical adipose tissueは漿膜層に覆われている. #br &ref(urinarybladder01.jpg,,left,70%); &ref(urothelium01.jpg,,left,65%); #br #br **尿路上皮系腫瘍 [#ra1db0a5] 尿路上皮病変を診断するには以下の4つの観点から病変をとらえて評価することが重要 #ref(urothelialCa-01a.jpg,around,left,65%) 1) 平坦状病変か乳頭状病変か 2) 非腫瘍性か腫瘍性か 3) 良性と悪性 4) 非浸潤性と浸潤性(浸潤の深度判定) 平坦状病変; ''隆起や潰瘍形成を示さない病変''. 肉眼分類では「平坦型」, 組織分類では「平坦状」とする.¬e{:日本泌尿器科学会, 日本病理学会, 日本医学放射線学会(編):泌尿器科・病理・放射線科 腎盂・尿管・膀胱癌取り扱い規約.第1版. 金原出版, 2011}; #clear #br ***真の乳頭状病変と低乳頭状増殖を示す病変(良性, 悪性あり) [#w61f3e10] 尿路上皮病変を診断するうえで, 組織学的に真の乳頭状構造と低乳頭状増殖を鑑別することが極めて重要である.¬e{アトラス:宮居弘輔, 都築豊徳 第3部鑑別ポイント I. 真の乳頭状腫瘍と低乳頭状増殖を示す良性・悪性病変の鑑別 腎盂・尿管・膀胱癌 第2版 腫瘍病理鑑別診断アトラス 2023; pp130-134 文光堂 東京}; -真の乳頭状構造を形成する病変は, 乳頭腫(希な病変)や尿路上皮癌など腫瘍性病変と考えられる. -低乳頭状増殖は反応性変化である, 乳頭状膀胱炎, いわゆる乳頭状尿路上皮過形成(WHO分類第3版, 2004), 低異型度非浸潤性乳頭状尿路上皮癌(non-invasive papillary urothelial carcinoma, low grade; LGPUC)から尿路上皮内癌(CIS)までいろいろな病変に認められる. -膀胱鏡所見が重要であり, とくに低乳頭状増殖を呈する病変の診断においては, 組織所見のみでなく, 膀胱鏡所見, 尿路上皮癌の既往、治療歴を加味することが推奨されている. ''真の乳頭状構造''ー毛細血管を含む狭い血管性間質を芯とする構造で、乳頭状構造の頭部がよりふくらんでいる. 先端が膨大し分枝する, 繊細な血管性間質をもち先はふくらむ. ''低乳頭状増殖''ーー真の乳頭状増殖にたっしない, 病変表面の軽い凹凸, 波打つような構造, 丈は低く乳頭状構造の先端にむかい細く, 狭くなる. 基部は広く「テント状」と称される構造. 両方の例(PDF file) --> &ref(urothelialCa-pap OK.pdf); //>尿路上皮癌は非浸潤性と浸潤性に分類され, 非浸潤性はさらに乳頭状と平坦状に分かれる。 #clear //''非浸潤性平坦状尿路上皮病変の分類'' //#ref(urothelialCa-flat.jpg,around,left,80%) //異形成は腫瘍性病変であり, 非腫瘍性の反応性異型とはことなる病変. 異型性は上皮内癌に進展する. //実際の病理診断では, 両者に明瞭な境界を引くことは困難なため''意義不明の異型''という分類を設けた. //低悪性度の非浸潤性平坦状尿路上皮を''異形成'', 高悪性度の非浸潤性平坦状尿路上皮を''上皮内癌''と考えると理解しやすい. //#clear //>''平坦状尿路上皮過形成''; 異型のない尿路上皮が分化傾向を保ちながら増殖, 7-10層以上に多層化(正常尿路上皮よりも肥厚)している. 他病変の近傍にみられることが多い.~ //低異型度乳頭状尿路上皮癌近傍の病変には9p21欠失などの遺伝子異常を示すことが少なくない. //>''扁平上皮化生''; 角化型と非角化型がある. 閉経前女性の三角部非角化型扁平上皮は正常尿路上皮の亜型と考えられている. 扁平上皮化生は発がんとの直接的因果関係はない。~ //まれに扁平上皮由来の異形成や上皮内癌を伴うことがある. //#br //#br //#ref(urinaryCa-stageT.jpg,left,70%)
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