Lynch Syndrome
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開始行:
[[Carcinoma of the uterine corpus 子宮体癌]]
[[&ref(idobotton01.jpg,,right,40%);>#r4e54a7a]]~
*Lynch 症候群 [#cb57391b]
#br
別名, ''遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary non-polypos...
#br
#ref(DrHenryLynch01.jpg,around,100%);
''DNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子群['''MLH1, MSH2, MSH6, PMS...
大腸癌の若年性発症, 同時性あるいは異時性の大腸癌発症およ...
Lynch症候群は&color(crimson){''全大腸癌の約2～5%''を占め,...
#br
リンチ症候群の名前は米国ネブラスカ州の医師である''Dr.Henr...
#br
**Lynch症候群の診断 [#qb7f4acf]
Lynch症候群の&color(red){''一次スクリーニング''};にはアム...
#ref(LynchDx01_s.jpg,around,right)
''アムステルダム基準II''¬e{:Vasen HF, et al. New clini...
少なくとも''3人の血縁者''がHNPCC関連腫瘍に罹患しており以...
-1. 患者の一人が他の2人の患者の第1度近親者である.
-2. 少なくとも2世代にわたって罹患している.
-3. 少なくとも1人の患者が50歳未満で診断されている.
-4. 大腸癌の場合は家族性大腸ポリポーシスが否定されている.
-5. 腫瘍が組織学的に確認されている。
>HNPCC関連腫瘍: 大腸癌, 子宮内膜癌, 小腸癌, 腎盂・尿管癌
''改訂ベセスダ基準(2004年)''¬e{:Umar A, et al. Revised...
以下の患者さんにはMSI検査を推奨する(二次スクリーニングのM...
-1. 50歳未満で診断された大腸癌患者
-2. 年齢を問わず, 大腸癌またはLynch症候群関連腫瘍を同時性...
-3. 60歳未満で, MSI-H(microsatellite instability-high)に...
-4. 50歳未満でLynch症候群関連腫瘍と診断された第1度近親者(...
-5. 年齢にかかわらず, Lynch症候群関連腫瘍と診断された第1...
>&color(crimson){★ Lynch症候群関連腫瘍: 大腸癌, 子宮内膜...
>★ MSI-Hに特徴的な大腸癌組織学的所見: ''腫瘍内リンパ球浸...
>感度/特異度は アムステルダム基準IIで, 28-45%/ 99%. 改訂...
>今後は少子化, 核家族化が進み家族歴からのスクリーニングは...
#clear
**''MSI(microsatellite instability)と検査'' [#z7f31f3c]
-Lynch症候群ではDNA複製の際に塩基配列ミスの修復機能が低下...
-腫瘍ではこの以上が増幅され検出が容易になりLynch Sxの90%...
-Lynch Sxで特に, '''MSH6'''遺伝子変異ではMSI-H(2つ以上の...
-大腸癌, 子宮体癌の散発癌においても10-30%にこの現象が認め...
-MSIがんにおいて免疫チェックポイント阻害薬の有効性が期待...
MSIの判定には, いくつかの手法があり, 従来からの&color(#e6...
***MSIコンパニオン診断 [#p62a3f78]
-microsatellite instabilityを調べるPCRマーカとして, BAT25...
>2/5以上のmarkerで長さが変化していた場合---MSI-high (陽性)
>1/5のmarkerで長さが変化していた場合---MSI-low
>どのmarkerも変化がなかった場合---MSS(microsatellite stab...
>&color(blue){MSI-lowの場合は, MSSと共に陰性として扱われ...
-近年, 感度特異度の観点から&color(red){Mononucleotide pan...
***''ミスマッチ修復タンパクの免疫染色'' [#debfbbd8]
-Lynch Sx関連腫瘍, MSIの原因の多くはミスマッチ修復遺伝子,...
-免疫染色によるスクリーニングでMSIを示す腫瘍の同定の感度,...
#br
#ref(MMRAb-clone01_s.jpg,around,right,60%)
-免疫染色によるミスマッチタンパク質染色には, &color(red){...
右表にあるクローンは使ったことのないG219-1129以外は良いク...
-MMR修復タンパクは, 教科書的にはすべての細胞に発現してい...
-免疫染色の実際: MMR異常細胞は陰性になる--->免疫染色画像...
#clear
#ref(MMRprotein-IHC_s.jpg,around,right,80%)
免疫染色の結果(internal control陽性に対してMMR修復タンパ...
&color(#e60033){''X MLH1''}; -- &color(blue){''MLH1''}; -...
&color(#e60033){''X MSH2''}; -- &color(blue){''MSH2''}; -...
&color(#e60033){''X PMS2''}; --> &color(blue){''PMS2 のみ...
&color(#e60033){''X MSH6''}; --> &color(blue){''MSH6 のみ...
#clear
#br
&ref(Mut-complex.jpg,,70%); &ref(MMRprotein-pair.jpg,,70...
>MLH1とMSH2はMMRたんぱく質の構成に必須。PMS2とMSH6はこれ...
>MSH3はminorなタンパクであるが, MSH2と複合体を形成し,ルー...
>免疫染色はマイクロサテライト不安定性の原因となるミスマッ...
#br
**''非典型的な免疫染色結果を示す場合'' [#q1fbec64]
>
&color(red){以下の3つは覚えておくとよいですよ。(Dr関根）};
-''ミスセンス変異などによる変異たんぱく質の発現'': &color...
この場合, ''異常なMHL1と結合するPMS2は安定できずに消失し...
#br
-''マイクロサテライト不安定性によるミスマッチ修復タンパク...
MSH6に最も高頻度にでる。組織上で, 部分的にMSH6発現が消え...
#br
-''術前化学療法によるMSH6の発現消失。'': 10/51例で化学療...
この場合治療前の生検組織ではMSH6の発現は保たれており, 発...
>''さらに, とてもまれな免疫染色の非典型例: MSH2の変異に伴...
-腫瘍全体で不均一な(まだら状, 地図状)染色や, 単一腺管ない...
#br
-MSH2変異例において, MSH2が細胞質にそまってしまう。癌の部...
***大腸癌におけるミスマッチ修復異常の臨床的意義 [#yd189411]
ミスマッチ修復異常の有無は治療選択とリンチ症候群の診断に...
-ミスマッチ修復異常をもつ大腸癌は予後良好である。
-術後化学療法の利益がないとする報告がある。
-Lynch症候群に伴う大腸癌を含む。
-&color(red){''免疫療法の効果予測因子として期待されている...
***DNA障害のパターンと修復 [#r4e54a7a]
#ref(DNArepaires.jpg,around,70%)
DNA障害と修復機構のタイプ¬e{:渋谷正史ほか編集 がん生...
-酸化されたグアニンなど異常塩基は塩基除去修復により塩基部...
-隣接した塩基同士が結合する, DNAの嵩高い構造変化が起こる...
-DNA二重鎖切断は, 原核生物から真核生物に共通してみられる...
-DNA複製の際に, 間違った塩基取り込みによる誤塩基対は&colo...
-これらの修復機構の一部は細胞内においてそれぞれの損傷修復...
終了行:
[[Carcinoma of the uterine corpus 子宮体癌]]
[[&ref(idobotton01.jpg,,right,40%);>#r4e54a7a]]~
*Lynch 症候群 [#cb57391b]
#br
別名, ''遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary non-polypos...
#br
#ref(DrHenryLynch01.jpg,around,100%);
''DNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子群['''MLH1, MSH2, MSH6, PMS...
大腸癌の若年性発症, 同時性あるいは異時性の大腸癌発症およ...
Lynch症候群は&color(crimson){''全大腸癌の約2～5%''を占め,...
#br
リンチ症候群の名前は米国ネブラスカ州の医師である''Dr.Henr...
#br
**Lynch症候群の診断 [#qb7f4acf]
Lynch症候群の&color(red){''一次スクリーニング''};にはアム...
#ref(LynchDx01_s.jpg,around,right)
''アムステルダム基準II''¬e{:Vasen HF, et al. New clini...
少なくとも''3人の血縁者''がHNPCC関連腫瘍に罹患しており以...
-1. 患者の一人が他の2人の患者の第1度近親者である.
-2. 少なくとも2世代にわたって罹患している.
-3. 少なくとも1人の患者が50歳未満で診断されている.
-4. 大腸癌の場合は家族性大腸ポリポーシスが否定されている.
-5. 腫瘍が組織学的に確認されている。
>HNPCC関連腫瘍: 大腸癌, 子宮内膜癌, 小腸癌, 腎盂・尿管癌
''改訂ベセスダ基準(2004年)''¬e{:Umar A, et al. Revised...
以下の患者さんにはMSI検査を推奨する(二次スクリーニングのM...
-1. 50歳未満で診断された大腸癌患者
-2. 年齢を問わず, 大腸癌またはLynch症候群関連腫瘍を同時性...
-3. 60歳未満で, MSI-H(microsatellite instability-high)に...
-4. 50歳未満でLynch症候群関連腫瘍と診断された第1度近親者(...
-5. 年齢にかかわらず, Lynch症候群関連腫瘍と診断された第1...
>&color(crimson){★ Lynch症候群関連腫瘍: 大腸癌, 子宮内膜...
>★ MSI-Hに特徴的な大腸癌組織学的所見: ''腫瘍内リンパ球浸...
>感度/特異度は アムステルダム基準IIで, 28-45%/ 99%. 改訂...
>今後は少子化, 核家族化が進み家族歴からのスクリーニングは...
#clear
**''MSI(microsatellite instability)と検査'' [#z7f31f3c]
-Lynch症候群ではDNA複製の際に塩基配列ミスの修復機能が低下...
-腫瘍ではこの以上が増幅され検出が容易になりLynch Sxの90%...
-Lynch Sxで特に, '''MSH6'''遺伝子変異ではMSI-H(2つ以上の...
-大腸癌, 子宮体癌の散発癌においても10-30%にこの現象が認め...
-MSIがんにおいて免疫チェックポイント阻害薬の有効性が期待...
MSIの判定には, いくつかの手法があり, 従来からの&color(#e6...
***MSIコンパニオン診断 [#p62a3f78]
-microsatellite instabilityを調べるPCRマーカとして, BAT25...
>2/5以上のmarkerで長さが変化していた場合---MSI-high (陽性)
>1/5のmarkerで長さが変化していた場合---MSI-low
>どのmarkerも変化がなかった場合---MSS(microsatellite stab...
>&color(blue){MSI-lowの場合は, MSSと共に陰性として扱われ...
-近年, 感度特異度の観点から&color(red){Mononucleotide pan...
***''ミスマッチ修復タンパクの免疫染色'' [#debfbbd8]
-Lynch Sx関連腫瘍, MSIの原因の多くはミスマッチ修復遺伝子,...
-免疫染色によるスクリーニングでMSIを示す腫瘍の同定の感度,...
#br
#ref(MMRAb-clone01_s.jpg,around,right,60%)
-免疫染色によるミスマッチタンパク質染色には, &color(red){...
右表にあるクローンは使ったことのないG219-1129以外は良いク...
-MMR修復タンパクは, 教科書的にはすべての細胞に発現してい...
-免疫染色の実際: MMR異常細胞は陰性になる--->免疫染色画像...
#clear
#ref(MMRprotein-IHC_s.jpg,around,right,80%)
免疫染色の結果(internal control陽性に対してMMR修復タンパ...
&color(#e60033){''X MLH1''}; -- &color(blue){''MLH1''}; -...
&color(#e60033){''X MSH2''}; -- &color(blue){''MSH2''}; -...
&color(#e60033){''X PMS2''}; --> &color(blue){''PMS2 のみ...
&color(#e60033){''X MSH6''}; --> &color(blue){''MSH6 のみ...
#clear
#br
&ref(Mut-complex.jpg,,70%); &ref(MMRprotein-pair.jpg,,70...
>MLH1とMSH2はMMRたんぱく質の構成に必須。PMS2とMSH6はこれ...
>MSH3はminorなタンパクであるが, MSH2と複合体を形成し,ルー...
>免疫染色はマイクロサテライト不安定性の原因となるミスマッ...
#br
**''非典型的な免疫染色結果を示す場合'' [#q1fbec64]
>
&color(red){以下の3つは覚えておくとよいですよ。(Dr関根）};
-''ミスセンス変異などによる変異たんぱく質の発現'': &color...
この場合, ''異常なMHL1と結合するPMS2は安定できずに消失し...
#br
-''マイクロサテライト不安定性によるミスマッチ修復タンパク...
MSH6に最も高頻度にでる。組織上で, 部分的にMSH6発現が消え...
#br
-''術前化学療法によるMSH6の発現消失。'': 10/51例で化学療...
この場合治療前の生検組織ではMSH6の発現は保たれており, 発...
>''さらに, とてもまれな免疫染色の非典型例: MSH2の変異に伴...
-腫瘍全体で不均一な(まだら状, 地図状)染色や, 単一腺管ない...
#br
-MSH2変異例において, MSH2が細胞質にそまってしまう。癌の部...
***大腸癌におけるミスマッチ修復異常の臨床的意義 [#yd189411]
ミスマッチ修復異常の有無は治療選択とリンチ症候群の診断に...
-ミスマッチ修復異常をもつ大腸癌は予後良好である。
-術後化学療法の利益がないとする報告がある。
-Lynch症候群に伴う大腸癌を含む。
-&color(red){''免疫療法の効果予測因子として期待されている...
***DNA障害のパターンと修復 [#r4e54a7a]
#ref(DNArepaires.jpg,around,70%)
DNA障害と修復機構のタイプ¬e{:渋谷正史ほか編集 がん生...
-酸化されたグアニンなど異常塩基は塩基除去修復により塩基部...
-隣接した塩基同士が結合する, DNAの嵩高い構造変化が起こる...
-DNA二重鎖切断は, 原核生物から真核生物に共通してみられる...
-DNA複製の際に, 間違った塩基取り込みによる誤塩基対は&colo...
-これらの修復機構の一部は細胞内においてそれぞれの損傷修復...
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